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G.L.O.R.I.A  ~目覚めたらサイボーグなのは違くない?~  作者: 氷上 廉


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1/1

1話 始まり

迫るトラックを前にわたしはピクリとも動けずにいる。


アビイ・ロードを渡るビートルズのように横断歩道の上で足を開いて固まっている。


人間、本当に意識外のことが起きたら動けないらしい。



だが反対に、頭は今までにない速度で回転している。


引き延ばされた意識の中で、これまでの人生が走馬灯のように駆け回る、、、、、、、


ことはなく、ゆっくり、永劫とも思える時間をただ目の前の光景を眺めることに浪費する。


別に思い出すことがない、つまらない人生を送ってたわけじゃないぞ。

多分、きっと、そうなはず。そうであれ!


陽光がフロントガラスで反射して見えずらいが、運転手は呑気にお昼寝中のようだ。ざけんな


まあ、これからのこいつの人生を思えば、溜飲もさがっ、下がる、、、


分けねえだろ。


まったく、、、、、











うん、、、もうちょっとなんかないの⁉


今際の際だぞ!!!


もしかして私の人生、薄すぎ!?


こんなとこで悲しくなるのか(困惑)


、、、、死ぬ間際がこれか

でもまあそこそこ楽しい人生だっt


そんなくだらないことを考えているうちに、その時は訪れた。


今まで感じたこともない熱と共に、現実に引き戻される。


目の前が真っ赤に染まる。


吹き飛ばされ、横たわった視線の先は熱されたアスファルトが揺らいで、深紅といっしょに夕焼けを形成していた。


それがわたしの最後の記憶のはずだった。




-----------------------------------------------------------


暗い意識の底で、わたしは重力から切り離されていた。


身体はただ、ぬくもりに抱かれている。


それは、かつて知っていたはずの感覚ーー

胎児のころのような、原始的な安心感。


ここがどこであろうと構わない。

そう思えるほどに、穏やかな沈黙が続いていた。


けれど、意識がゆっくりと浮上してくる。


その輪郭がはっきりするにつれて、ぬくもりは、次第に異物へと変わっていった。


重たく、まとわりついて、逃れられない。


耐えきれず、目を開く。


視界の向こうにあったのは、歪んだ透明ーー

わたしを閉じ込める、ガラス管。


身体には無数のパイプが繋がれ、わたしはその中で、液体に沈められていた。


ぬくもりが、いや液体が、眼球に張りつき、視界を濁らせる。


そんな状況に動揺して今まで出来ていたはずの息ができない。


もがくほど一層息は遠ざかっていく、肺が焼けるように痙攣し、意識が弾ける。


口からこぼれた気泡は、言葉になり損ねた叫びの残骸のように、ゆっくりと浮かび上がっていく。


最後の空気が、喉の奥で途切れた。


つんざくような轟音とともに、ガラスが砕け、液体が奔流となって外へと逃げていった。


光。空気。重さ。


そのすべてが一度に押し寄せてーー




わたしは生まれた。




焼けるような痛み。

温かい液体を吐き出し、冷たい何かが流れ込む。

吐く。

吸う。

そして吐くーー


ぎこちなく、けれど確かに呼吸ができている。


深呼吸で息を整えていく。

呼吸とともに意識も落ち着いてきた。




なんでこんなことになってんだ

トラック、、そうトラックに――

そして、、そして、、、、、、、、、



現状を把握しようと頭をフル回転している――

そんなさなか、ガラスの奥にいる誰かに、いや、それに目を奪われる。


裸の、男性とも女性ともいえない中性的な顔立ちをした容姿端麗に見える。


だが、そんなことが気にならないくらいの嫌悪感が襲う。


それはところどころ肌から覗かせる金属ーー

