第七話「偽りの身分」
コックピット内で、二人は小声で相談していた。
「あれだけ武装している船だ。多分違法な連中だろう」
ラムザが冷静に分析した。雷牙号の船体には、明らかに軍用の改造が施されている。
「身分は明かさない方がいいな」
「どうしますか?」
「私はエリドゥの商人の息子。お前は私の姉ということにしよう」
ラムザは素早く設定を考えた。13歳とは思えない冷静さだ。
「このアーマーは、街に捨てられていたのに乗ってきた。いいな?」
「承知しました」
ニーナは頷いた。
「名前だが......私はここではライネルということにしよう。お前の苗字は?」
「クロウです」
「じゃあ、私はライネル・クロウ。お前は......ニーナ・クロウ姉さんだ。いいな?」
「はい、ライネル様」
「様をやめろ」
「はっはい!」
アーマーから降りると、雷牙号の船員たちが警戒した表情で近づいてきた。
「おい、お前ら何者だ?」
「私たちはエリドゥの商人です」
ラムザが堂々と答えた。
「姉と私、この街に商売で来ていたのですが、テロに巻き込まれて......」
「それで、そのアーマーは?」
船員の一人が疑わしげに聞いた。
「街に破壊された機体が転がっていたので、動くのを見つけて乗ってきました」
「姉さんが整備兵をやっていたもので」
ニーナが付け加えた。
「なるほどな」
ガランが現れた。改造法石ライフルを肩にかけている。
「で、何が欲しい?」
「僕たちをエリドゥまで安全に送ってくれれば、お金は家から出します」
ラムザは大金を約束した。
「いくらだ?」
「300メルベラ」
船員たちがざわめいた。まあまあな金額だ1メルベラでコース料理を2度食べられる。簡単な車両などを変える金額だ。
「船長、そんなことより早く載せて離脱しましょう!」
機関士が叫んだ。まだ周囲に敵がいる可能性がある。
「ちょっと待てよ」
ガランは眉をひそめた。何かが引っかかっている。
商人の息子にしては、少年の立ち振る舞いが上品すぎる。それに、あのアーマーの操縦技術。普通の整備兵にあんな戦闘ができるのか?
「お前ら、何か訳ありだろ?」
「何のことですか?」
ラムザは動じない。
「まあいい」
ガランは肩をすくめた。金貨1000枚は魅力的だ。
「乗れ。ただし、船の中で変なことをしたら海に放り出すからな」
「ありがとうございます」
ラムザは礼を言った。
「急げ!まだ敵が来るかもしれない!」
船員たちが慌てて離脱の準備を始めた。
ニーナとラムザは、雷牙号に乗り込んだ。
しかし、ガランの疑いの目は消えていなかった。




