表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/146

第七十五話「秘密の隠れ家」



山間部の隠れ家周辺で、ブレイド隊員たちは慎重に警戒網を張っていた。


マルコとエリスは高台に陣取り、双眼鏡で遠方を見張っている。セラフィナとレイは隠れ家の左右に分かれて配置に就いた。全員が新装備の抗ウイルス薬射出装置を携帯し、いつでも戦闘に対応できる体制を整えている。


「周辺クリア」


「こちらも異常なし」


無線で安全確認の報告が次々と入る中、ガランは巨大なバンカーと、その奇妙な鈍い輝きを放つ大扉を見上げて唸っていた。


「これが......」


扉の表面は見たことのない金属で作られており、まるで宝石のような独特の光沢を帯びている。触ってみると、ひんやりとした感触が手の平に伝わった。


「この扉だけで、すげえ金になりそうだな......」


ガランは商売人の目で扉を品定めしていた。この材質は何なのか、どこで加工されたものなのか、興味は尽きない。


ボタンらしき凹凸を見つけて指で押してみたが、やはり何の反応もない。


「やっぱりダメか......」


そこでニーナが「ふふん」と得意そうに笑いながら近づいてきた。


「あーどいてどいて」


彼女が扉の表面のある箇所に触れると、*ガコン*という重い音と共に、巨大な扉がゆっくりとスライドを始めた。


「へえええ! すげえ!」


ガランは心底感心した声を上げた。


「どうやったんだ? 俺が触った場所と同じに見えるが......」


「それはコツがあるのよ」


ニーナは曖昧に答えた。実際のところ、彼女自身もなぜ扉が開くのかよく分かっていないのだが、そんなことを正直に言うわけにはいかない。


扉の向こうから、ひんやりとした冷気が流れ出してくる。そして奥の方から、微かに空調の稼働音が聞こえていた。


「中に入ってみよう」


ガランが先頭に立って施設内部に足を踏み入れると、そこは想像以上に奇妙な空間だった。


壁際には理解不能な制作物が並んでいる。複雑な回路を持つパネル、漫画本、そして妙に生活感のある家具。確かに「隠れ家」という言葉がぴったりの場所だった。


「何だこりゃ......」


ガランは机の上にあったハンドガンらしきものを手に取ってみた。しかし、弾倉を開けてみると、中には弾丸ではなく、何かのバッテリーのようなものが収められている。


部屋を見渡すと、最もよく分からない発明品らしきものが雑多に置かれていた。一体何の用途なのか、見当もつかない装置ばかりだ。


興味を引かれて漫画本を手に取ってめくってみると、少し前の時代の馬鹿げたジョークが満載で、下ネタ全開の内容が羅列されている。


「......うわあ」


ガランはそっと本を元の場所に戻した。


「これ、全部運び出すのか?」


ディアスに尋ねると、隊長は頷いた。


「そうだ。すべて重要な資料の可能性がある」


「なあ......」ガランは提案した。「前から思ってたんだが、船の連中を呼んで運んだ方が楽じゃないか? 俺もニーナも、いわば部外者なわけだし......」


ディアスは他の隊員たちと目配せを交わした後、頷いた。


「確かにその方が効率的だな。頼む」


ガランは無線機を取り出して船に連絡を入れた。


「雷牙号、こちらガラン。三人ほど、運搬用の車と一緒に来てくれ」


無線の向こうから、船員たちの声が聞こえてきた。


『じゃんけんで勝った方が行く!』


『グー!』


『チョキ!』


『パー!』


完全にピクニック気分の掛け声が響いている。


「おい、遊びじゃないぞ......」


ガランは苦笑いを浮かべた。


しばらくすると、小さなトラックに乗った船員三人がやってきた。トム、ジャック、そしてアザリアだった。


「うわあ! これが女帝の秘密の場所かあ!」


トムが目を輝かせて叫んだ。


「記念撮影しようぜ!」


ジャックがカメラを取り出して、隠れ家の前でポーズを取り始めた。


「おい、おい......」


さすがにディアスが呆れ顔で注意した。


「ダメなのか?」


アザリアががっくりと肩を落とした。


「当たり前だ。ここは軍事機密だ」


「つまんねえ......」


船員たちは渋々カメラを仕舞って、真面目に作業に取りかかった。しかし、その表情には相変わらず好奇心と興奮が宿っている。


「よし、それじゃあ運び出し作業を開始するぞ」


ディアスの号令で、本格的な荷物の搬出作業が始まった。前女帝アジョラの遺した謎の品々が、一つずつ陽の光の下に運ばれていく。


その中には、きっと帝国の未来を左右する重要な秘密が隠されているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