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3話

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「気分はどう?」

「大丈夫だよ・・・今度こそはね」

 名前も知らない女の子にリバースするところを見られてしまった・・・もうお婿に行けないよ・・・。

「そういえば・・・君。名前は?」

「雨風勇樹ですけど・・・」

 仮にも命を助けてもらった恩人なのだ。個人情報どうのこうの言ってられん。

 だが、女の子はそれを聞いて首をかしげていた。

「ユーキ・・・アマカゼ?」

 あら? 日本語しゃべってるから気がつかなかったけど名前とかは外人系なのかな? って言うか全然気にしてなかったけどなんで日本語使えるんだろう?

「えっと・・・何でもいいですよ 特に意味もないと思うし・・・」

「そう? じゃあ、ユーキね!」

 何でだ。いきなり名前呼びですか。はっきりいってやめて欲しいんだけど・・・・こうやって距離感を速攻で縮めてくる系女子は苦手なんですが・・・・苦い思いでしかないけど好きになっちゃうよ?

 でも響きが気に入ったのか、何度も頷きながらユーキユーキと繰り返しているのを見ちゃあなにも言えないのが男の運命(サガ)というもので・・・ホントに惚れちゃうよ?

「あれ? 君って変な服着てんね」

「あっ・・・まあ、気にしないでください」

 彼女はなにやらぶつぶつと言いながら俺の全身を注意深く見た。

「黒髪黒目・・・それに変な服・・・一人でダンジョンに・・・」

 そして、

「あっ!! 君って旅行者(トラベラー)?」

 え? トラベラー? なにそれ美味しいの?

 俺が不思議に思っていると、慌ててそれに付け足した。

「ああ、そりゃあわかんないよね。 旅行者(トラベラ一)ってこっちが勝手に言ってるだけだから・・・・それにしても初めて見たなー。異世界の人って」

「え? 異世界・・・・・・」

「うん。 じゃあ、説明するにも・・・長く成りそうだし歩きながら話そっか。この近くに 大きめの町があるんだ」

 いそいそと荷物をまとめると、彼女は歩き始めた。


「まず・・・何からかな?」

「その前に・・・」

「え?」

「その・・・・あの・・・名前は・・・・・・・・・」

 友達作りで自らは動かない系男子。さらにあんまり人を名前で呼ばない系男子の俺としては快挙と言える。対人スキルが絶望的に不足しているかと思っていたが別にそうでもないね。多分。これが出来ただけでも・・・。


「えっ? そういえば言ってなかったっけ?」

「ふぇっ!? う、うん。 い、言ってない・・・です・・・・・・・・・」

 だからそう小首をかしげないで下さいよ・・・可愛いんだから。キョドっちゃうでしょうが。現に俺の心臓は悲鳴を上げている。血圧が気になる思春期(としごろ)なのです。


「私の名前はね、エリザベスだよ」

 エリザベス。女子を名前で呼ぶのに抵抗がある系男子の俺としては・・・一大事だ。

「あの・・・名字。いや、ファミリーネームは?」

「えっとね、そっちはあんまり好きじゃないから・・・名前で」

 エリザベスは頬をかきながらはにかむ・・・困った。名字が嫌い? 家庭になにか、両親とうまくいってないのだろうか。この娘、こんないい子なのになんか腹に抱えてそうだねえ。

 でも・・・初対面の人には敬語が基本。これ、古きよき日本の文化。それを応用して・・・

「じゃあ・・・・エリザベスさん?」

「ん? いや、長いからリズでいいよ。」


 ニックネェェェェム!?

 俺の脳内に電流が走った。

 ニックネーム。ポ○モンでよく知られるそれはリア充の証にして親密度の象徴!! それを・・・悪口以外で・・・・しかも女子にっ、お目にかかる日が来るとは・・・・母さん。やっぱり、死んだら人は天国に行くんだね・・・


「じゃあ、リズさん」

「む?」

「えっと・・・・・・何か・・・」

 え!? 距離感間違えた!? リズさん?は頬を膨らませる。これだから女子は・・・こうして俺のトラウマが増えていくのだろうか。なんだろう。ある意味神格化されていたリズさんの株が駄々下がり。その辺のビッチと変わんなくなってきた。我ながらなんと薄情な・・・・。

だが、彼女の反応は違った。

「リズ」

「ふぇ?」

「長いし、なんか違和感が先に来る」

「はああ、そんなもんなんですかね・・・」


 真逆だったようだ。



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