4話
リズさん・・・いや、リズはこの世界について、懇切丁寧に教えてくれた。
まず、この世界はいうなればRPGゲームのような世界で町の外には魔物たちがうようよしているらしい。それを倒す職業が・・・
「リズさっ・・・リズと同じ勇者って人達なんですよね?」
「うん。そうだよ」
どうやらこの世界では勇者は世界に一人しかいない特別ポジではなく、一般的な職業として認知されているらしい。だが、みんながみんな成れる訳でもなく、そこはゲームと同じで選ばれた人間だけが成れるようだ。人数が多すぎるだけで、まあ、冷静に考えてみれば勇者は多いに越したことはないよな。ここには蘇生魔法とやらはないらしいし。
それに他にも俺と同じで異世界から転生してきた人間もいるようだ。それをここらの人たちは旅行者と呼んでいるけど・・・
「・・・でも、なんで旅行者? 旅行?」
俺がそう聞くとリズは、
「えっとね・・・・詳しいことはよくわからないんだけど・・・」
「その、旅行者ってね。みんながみんなダンジョンで転生するんだよ。武器も持たずにね」
ダンジョン・・・魔物は主にそこで生まれると考えられているらしい。魔物の発生源ともなればそこの危険度は比べ物にならない。・・・・だからあんなにコウモリ(キラーバットと言うらしい)が現れたんだな・・・。
そんなところに転生って・・・神は何を考えてんだ。普通ならすぐに死んで・・・・
「うん。ほとんどは死んじゃうらしいよ。まあ、当たり前だよね。ダンジョンって勇者でも死ぬ人多いし」
・・・・寒気がする。死んで不幸だと思ってたけど俺って幸運だったんだな・・・神に感謝? あれ。ことの発端は神のせいだよな? ともかくそんな軽装でダンジョンをうろうろしてるから旅行者なんだな。勝手に納得。
「でも、何で助けたりしたんですか? そんな危険な場所だったんなら見てみぬ振りをした方が得策じゃないんですか?」
「ユーキって意外と冷めた人なんだね・・・確かに見捨てる人は多いけど・・・・」
リズはジト目をこっちに向けてきた。・・・・・あれ? 俺そんな変なこと言ったっけ?
「だってメリットがないでしょ? どこの馬の骨ともわからん奴より自分の方が大事だし・・・・」
「私だってそんなに身の程知らずじゃないから助けたんだよ? 私って意外と強いし」
それを身をもって体験している俺はなんとも言えない。あれだけの魔物を一瞬で蹴散らすんだ。リズはきっと相当な使い手なんだろう。
「・・・それにメリットもある」
「そんなの有るんですか?」
「聞いた話だけどね、旅行者はみんな勇者の素質を持っていると言われているの」
「そうか・・・勇者って危険な職業らしいし、足りなくなればそれで補充するってことだな・・・理にはかなってる」
俺がぶつぶつと喋っているとリズは俺に怪訝な目を向けてきた。
「・・・・なんか難しいことをいってるけど・・・・・・半分正解ってとこかな」
「半分?」
俺がそう聞くとリズやけに勿体ぶって、
「旅行者はね・・・・」
ゴクリと唾を飲み込む。
だが、次に出てきたのは衝撃の事実ではなく。
「あれ? もう着いたんだ。意外と長く話しちゃったねー」
え?
よく見れば、大きな門が視界の端にドーンと居座っていた。魔物対策だろうか、回りには石でできた塀が円を描くように並べられていた。
「それじゃ、町ん中で一旦休もうか」
「え!? ちょ、さっきの話の続きは!? 気になるんだけど!!」
俺が必死の形相で訴えると、
「む。それもそうだけど・・・・・」
「ダ メ」
すごいかわいい笑顔で却下された!!
「この続きはまた今度と言うことで」
「え!? 何で!?」
「それには・・・女の子にしかない事情が・・・・」
と言ってリズはなにやらモジモジしていた。
「そりゃないよ!! よりによって一番良いところで!!」
「・・・もう、しつこい男の子は嫌われるよっ!!」
「しつこいも何も・・・」
「文句言わない!!」
「え、ちょ、待っ」
リズを止めようとしたがもう遅く、
「じゃあ、先に行ってるねー。 門番の人に説明すれば入れてもらえるからー。」
そう言ってさっきと同じようにリズは風になった。
「着いたらギルドハウスってとこに行ってねー!!」
荒野に彼女のソプラノボイスが響く。
「そりゃないよ・・・・・・っていうかなんで?」
俺はそう呟いてトボトボと彼女の後を追った。




