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十六画目・過去編・一二三と大塩

コメントや反応をください。是非、知り合いに広めてください!よろしくお願いします。


一二三「あれは暑い夏の事…」


―――――――――――――――――――


        ……20年前……


〜墨客学校校庭〜


馬鈴「さぁ!!あとグラウンド58周だっ!!」


一二三「はぁ、、はぁ、、、、はぁ、」


大塩「一二三、おせ〜ぞ!ビリは追加で10周だからな!はぁ、はぁ、、」


一二三「無茶だよ、、……バタっ!」

疲れ果て、地面に倒れ込んだ。


?「ちょっと!大丈夫?!一二三!」

ハツラツとした声を上げたのは、一二三と大塩と同じチームの"金子 紗奈"(かねこ さな)である。


馬鈴「あぁ、一二三よ、情けない…」


大塩「大丈夫だよ紗奈、一二三には"けもの"が居るんだから。」


紗奈「ほら!狐出して!」


一二三「(けもの)偏・9画・狐…」

[ボフゥ]煙と共に白い狐が現れ、一二三を癒すッ!


紗奈「ホントに便利よね!タダでさえ回復技は珍しいのに、それがたったの9画なんて。」


馬鈴「しかも、一度だけでなく狐が残存する限り回復し続ける…」


大塩「だから、けもの頼りになっちゃうんだよな!」


一二三「うるせぇっ!」


この頃、一二三と大塩の仲は良好でお互いに友情が深まっていた…



〜放課後〜


大塩「なぁ一二三、俺さぁ…紗奈に告白しようと思うんだけど…」


一二三「いいじゃん、アイツ彼氏いないと思うよ…多分…」


大塩「そういえば最近、墨霊の活動が活発になってるらしいぜ。なんでも無差別に人を攫ってるらしい。」


一二三「攫ってどうするんだよ?…」


大塩「わからん…。」



〜次の日〜


馬鈴「今日は墨霊討伐に向かう。お前たちは実戦経験を積まなければならん!」


大塩「えぇ〜、、討伐対象は?」


馬鈴「今話題の、"人攫いの墨霊"だ。」


金子「それ、聞いたことある!攫われた人達は墨霊の餌になるらしい…」


大塩「怖っ!!」


馬鈴「心配ない、既に対象の調査は済んである、お前たちが力を合わせれば勝てる。」


金子「まぁね〜、私たち結構強いし!」


大塩「でも、"漢字創成"使えないけどな…」


金子「それは…いつか使えるわよ……ねっ!一二三」


一二三「お、おう」


馬鈴「さぁ!行くぞっ!!!」


――――――――――――――――――――


〜無人の廃工場〜


馬鈴「ここら辺だ…」


大塩「こんなとこに居るのか?」


金子「あたし、廃墟とか無理いっ!!」

  

埃と錆びまみれの工場は不気味な雰囲気を放っている…一行は奥へと進んでいった。


[ギッ、ギリギリッ…]刃物を研ぐ音が工場内に反響する。


金子「何!?…」


馬鈴「しっ!!」


???「もうスコシ…ニンゲンがヒツヨウ…」


影の奥には、カマキリとアリとハチを合わせたような墨霊が口を忙しく動かして、肉を団子にしている。


???「"ワタシ達"の子供、、、"墨子(ぼくし)"ちゃん。あなたのためよ、全ては、、…」


[ガタッ!!] 金子が足元の木の板を踏んでしまった。


大塩「バッ……!!」


???「誰か、イルノ?!?!」


馬鈴「ああ、居るぞ。お前が人攫いの墨霊だな?…」

  馬鈴が堂々と墨霊の前に立つ!


人攫い「そうよ…人が必要なの、たくさん沢山ね」

あっさりと認める墨霊…


馬鈴「今、言っていた"墨子"とはなんだ?」


人攫い「私たちの子供、大切な大切な…」


馬鈴「ならそいつ共々お前を討伐する…」


人攫い「何ヨっ!!!」

腕についた鋭く光る鎌を広げこちらに殺意を

向けるっ!!


金子「2人とも構えてッ!!」


一二三・大塩「おうっ!!」


人攫い「キェェェッ」

   奇声をあげ、素早く飛びかかる!


