なんかエロイ事
「この辺だな」
街頭も無い暗闇の中、自転車を走らせ俺達は発信機の反応の近くまでやってきた。
「お、コンビニが開いてる。本当に二十四時間なんだな。」
タケシがコンビニの看板の光を見つけ相変わらず切ない事を言う。
「どうやらコンビの……中?か?入ってみるか」
カズが自転車を降り、発信機を見ながらコンビニの方に歩いていく。
「俺、こんな時間にコンビニに入るの初めてだよ。なんかドキドキする…」
「オレもだよ、何か緊張するな」
田舎者丸出しの二人が馬鹿らしい会話をしている……まぁ俺も同じく入った事ないのだけども。
二人が入り口の近くでまごまごしていると中から一人の女の子が出てきて話しかけてきた。
「タケシ、何してるのこんな時間に?」
「ミク、お前こそこんな時間に一人か?」
どうやらタケシの知り合いのようだ、カズは咄嗟に発信機と彼女を見比べる。彼女が参加者なのかの確認だろう。
発信機をポケットに直し黙って首を横に振った、違うと言う事だろう。
「一人だよ。私はお腹空いたからちょっと来ただけ、家近くだし。この辺も便利になったね」
ミクと呼ばれた子はにっこりと笑いながらタケシの質問に答えた。
「タケシ、暇なら家まで送ってよ。こんな可愛い子が夜道を一人で歩いてたら危険でしょ?」
タケシは少し困った顔をしながらこっちを見た。どうしたもんかと聞きたいのだろう。
「確かに一人で帰らせるのも危険かもしれないし送ってってあげな」
カズは彼女の頭にぽんぽんと手を置きながら言った。
さり気なく女の子の頭に触りやがった!コイツ……巧いな。俺も機会があったら是非やってみよう。
タケシが「いいのか?」と聞くとカズは
「出会っちまったもんは仕方ないだろう、その代わり変な事しないですぐに戻って来いよ」
「悪いな、じゃあちょっと行って来る」
そう言うと、タケシは彼女と暗闇に消えていった。
「なぁ、一緒に着いてった方が安全じゃないのか?一人で居るところ襲われたら大変だろ?」
俺はカズに聞いてみた。
「野暮な事言うなよ、だからお前はモテないんだ、それより発信源がコンビニの中じゃないようだぞ、裏手かもしれん。ちょっと回ってみよう」
「んな……のっ……」
確かに俺はモテた事は無いが直球で言いやがって。思わず言葉に詰まってしまった。
「ついでにヒロシ達に連絡出来るか?オレの携帯圏外なんだけど」
言われて自分の携帯を取り出してみると俺のも圏外だった。
「この辺は駄目みたいだな。都会になってきたと思ったけどまだまだのようだ、ヒロシ達に連絡ってどうかしたのか?」
「ああ、あっち側の反応が二つとも合流してこっちに向かってきてる、ヒロシ達は前に反応があった辺りをウロウロしてるみたいだ」
「マジかよ、こっち側の三つの反応もすぐ近くに……」
と、俺が言いかけた時にはもう目の前に三人の大男が立っていた。
「うわぁ、いつの間に……この発信機ちょっとラグあるんじゃないの」
俺はカズの頭をパシっと叩き
「余裕こいてる場合か、ニ対三じゃ分が悪いだろ。一旦逃げようぜ」
しかしカズは退く気は無いようで小声で囁いた。
「そうもいかないだろ、タケシはもうすぐここに戻ってくるし、ヒロシ達も連絡が付かないと解れば最初に話してたコンビニかプールに向かうはずだ。戻ってきたあいつ等が襲われたら同じ事だ、みんなが来るまでここで耐えるしかない」
な、なるほど……しかしこんなごついの三人も相手に耐えられるだろうか
するとカズは俺に発信機を渡した。
「これ使ってタケシを呼んできてくれ、何かエロイ事してるかもしれないが緊急事態だ。我慢してもらおう」
「お前はどうするんだよ」
「こんなガタイの良いの相手じゃそんなにもたん、五分が良い所だ。急げよ!」
そう言いながらカズは大男三人組に突っ込んで行った。
俺はタケシの反応に向かって走り出した。くっそ!やられるんじゃねぇぞ!