第29話
社長よりも強い存在がいた。
「久しぶりだな。元気にしていたみたいだな」
「お久しぶりです。お父様。お父様が起ち上げたこの会社も国内シェアはトップを誇っています。国内トップか……。世界トップじゃなきゃなぁ」
ため息を吐かれています。社長が委縮しています。私達はどのように接するべきでしょうか?
「お前、あの鉄扇を使うのか?あれはどうかと思うけどなぁ?」
「しかし!亡きお母様の形見でもありますし、お母様は非常にお強かった」
「でもやられたじゃないか!」
誰に?と社員一同思いました。社長が強いという方を上回る方にやられたんですよね?誰?
「お前もなぁ、警備会社をしてないで早く嫁に行けばいいと思うんだが……」
「そのことについては、自分で決めますので」
「だいたいこの社員はなんだ?ヒトではないようだな?」
「何か問題がありますか?この多種族時代にヒトに拘ってばかりいると足元をすくわれますので、私はこのようにしているだけですが?」
「この会社については‘山田みと’君から聞いているよ。なんでも多種族のトップがこの会社に所属しているとか?」
「それがどうかしましたか?」
ミト警備会社の人かぁ。しつこいなぁ。
「いや、私もヒト至上主義だからどうも好かないんだよなぁ」
「あなたの好き嫌いは関係ありません」
「そうか?この会社を起ち上げたのは私だ。こうされるとなぁ……」
なんなの?
「そう思って、私が‘ツクヨミセキュリティ’と同名の別の会社を起ち上げました。ここはその会社となります。私が私の起ち上げた会社を好きにすることに何か問題でも?」
「そうか…。ならいいんだ。私が起ち上げた会社が汚されたような感じがしたからな」
神父も巫女も天使も精霊王もいるのに?
「ところで、お前の腕は鈍ってないだろうな?」
「最近は全力を出していないですね。全力を出す必要がなく勝ってしまうの」
恐ろしい発言です。社員一同改めて社長に敬服です。
「何ですか?いきなり斬りかかるなんて野蛮ですよ?」
「受け止めているじゃないか?」
「アウラ~。客人がお帰りのようだから玄関から外に出して差し上げて」
アウラさんは魔法で社長のお父様を玄関から外に出した。
「全く、みとがしつこいわね。お父様を使ってくるなんて。想定内だったんだけど」
だから、同名の会社を起ち上げて、全部移動したんですよね。
「我が父ながらイマドキヒト至上主義って馬鹿じゃないの?っていうか馬鹿でしょ?政治家のオッサンといい、年配の人ってそうなのかしら?」
社長も人が悪いなぁ。盗聴器が仕掛けられてるのがわかっていながら言いたい放題。
「私の腕がどうとか言ってたけど、まずはお父様の腕が鈍ったんじゃないの?」
「まぁ、来る予感がしてたから予め斬れないように魔法かけてもらってたんだけど?ヒト至上主義の頭の固さなら思いもよらないでしょうね?」
大丈夫?親子関係破綻してない?
「さて、アウラ~ここらで盗聴器を破壊してくれる?」
「了解しました」
社長より強いんだか、弱いんだか…?




