裏・オープニング いくぜヤロウども!
登場人物
エリザ「べ、別に……自己紹介なんてしたくないんだからね!」
きのこ派に属する売れないアイドル。ツンデレ? 武器はきのこハンマー。
龍谷 雛紅 「私にいい考えがある」
正式名称はリュウコクヒナベニタケ。ちっちゃい。主人公ズのサポート役になる予定。
季節は春。桜の花びらが舞い、ぽかぽかとした陽気に百花花開く季節。
そんな素晴らしい季節でも、私の心は晴れやかでは無かった。
「ここから先がたけのこの領域ですよ!」
私の肩にちょこんと座った可愛らしいお雛様が話し掛けてくる。
お伽話に出てくる一寸法師を彷彿とさせる彼女は肩の上でぴょんぴょんと飛び跳ねながら、建物と建物の間の小さな道の向こうを指差していた。
それにしても、いつ見ても小さいわね……。
「お礼を言うわ雛紅、ここまで来たのは初めてだったから……」
「お安いごよーです!」
舌っ足たらずな雛紅に「ありがとうね」と告げ、肩の上から近くにあった桜の木の枝へと移動させる。
紅色の瞳と髪の毛が良い具合に桜の花びらと混ざり合い、丁度良いカモフラージュになっているので動物に食べられたり襲われる心配も無いでしょう。
そういえば、雛紅はキノコ娘だけど動物ってキノコ娘も食べるのかしら?
「ほんとうに行っちゃうんですか?」
心配そうに見つめる雛紅から目を逸らして真っ直ぐ前を向く。せっかくここまで来たのに決心が鈍ってしまいそうだから。
「私達の山を守るためよ、タケノコ如きに遅れを取るわけにはいかないわ」
「エリザさん……」
「心配しないで、雛紅。タケノコなんて皆引っこ抜いてご飯に入れて美味しく炊き上げてやるんだから!覚悟しなさい!」
「エリザさん……はぁ……」
ガクッと肩を落とし、ため息を吐く雛紅。
そんな彼女を尻目に、私はどんどん先へと歩き出す。
連れ去られた仲間を取り戻す為、自分たちの山を護る為、そしてアイドルとしての売り上げを確保する為、私は単身、たけのこの里に挑むのであった。
………………
「エリザさん大丈夫かなぁ……」
エリザと別れた後、雛紅は桜の枝の上でぼんやりとしていた。
考えているのはエリザの事である。
正義感が強く、基本良い人な彼女は実はおっちょこちょいで、後先考えずに行動することが多い。タケノコの連中をやっつけてやるわ!と豪語していたが、後になって後悔していたのはバレバレだった。
だが現在のきのこ陣営で、即戦力になりそうな人材は彼女しかいないのだ。
「せめてサポートしてくれる人がいればいいのだけれど…… このままじゃ自滅しそうで心配だなぁ……」
せめてあともう少し身長が高ければ自分も戦えるのに、と悩む雛紅だった。