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SSSゲーム  作者: 和猫
高校一年編
9/113

乱入もありだろ

「何シカトしてんだ、さっさと玉置いて帰れって言ってるんだ。それともやる気か?」

 単車から降りた男、トシキがそう言いながら高圧的な態度でにじり寄ってくる。

 やばい、どうする。こんな奴と正面からやりあっても勝てる気がしない。しかし、鼓動が早くなり考えがまとまらない。

 俺がパニック状態なのを知ってか知らずかカズが一歩前に出た。

「お久しぶりです、トシキさん」

「カズか、お前も居たのか。久しぶりだな、こんな所で会うとは思っていなかったぞ」

「オレはトシキさんが来ると思ってましたよ、チーム名のキゾクってトシキさんのゾク名でしたよね?」

 気が付かなかった……そういえばそんなような名前だったような。でも気が付いていたなら何で事前に教えなかったんだ!と俺はカズに心の中で非難の声を浴びせた。

「まあな……しかしそれを知って来るとはやる気って事か?お前らしくないな。いつからそんな好戦的になった」

「やる気って訳でも無いんですけどね、全然違う奴がチーム名だけ騙ってるかもと考えましたし」

「そうかそうか、安心したぞ。俺相手にやる気で来たのかと思ったぞ、まあ俺とお前の仲だ賞金取ったら飯くらい奢ってやるから今日の所は玉置いて帰るんだ」

 口調は優しい感じだが決して油断せず、そしてとことん上から目線でトシキが言うと、トシキの後ろの小太りの男が口を挟んだ。

「待ってくださいよトシキさん、折角来たのに話し合いだけで終わる事もないでしょう。少し遊ばせてくださいよ」

「あん?誰に意見してんだ、黙ってろ」

 一括で小太りの男は後ずさった、しかしカズがそこで話を繋げる

「まあまあトシキさん、こんな寒い中折角来たってのは同感ですよ。何かして遊びませんか?玉の取り合いなんですし玉賭けて」

 うまい、これで相手が乗ってきたら喧嘩以外の勝負で玉を奪える。

「どうせ五対五なんだし、一人づつ戦うってのはどうだ?」

 そう言ったのはタケシだった、もう一息で勝ち目のある勝負に持っていけたのにアホかこいつは!

「イキの良いのが居るな、俺を前にそんな事言う奴が居るとはな。いいぜ乗ってやる」

 そう言いながらトシキは踵を返し自分の単車に肘を掛ける。

「お前の発言でこうなったんだ。お前からいけ」

 トシキがさっきの小太りの男に顎で合図する。

「はい、ありがとうございます」

 そう言いながら小太りの男と他二人が前に出て来た、もう一人はトシキの横で立っている。

「そうだな、そのマスク男どうだ?相手してやろうか?」

 小太り男が憎たらしい顔で俺達を値踏みするように見ながら言った。こいつなら勝てそうだ、俺がやりたい……

「よかろう!私は何時誰の挑戦でも受けるぞ!さぁリングに上がりたまえ!」

「どこにリングがあるってんだ、舐めやがって。行くぞ」

 小太り男がユタカに突っ込んできた、タックルでもするつもりだろうか、やけに前傾姿勢だ。しかし体系のせいか足が短いのかダッシュが遅い。

「ハッ!」

 掛け声と共にユタカが飛び上がりそのままドロップキック、綺麗にカウンターで決まった。

「打点たかっ!」

カズが思わずそう叫んだのも頷ける、ユタカは垂直に飛び上がり打ち下ろす角度でドロップキックを見事に決めたのだ。

 小太り男は思わぬ直撃を受けたが倒れはせず顔を抑えながら呻いた。その顔を抑えた一瞬でユタカが背後を取りチョークスリーパーを決めた。

 プロレスはあまり詳しくは無いが素人目に見ても解る、完全に決まっている。小太りはそのまま両膝を付いた。

 ユタカはそこで更に前に押し倒し首を決めたまま足も絡める。STFという奴だ。流れるような連続技である。

「早くタップしたまえ!リング中央で決まった私のSTFを振りほどくことなど出来んぞ!」

「うがぐぐ……」

 きっとどこにリングが、とか言っているのだろう。小太りは上半身裸のムキムキ男に押し倒されたまま身動き取れずに呻くだけである。

「つえぇ……」

 カズは関心するように見入って呟いた。全く同感である。頼りにならなそうなイメージだったがこれは俺達の中で一番強いかもしれない。

 これで勝負あったと思ったときトシキ側の二人がユタカに向かって走り出しだ、まずい、無防備のユタカを攻撃するつもりだ。

 しかし俺が走り出すよりも先にタケシがユタカの上を飛び越えて向かって来た一人にそのまま飛び蹴りを決めた。もう一人の男も腹を抱えて蹲っている、そっちはヒロシが止めたようである。

「お前等の言いたい事を先に言ってやるよ、プロレスなんだ乱入も有りだろってとこだろ?」

「真剣勝負を邪魔するものじゃありませんよ。自分の順番が待ちきれないなら僕が相手になります」

 なんて奴等だ、ビビッてる所か肝が座りまくってやがる。あのトシキの仲間相手に完全に優位に立っている

「あーあ、こうなっちまったらタイマンなんて言ってられないな、俺達も始めるか、トシキ」

 それまで一切喋らなかったトシキの横に立っていた男がゆっくりとこっちに向かって来た。その後ろをトシキも着いてくる。

「あのー、僕は非戦闘員なんで見学でもいいっすかね」

 この後に及んでカズがとんでもない事を言う。

「今更そんな……」

 隣の男が何かを言いかけた瞬間カズが飛び出しそいつの顔に正拳付き。カズはそのままトシキの横を走り去って行った。

「のやろぅ!トシキ、俺は逃げた腰抜け野郎を追うぞ。残ったのは任せるからな」

「腰抜け?あいつがか?まぁいいさ、好きにしろ」

 トシキがそう言うと隣の男はカズを追いかけて走っていった。

「てわけで、俺の相手はお前だな。覚悟はいいか?」

 うそん…… 

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