一二三「犭偏・10画・狼!」


大塩「氵・8画・泡!!」


狼と泡が人攫いに向かい、動きを鈍らせる。


馬鈴「良いぞ!」


金子「私も! 金偏・18画・鎌!!」

死神が使ってそうな禍々しい大きな鎌が金子の手に握られた、それは彼女の身長を遥かに超えている!


金子「うおぉぉっ!」

踏み込んだ勢いで人攫いのに鎌を振り下ろす!

[カキィィン]硬い金属の振動が伝わる。

  「なんて硬い皮膚なの?!…」


人攫い「邪魔くさいわねェ!!!」

全身を使い、鎌と狼と泡を振り払う。その身体には特にダメージが散見されない。


大塩「全然効いてないよ!」


馬鈴「ワシがやる 石偏・28画・礌砲!」

5個の大石がすごい速さで飛ぶッ!!


人攫い「いダぁぁいィィ!!」

   多少のダメージは入ったようだ……


馬鈴「お前たち火力を上げるぞ!!」


3人「ハイっ!!」


一二三「36画・獰猛狗(どうもうけん)!」

大きな土佐犬が現れたッ!!


大塩「56画・潤滑淫泡洗(じゅんかついんほうせん)

  多量の泡が周囲を覆い大塩の体を守る。


金子「ハッ!!!」

  鎌に墨を込めて威力を研ぎ澄ます…


馬鈴「59画・磐磴硨碣(ばんとうしゃっけつ)

灰色の大きな石が地面に具現化され、有利な環境が形成される。


それから4人と人攫いの墨霊は戦った、その硬い皮膚は攻撃を耐えるに十分だったが、4人の連携により柔らかい頭を潰されて墨霊は生き絶えた…


金子「はぁ…はぁっ…倒せたね…結構"墨"使っちゃった……」


大塩「俺も、、クタクタだよ…」


一二三「っ……よくやった、ありがとう。」

優しく獰猛狗を撫でて感謝を伝える一二三。

   [バウっ!]気持ちは伝わっているようだ。


馬鈴「強かったな…"墨子"と言うのが気になるが…ひとまずこれで退散しよう…」


4人が肩の力を抜き、人攫いに背中を向けた瞬間ッ…!!!


[ドッオオォォォォン]強烈な爆発音と共に、地面に大穴があくッ!!


馬鈴「なっ?!!」


その大穴を覗き込むと暗く深い闇の底から羽音が聞こえた……[ブゥオォォォーン…]


馬鈴「離れろッ!!」その声で4人は後ろへ飛ぶ!


[ブブァァァァァッッ]この世のものとは思えない音をあげながら、さっき倒した人攫いの墨霊に似た昆虫型の墨霊が穴から無数に飛び上がって来るッ!!


大塩「おいおい、マジかよ………」


あっという間に周囲は墨霊に囲まれ、4人は硬直してしまった。その中の墨霊が口を開いた…


墨霊A「あなたたちね、さっきから地上で騒いでいたのは…」


墨霊B「あら、コイツら強そう…いい餌になるわよぉ!」


一二三「先生、、どうする?…」

   冷や汗をかきながら問う…


馬鈴...(調査報告書と違う、墨霊は単体だった筈…

   「戦うしかない…いいか、全力を出せッ!さもなくば死ぬだけだ…」


「はいッ!!!」金子だけが答える…


金子「2人とも…絶体絶命の危機よ…頑張りましょ」

  ニコッと笑った…自分の笑顔が男に勇気を与えるとわかっているのだ!


一二三・大塩「…おう…」


その後4人は懸命に抗った、けれど数の暴力には無力であった……


大塩「はぁ…はぁっ……キリがねぇぞ!!」


金子「うっ…」


4人は血まみれで立つのも精一杯だ…


一二三「狐!!」


かろうじて狐で回復をするが間に合っていない……


馬鈴「撤退するっ!!全員後退しろっ!!!」


3人は命令どうり交戦を停止し、逃走を図るッ!


