第30話
「社長、社長のお父様はそれほどにお強いのですか?」
「物理的には私の方が格段に上でしょうけど、私の財布を握っているのはあの人なのよねぇ。一応『最上財閥の総帥』って肩書きの人だし、敵に回したくないわ」
「社長?その最上財閥なんですが…社長の総資産よりも最上財閥の総資産の方が少ないです!」
「あら!いつの間にやらそうなの?あのお父様から解放されて好き勝手に生きるわよ!」
社員一同「今までは好き勝手じゃなかったのか…」と思ってしまいました。
「‘ツクヨミセキュリティ’も別会社にしたことだし、スッキリサッパリとどーんと買い物をそうねぇ?確実に必要なのはプライベートジェットね」
確実じゃないですけどね。社長のワガママに対応するなら必要でしょうね。
「他にも島とか欲しいんだけど、それは追々にしましょ?お父様が私の仕事の妨害をしてくる可能性もあるわけだし」
どういう親子関係なの?うちの神社なら考えられない。私が下剋上とか…金銭的にも無理だし。
「プライベートジェットなら、パイロットとか整備とか燃料の費用もかかってくるんじゃないですか?」
「ノンノン、うちには優秀な魔法使いがいるのよ?パイロットも特には必要ないし、燃料も必要ないわね。整備ねぇ。まぁ、襤褸くなりそうだったらアウラになんとかしてもらうわよ」
「特別手当をいただきますよ?」
「もちろんそんなのは折り込みつきよ」
しかし、その日の夜社長の身に異変が起きた。
「アウラ、どう思う?」
「社長から魔力が感じられません。全く感じられないのはオカシイです。そこら辺のヒトでさえも少しは魔力を感じるというのに、ゼロ?社長に限ってあり得ません。…社長のお父様が持っていらしたあの刀はもしや……」
「なんなのよ!」
「触れた瞬間で魔力を根こそぎ奪うという怪刀なんじゃ……」
「クソお父様‼」
そこ、クソ親父とかじゃないんだぁ。
「あ、刀の峰からは魔力を与える事が出来るというものです」
刀と触れたのは鉄扇もですが、鉄扇の魔力も根こそぎ奪われています。
「このままじゃ、あなた達に給料未払いってことになりかねないわ。私の魔力目的でここに来たんだとすると、タチが悪いわね。フルメンバーでうちに乗り込むわよ!」
社長の家は大きかった…。庶民が思うような家ではありません。門をくぐってから玄関まで長かった…。
「入るわよ!お父様はどこ?」
「当主様は仕事で留守にしております」
「あ、そう」
社長は何でもないようにお父様の書斎を探し始めました。
「アウラ、私の魔力を探すとどんな感じ?」
「ここにはあの刀はないですね。社長のお父様が持ち歩いているんでしょうか?」
「銃刀法違反よ。まぁ、その魔力の場所まで行くわよ、一気に。アウラ、魔力は後払いになっちゃうけど、全員を刀の側まで転送してくれる?」
社長の家には色々あるんですねぇ。『クソお父様』は悪い言葉なのか、いい言葉なのか判断に迷いますね。




