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SSSゲーム  作者: 和猫
高校一年編
11/113

冗談じゃねーぞ

「ふう」

 カズの家に着き、皆いつもの定位置に腰を下ろした。

「んじゃ一息付いた所で何が緊急事態なのか聞かせてくれよ。今日は俺達の圧勝で終わってたじゃんかよ」

 タケシが皆の思っていた事を言葉に出してくれた。

「そうだな、どう説明するか」

 カズが口を開くとユタカが被せてきた。

「私には解っているぞ、問題点はレフェリーが不在な点だろう。勝ち名乗りも受けられないのではどこで試合を終わらせるべきかわからん」

「………」

 皆しばしの沈黙。

「ヒロシちょっと手伝え、マスク剥いちまおう」

「そうですね」

「何をする貴様等!マスクに手を掛けるなど言語道断!恥を知れ!」

 もう真夜中だと言うのに騒ぎ出す三人を尻目にカズが落ち着いて話を続けた。

「ミスターエックスの言ってるのが問題の一つだよ、レフェリーがいない、つまり終わらせる人が居ないって事だ」

 暴れていた三人も手を止めカズを見る。

「何言ってんだ?そんなもん最初から解ってたことだろ?試合開始、よーいどんが無けりゃ喧嘩も始められないってか?」

 タケシは心底呆れ顔でカズをみながら言い放った。

「違うよ、開始の合図はどうでもいいさ。問題は終わる時だ。今回トシキさんにゲームだオレ達の勝ちだと言い放ってとっと帰ったのは、あの後更に向かってきたら面倒だろ」

 確かに……馬乗りになった状態で下からの無理な体勢からのパンチにも関わらず未だに痛む脇腹を押さえ、あの後まだ続いたらと思うと嫌になる。

「面倒かもしれないけど、こっちは五人だぜ?負けっこ無いって」

 俺の気持ちは全く知らずそれでも勝気なタケシだ。

「タケシの言いたい事は解るよ、あそこで潰して置いたほうが後々楽だろうって事もな」

「いや、潰すとかそこまでエグイ事は思ってなかったけど……」

「トシキさんがオレ達五人でやれるかやれないかは一先ず置いといて、あの人は族のリーダーだ。そんな人を潰したらどうなると思う?」

「なるほど、ボスをやられた下の人達が僕等を狙う。しかも終わらせる人が居ないって事はまだ続いているとも……」

「そういう事、しかも今度は指定されたゲーム時間内ではなく学校行ってる時や寝てるときにキゾクの連中に狙われる可能性もある」

 !?!?

「そんなん冗談じゃねーぞ!」

 思わず大声を出してしまった。

「うん、冗談じゃねぇよな……だからなるべくゲームだよ、本気でやったら勝てるわけないじゃないっスかって感じに終わらせたかったのに」

 カズがタケシを軽く睨む。

「更に火に油注ぐような真似しようとするからゾッとしたぞ」

「よく解ったよ。すまんこれからは気を付ける……」

「ん。とは言えこの町最強の不良に勝ったし、それを目撃した奴等も居ない。トシキさんが自分が負けたことをわざわざ言わない限りは大丈夫なはずだ。個人的にナオのとこにお礼参りは来るかもしれんけどな」

「おいおいおいおいおい!?何で俺だけそんな目に合うんだよ」

 俺は当然の批判をを言うがカズは冷ややかな目で言い放った。

「だってタイマンに勝ったのはナオだろう?」

 そ……そんな……

「じゃあ今回の事は他言無用って事ですね、僕は別に言うつもりありませんでしたがタケシとかナオさんとか言いふらしそうですからね」

 う、正直トシキに勝ったぜとか言ったら女の子にモテたりするかなとか考えていたりはした。

「そうだな内緒にしておこう、メリットもあるけどデメリットもある。折角今の状態ならナオが生贄になってくれるだけで丸く収まるんだし」

「ちょっ!」

 俺の反論を聞く気もなくユタカ……ミスターエックスが言葉を遮る。

「メリットとは?」

「町一番のヤンキー倒したから怖がって誰も手を出してこない。ちなみにデメリットはさっき言ったキゾクのメンバーに狙われる他にキゾクを潰した奴を潰せば自動的にオレが最強だとか言う奴も出てくるかもな」

 カズが軽い乗りで恐ろしい事をサラッと言いのけた。

「そういえば私も一つ懸念があった」

 ユタカも何かあるのか、正直俺はもうお腹一杯だ。

「レフェリー不在の試合で、例えば六人目を連れて来たりしたら一体誰がそれを咎めるのだ?」

 ………

「も……盲点だった……そんな単純な穴があるとは」

 カズががっくりと肩を落とした。

「確かに考えてなかったな。唯一のルールもこれじゃ、いよいよもってルール無用だな」

 タケシもコタツで眠そうに言った。

「まぁ、今考えても仕方ないかな。オレ達には六人目の仲間も居ないし、相手が六人だったとしても五人で対応するしかないよ」

 カズがコタツに突っ伏したまま答えた。

「それじゃ話もまとまった所で帰りましょうか、もう眠いです」

「そうだな、私も一眠りしたら早朝トレーニングの時間だ」

「ふぁ~ぁ、今日は学校サボろ。んじゃお休み」

 皆それぞれ帰っていく。

「んじゃナオも気をつけて帰れよ。背後に気を付けてな」

 俺は痛む脇腹を押さえながらとぼとぼと家に帰るしかなかった




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