はじめての街
30分程たった所で街が見えてきた。BWGで見た事の無い街だ。いや、似てはいるものの違う。魔物対策に高くて頑丈な要塞に囲まれていて日本人が観光気分でに行って わぁ~綺麗な街! と言う感想などは言わないであろう外観である。少々困惑しつつも門から入ろうとしたところで声がかかる。どうやら門番のようだ。
「ちょっとそこの君たち。見慣れない顔だね。何か身分を証明出来るもの見せてくれる?」
まさか異世界で身分証明書が必要だとは思わなかった。レオは答える気が無さそうなのでタイジが変わりに答える
「僕たち田舎から出てきたばっかなんでもってないんですけど」
「そうか、それは大変だったな。通行料が二人で1000ゴルドかかるが入っていいぞ」
なにか聞かれると思ったが大丈夫だったようだ。この世界にはこういう田舎から出稼ぎにくる人が多いのだろう。お金はBWGである程度稼いでいたので問題なく払えた。通貨は同じようで安心した
「たしかに頂いた。身分証は迷宮ギルドで作ってもらうといい。そしたら通行料はかかんないからな」
迷宮ギルド?二人の頭に同じワードが宿った。迷宮などBWGには無かった。街といい迷宮といい、ここに来てまたゲームでは無いと言われてる気がした。
「ありがとうございます。寄ってみます!」
「ようこそ『迷宮都市 メザルーボ王国』へ。問題起こすんじゃねーぞ」
そう言って門番は二人を見送った。そしてまた違うところが出てきてしまった。BWGでははじまりの街だった場所がこの世界では『迷宮都市 メザルーボ王国』らしい。
「ゲームには迷宮なんて出てこなかったよね。しかもこの街じゃなくって国みたいだし」
レオが首をかしげながら聞いてくる
「同じなのは『癒しの泉』とステータスだけか」
道はたしかにBWGと同じだった。だからこそ違和感が生じてしまう。
「とりあえず迷宮ギルドとやらに行ってみようぜ」
「そうだね。まずは状況を把握しなきゃ」
ちょっと歩くと迷宮ギルドがあった。元々冒険者ギルドがあった場所なので簡単見つかった。街の中はさほど変わりが無いのだから謎は増すばかりである。タイジとレオは中へ入っていく。そこにはローマとかにありそうな内装だけど市役所に似ている不思議な空間があった。とりあえず職員であろう女性に話しかけて見る。外人っぽい顔で美人といえよう
「あの、身分証を作っていただきたいんですけど」
「かしこまりました。手数料一人1000ゴルドと簡単な質問がありますがよろしいですか?」
「はい、お願いします」
「大丈夫」
この敬語の使えない奴はレオである。本人曰く敬語はめんどくさい。だそうだ
質問内容は本当に簡単なものだった。過去に人は殺したことはあるか?どこかの国で指名手配されてないか?などという元の世界の人ではまず引っかからないであろう質問。嘘をつくとお姉さんの持ってる魔石が光るんだとか。
「登録が完了致しました。これでお二人の身元は迷宮ギルドが保証致します。」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
最後にギルドの規則が説明された。
迷宮ギルドはギルド員同士の争いには関与しない
依頼を失敗した場合は罰金をとる
ギルドカードは複製・譲渡は出来ないなどという当たり前っちゃ当たり前の事ばかりだった
「今日は何か依頼を受けて行かれますか?」
お姉さんは笑顔で聞いてくる。とても好感の持てるお姉さんだ。
「今日はやめておきます。それよりも迷宮のこと教えてくれませんか?田舎から出てきたので知らなくて」
異世界から来たなんて言ったらめんどくさい事になりそうだから内緒と言う方向で二人は落ち着いた。人体解剖なんてされたら二回目の死を迎えてしまう。せっかく運良く転生したんだし異世界を楽しもうということだ。
だが、偶然ではなく必然であったことをこの時の彼らが知る由もない
「この迷宮は100年前に突然出現しそれ以来、希少な魔石を持った魔物が存在することから各国の国が迷宮攻略に力を注いでいます。しかし残念ながら100年経った今でも第34層までしか攻略出来ていません。その大きな理由は10層ごとに出現する迷宮ガーディアンが強力で思うように攻略出来てません。ここ10年は39層で立ち往生してる状態が続いてます。」
「10年も進んでないのになんで諦めないの?」
またまた敬語が使えないレオくん
「その大きな理由は第100層を攻略するとなんでも願いが叶うからなのです」
「たしかにそれらな各国が血眼になるのもわかりますね」
「たしかにこれは魅力的」
二人は各々の感想を述べたあと思った。絶対に迷宮に挑戦しよう。と
今日はもう宿に泊まる事にした。ギルドお姉さんから近くのダービス食堂が料理が美味しくて宿も安いと聞いたのでそこに行くことにした。ギルドからちょっと歩いたところにダービス食堂というドデカイ看板があった。これはわかりやすい。さっそく中へ入ると陽気なおばさんが受付にいた。なんか想像通り。
「いらっしゃい!食事かい?宿かい?」
凄くテンションが高いのに圧倒されそうになるのを抑えてタイジが答える。こういう対人でレオはまず喋らない、本人曰くめんどくさいんだそうだ。
「泊まりと食事できますか?」
「じゃあ二人分の宿と食事付きで3000ゴルドだよ!」
お金を渡し部屋に案内してもらう。二つ部屋をとっても良かったのだが節約で一部屋にした。もちろんベットは二つある。ゲイではないので安心してほしい。
部屋でこれからの事を話すことにしよう
「なぁレオ?第100層を攻略すると願いが叶うって話どう思う?」
「魅力的だけどなんか胡散臭いよね」
「やっぱレオもそう思うか。100年も経ってるのに第34層までしか攻略出来てないのも情けない話だよな」
「おれたちなら第100層も楽勝な気がするけど」
「この世界の人にステータスがどんなのかわかんないけど攻略出来ないのにはなにか理由でもあるんじゃないか?」
「明日ライブラリで確認してみよ」
ライブラリとは相手のステータスがわかる便利なスキルだ
「そうだな。今日は色々あって疲れたしもう寝るか」
「そうだね、おやすみ」
こうして異世界一日目は終了した。
次回迷宮篇
勢いで書いてしまってるから変な所多いかもです
もし変な所あったらご指摘ください