1/12
プロローグ
きっかけは、フルーツバスケットだった。
正確には、フルーツバスケットの拡張版、なんでもバスケットとも呼ばれるゲームだ。
まさかそんな。軽い冗談のつもりだった。
「それじゃ、その。…実は自分は、異世界からの転生者だよーっ、って人」
誰も席を立つはずがない。軽い笑いが起こるだけ。そう思った。目の前の男女9名が、一斉に立ち上がるのを見るまでは。
しかし一番驚いているのは質問した俺よりも、立ち上がった9名の方だったのかもしれない。
「え! ウソ!」
「マジで? 僕だけじゃなくて?」
「みんな、そうなの?」
「まさか、俺だけだと思ってたのに!」
各々が驚嘆の声を上げ、それぞれの顔を見つめている、そんな密室。