……だが……


金子「きゃぁっっ……!!」


大塩「紗奈!」


墨霊の攻撃が金子の腹を直撃する、致命的なダメージだ……


馬鈴「大塩!下がれッ!!」


大塩「でも、紗奈が!!!」


馬鈴「無理だ、、もう墨を使い切った…」


大塩「見捨てるなんてできるかッ!!!!」

涙を浮かべて叫ぶッ!


その時、一二三の脳内で声が聞こえた……


???「ワシを呼べ…」


一二三「なっ何だ?!誰だッ!」


???「力になろう、、ワシは"獄猛猿"じゃ…」


一二三「よくわからねぇッ!!でもどうにかしてくれるならっ!!!来いッ獄猛猿!!!」


[グオォォァ]煙と共に雄叫びをあげ、憤怒の猿が現れた!!

獄猛猿は周囲の墨霊を次々と蹂躙し逃げ道が空いた


馬鈴「でかした!逃げるぞッ!!」


大塩「待てジジイ!!紗奈はどうする!」


馬鈴「諦めるしかない…」


遠くにいたはずの金子は墨霊に取り囲まれ、もう姿が見えなくなっていた……


大塩「なんだよクソッ!!!それでも大人かよっ!!!!」

激しく失望する…この時大塩の心にヒビが入った…


一二三はただ黙って前を向いていた……


獄猛猿の援護?のお陰もあり、3人は安全な場所まで移動できた。


「うぐっ…っ…」涙を流す大塩…


馬鈴「済まない…」


「触るなぁッ!!」馬鈴の手を強く払い退ける…


         -その時-


[ドグァァァァ!!]地鳴りが起き、夜の空は昼間の様に明るくなった。


馬鈴「なんだ……?」



〜金子紗奈の最後〜


墨霊の攻撃が直撃した後、意識が朦朧とする中、金子は思考を働かせた。


金子...(痛いっ…死ぬのかな……いや、私がコイツらを止めれば、3人は追えないはず…)


「止めるッ…!!絶対にッ!!!」


金子の体内から墨が溢れ出すッ!


「漢字…創成ッ!-鉄腕原子-」


金子の腕が重圧な鉄に覆われる。


「オラッッッ!」左腕を思いっきり振りかぶると鉄腕が反応を起こし、周囲には強烈な閃光と煙と天にも届く爆発が起こった。


漢字創成-鉄腕原子-は核分裂反応を起こし、周囲半径2キロを巻き込む、最も強力な創成である…


―――――――――――――――――――


〜現在〜


一二三「って訳だ…あれ以来、大塩は姿を消し、道を外した。」


紗織「何て話…」


慧一「先生!もしかして俺の金偏って金子さんと同じなのかなッ?!」


一二三「だろうな…詳しいことは解明されていないが、字操師が死ぬとその部首は失われ、時間が経つとまた誰かが発現する…」


慧一...(俺の創成は周囲を巻き込む、迂闊には使えないな…


――――――――――――――――――


明かされた一二三と大塩の過去、失った仲間。

金偏の前任者は大塩の思い人だった!

字操師の世界はタフであることを理解した…



次回、漢武連盟の詳細が!


〜人物紹介〜

"金子 紗奈"(かねこ さな)

一二三と大塩のチームメイト、年齢18歳/茶色い髪/身長165cm/保有部首"金偏"/周りを明るく照らす太陽のような存在、男はみんな惚れちゃう!笑顔が素敵。


"一二三 雄三"(ひふみ ゆうぞう)

墨客学校の生徒で当時は年齢21歳/黒髪/身長184cm/保有部首は"犭"(けものへん)/大塩・金子とチームを組み青春を送っていた。


"大塩 十三郎"(おおしお じゅうざぶろう)

当時の年齢は18歳/黒髪/身長190cm/

保有部首は"氵"(さんずい)/金子に好意があり、気持ちを伝えようとしていた。


"馬鈴 真左エ門"(ばれい しんざえもん)

当時の年齢は60歳/白髪とモサモサの髭/身長181cm/保有部首は石偏/漢字創成-大同炭礦-/この時は厳しく、責任感のある教育者であった。


"墨子"(ボクシ)

墨霊達が"私たちの子供"と言う謎の存在。いずれ姿を現すだろう…よく覚えておいて欲しい。

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