生物にあるはずのないメタリックな人工物のせいだ。


よく見ると顔や腕に人工的な直線の切れ込みがある。


人工物が過度に人間に近いたために起きる嫌悪感、不思議の谷現象をそのまま表したような――

そんな冒涜的なそれがわたしを見つめている。


恐怖に足がすくんで、それから逃れようとしてつまずく。


問題なのはその時に金属音が鳴ったこと、

そしてガラスの奥のそれも同じく動き出してつまずいていること。


落ち着き始めた呼吸がまた荒くなる


あぁ、、、理解した。


それはわたし


このつぎはぎが――

機械仕掛けの人形がわたし


落ち着け

ただ体に機械がまじってるだけだ、

どうってことない


自分に言い聞かせる。

それでも呼吸はいまだ荒れ狂う。


ガラスの反射ではなく直接自分の腕を見て、手を動かす。

腕をひねり、こぶしを握る。


うん、わたしの腕だ

こんなメタリックな腕でも――





改めてガラスに反射するわたしを見る。


長髪の黒髪

銀色の腕

華奢なシルエット


性別はよくわからない。

そもそもこんなサイボーグに性別なんてないのかも。


近くにあった椅子に座りながら周囲を眺める。


倒産したオフィスの一室をぐちゃぐちゃにシェイクしたような部屋――


そこにわたしが入っていたガラス管とそれに繋がったケーブルが、まるでどこかの研究所から瞬間移動してきたように浮いている。


落ち着いてきた。


そもそもどこだ?ここ、、、

交通事故にあって、こんなところに来るだろうか?いや、ない。


でもワンチャン、瀕死の重体のわたしがサイボーグ化で命を繋いだ。

なんてロボコップみたいな、ありがちな展開の可能性もあるかも!!


えっ、そんな訳ないって?現実逃避すんなって?


いいじゃん!こんな時くらい現実から逃げたって!!


だってもし、この状況がよく言う転生ってやつだとしたら、

わたしはどうなるんだよ!?


こんな良くわからない場所で独りぼっちってことじゃないか!?


そう、この部屋の扉を開けたら医者やら研究者やらがいるに違いない、

そうであってくれ!!


扉を開けにいこう、証明するために!!


ぎこちなく立ち上がる。

歩くたびにコツコツと金属音が部屋全体に鳴り響く。


歩きづらい、、、、

一生この体ってマジ!?


、、、まあ生きてるだけいいか。(良くない)


重い体を何とか引きずって、扉の前まで歩く、

ドアノブに手をかけ、扉を開けると、


そこは地下歩行空間のように広い廊下が続いていた。


あ~ね、

なるほど、なるほど、、、


やはりこれは、

転生か!?転生ってやつなのか!?


い~やまだ諦めない。

地震とかの災害でみんないないだけかも。

部屋もごちゃごちゃしてたし。


ん?、よく見ると地面に足跡あるな


な~んだ人いるじゃん!

やっぱりな~、

転生なんてあるわけないだろ、って、え?

なんかおかしくない?

わたしの足の1.5倍くらいあるし、恐竜みたいな足跡なんですけど。


ドンッ、ドンッ、ドンッ、


廊下全体が激しく揺れる。


さっきの足跡から嫌な予感するんだが。

現実から目を逸らしていいですか?


え?、さっきから逸らしてばっかだって?

時に現実逃避は大事なんだよ。


ドンッ、ドンッ、ドンッ、


鈍い音が近づいてくる


あ~駄目ですか、そうですか。

現実が許してくれないらしい。

ゆ~っくり後ろを見よう。

ゆっくり見れば現実が気付かないかも。(?)


振り返るとそこには大きな影が揺らいでいる。


それは獣――

全身が黒く、

口からは鋭い牙を覗かせ、

胸には濃い紫色のクリスタルが輝いている。


獣が天を仰いだ瞬間、雄たけびが空気を揺らす。

脳が、本能が痺れる。


あ~、うん、これやっぱ転生だわ。

そしてこれ~、また転生だわ。

次はせめて生物がいいな~

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