8話
「えっと・・・ユーキ君のステータスは・・・」
この世界の文字がまだ読めない俺はミリアさんにそのステータスというものを読み上げてもらっていた。
リズ曰く、体にかざすだけで儀式は終了するらしいんだけど・・・胸が痛む。ちなみにリズは退室なさってる。なぜだか、人のステータスは見ちゃいけないっていうきまりかマナーがあるらしいけど。
ともかく、儀式を終えたことで俺の身体能力は向上、お肌もツルツルに・・・はならないけど。なんだか体がさっきから軽い、今なら母さんにだって・・・無理だ。多分、勇者になってやっと互角っていうところだろう。・・・化け物だよあの人は。雨風流空手師範だよ? 前師範雨風勇三郎を殴り倒し、嫁いだ身ながら父さんを差し置いて道場を継ぎやがったのはあまりにも有名だ。・・・その才能は俺じゃあなく、妹の方にいったんだけどね。
そう言えば元気かな・・・結乃。ちゃんと一人で寝てるかな? お兄ちゃんは心配だよ・・・・・・
「ちょっと、ユーキ君聞いてる?」
「え? すいません。最初っから良いですか?」
俺がそう言うと、ミリアさんは、もう・・、といいながらもキチンと丁寧に教えてくれた。
「全体的に突出して良いとこもないし、悪いとこもないステータスだったよ。有り体に言えば普通ってとこかな」
「まじか・・・」
THE 器用貧乏というやつだろうか、どうせ俺なんか・・・
「でもね、ユーキ君は旅行者なんだよ。だから基本的にはステータスなんてどうでもいいんだよ」
「え? ステータスがどうでも良いって・・・」
俺がそう聞くと、ミリアさんはため息をついた。
「そのことも言って無かったの・・・リズは・・・」
「そもそも、旅行者がなんでダンジョンに転生するかっていうとね・・・」
「え? 単純に数を少なくするためじゃないんですか? その・・・簡単には生き返らせない・・・みたいな」
「それもあるんだけど、ほとんどの人は・・・試練だって考えてるよ」
試練? ドラゴニッククエスト。通称○ラクエの第一章でお馴染みの? そこまでRPGに似せるか・・・
ミリアさんはさらに続けた。
「試練っていうのはダンジョンから生きて脱出し、近くの町まで行くっていう内容なんだけど・・・」
はい。すんません。 他人任せでした。 輸送されて脱出しました。
いや、あれだよ? 運も実力の内って言うしね!! たまたま転生したダンジョンにたまたま強い勇者がいて、その子が美少女だった確率なんて天文学的だからね!? あれ? 俺って意外と幸運だったりする!?
「普通ならダンジョンで死ぬ人がほとんど。今でも・・・年間十人に満たないんじゃなかったかな?」
訂正。俺幸運。
「その幸運を称えて・・・って意味なんだろうけど・・・」
む? 読まれた? 自称年中ポーカーフェイスの俺なんだけど・・・
そんな下らないことを考えている中、次にミリアさんが言ったのは、
「―――旅行者にはね。特別な能力。スキルが宿るの」
―――男なら、オタクなら誰もが憧れる異能の存在。
それが・・・俺に・・・
気づいた時にはもう遅い。俺は身を乗りだし・・・
「ミ、ミリアさん!!」
「はっ、はい」
「俺・・・この世界に来て良かったです!!」
「え!? その、ユーキ君・・・手を・・・」
「マジでありがとう。神!! 俺を祝福したまえー!!」
「しゅっ、祝福!?」
と、自分より年上のしかも美女の手を握るという暴挙に出てしまったのだった。
ミリアさんはそういったことに慣れていないのか(処女厨歓喜)またも顔を真っ赤にしながら口をパクパクと開け続けていた。
だが、テンションが上がりまくっていた俺はそんなことにも気づかずに、
「俺のは!? 俺の異能は!? 妄想殺しですかそれとも超粒子砲ですか!?」
「えっと、その、あの、ええっと・・・」
「まさか・・・物質の分解と再構成なんてことは・・・」
ひたすらにチート能力を羅列していっていた。
―――リズが怒鳴り込んでくるまで。
「ミリアに何しとんじゃああ!!」
「グベラッ!?」
綺麗な右フックが叫び声と共に俺の脇腹をえぐる。常人ならさっきの俺なら即気絶もしくは死亡だろう。
だが、今の俺は曲がりなりにも勇者なのだ。中途半端な身体強化が俺を守り、ギリギリ意識を失うのを食い止めたのだった。いや、今のはステータスなんかじゃない。リズのレベルは相当なものだろう。対して俺はレベル1、そんな雑魚のステータスなど、たかが知れている。
ならば何故なのだろうか。
理由は簡単。
――――すべては我が夢のために、
「ぐっ、はあはあ・・・痛ぇな・・・」
「今のを食らって・・・」
俺はボロボロの体にむち打ち、立ち上がった。
そして、近くに置いてあった宝玉を手にし・・・
「リズでいい・・・俺のスキルを教えてくれ・・・」
後から聞いた話だと、その時の俺は仲間を守るために大勢の敵を相手取った某勇者のような、死にそうな病人の最後の頼みのような鬼気迫る状態だったらしい。
リズは俺に言われるがまま宝玉に目を通し。
「ユーキのスキルは・・・銃器錬成?」
「錬成・・・銃を・・・詳細も頼む・・・」
リズは目を細める。
「スキル『銃器錬成』 銃を作り出すスキル。作り出す銃は本人の意思によって種類を変えることが出来る。・・・だけど」
そこまで言われて気がついた。
俺の能力・・・ヤバいじゃん!? 自由に銃を作り出せるって、ちょっとファンタジーとはほど遠いけど汎用性が高いし、銃の定義も結構緩い。この世界に銃がどれだけ普及してるのかはわからないけどもし売れば相当な儲けに・・・
だが、俺の幻想は無惨にも数秒で打ち砕かれることになる。それは、リズが最後まで読んでいなかったからだ。
そう、俺のスキルには続きがあった。
「なお、作り出された銃の弾数は一発となり、一定時間が過ぎる、弾切れになったっものは消滅する。さらに、このスキルの所有者しか作り出した銃を扱うことは出来ない―――って、自分で使えってこと!?」




