十一画目・度胸と愛情
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〜次の日・訓練2日目〜
校長「おはよう、今日の訓練はこの施設から北にある"霊山"に登る。そこには強力な宝"文房四宝"のひとつ魂の硯がある、それを取りに行くぞ。」
桜木「まさかまた山道ですの?!」
一二三「そうだ、脚に墨を貯めて走って行くぞ!これも訓練だ。」
慧一・紗織「え〜っ…」
一二三「えっーじゃない、行くぞ!」
5人が墨を使い高速で走り出すッ!
追鳥「あれ?…みんなは?…」追鳥は忘れられていた…。
〜山中〜
深い森を全力で駆け上がる5人…
紗織「はぁはぁ…まだなのぉ?」
校長「まだ半分も走ってないぞ!ハッハッハ」
「あっ、わたくしいいこと思い付きましたの!」桜木が何かを閃いたッ!
「木偏・11画・梟!」(ふくろう)
大きな梟が現れて桜木をつかみ飛行するッ!
紗織「あっ!ズルいっ!!」
一二三「ズルい事なんてないさ…字操師には柔軟な思考が求められるからな。」
一二三は狼にまたがりながら言った。
慧一「あんたもかよっ!!」
[ドシドシドシッ]背後から大きな足音が響いた。
慧一「あっ!追鳥っ!忘れてた…」
[グォォォッ]追鳥は"魘鬼"を使い、鬼の身体能力で5人を追い越して行った!
校長「やるわい…速度を上げるぞい…」加速する校長。
紗織「もう無理…」慧一「紗織ちゃん俺の墨をあげるよ…」
慧一は紗織の肩に手を置き墨を分け与えた。
紗織「ありがとう…///」こんな時でも乙女である。
〜40分程走った〜
校長「ここじゃ…この洞窟の中に宝がある。5人で行きなさい、ワシは先に施設に戻っておるからの。」校長は来た道を戻った。
慧一「いっちゃったよ…」
桜木「まぁ、入りましょ!宝なんて箱に入っているだけでしょう…」
紗織「そうだね!」慧一(そうかなぁ・・
5人は洞窟に足を踏み入れた、中は暗くジメジメしている。
桜木「湿気てますわねぇ」
紗織「うぅっ…コウモリいる…」
奥へと進んでいくが特に何もない。
暇を持て余した慧一が話しかける。
慧一「ねぇ先生と校長ってどんな関係なの?」
一二三「俺は昔、校長のクラスの生徒だった…すごく厳しい人だったよ。」
慧一「へぇ…長い付き合いなんだね!じゃあ先生も校長になって俺は先生になるかも?!…」
一二三「その時は顎で使ってやるよ!」笑いながら言った。
その時、開けた場所が現れた。
紗織「急に広い空間だね…」
桜木「細い道の先に広い空間…ボス戦かもですわっ!」桜木はゲーマーだった。
慧一「あっ!あそこに箱があるよ!」
慧一の指さす方には茶色い木箱があった。
桜木「さっそく、ちょうだいしましょ!」
一二三「待てっ!手前に誰かいる…」
箱の下の階段に何者かが座っていた。
一二三「何者だっっ…!!」
その人物はゆっくりと立ち上がった。
?「宝を取りに来たのか…?」
朽ち果てた体を持ち、しゃがれた声で喋る。
一二三「何者だ?…」
?「私は"鉅子"(きょし)試練を与えるもの…」
鉅子「お前たちがこの宝をもつに相応しいか、器を測る…あれを見ろ」
指さす先には立方体の黒い大岩があった。
「あれを破壊して見せろ…できれば宝を渡す。」
桜木「そんなの簡単ですわ…」
桜木「木偏・38画・業楼植!!」
5本の太い成木と棘のついた幹が大岩に突き刺さる。が表面に傷がついただけだ…。
桜木「あら…」肩を落とす桜木。
紗織「私もやる!糸偏・41画・絶練線!」
強靭な糸が高速で飛ぶ!が…表面を削っただけだ。
紗織「ダメか…」
鉅子「あの大岩を壊すには、連携が必要だ。使える技を組み合わせ、もっとも破壊力を出せるようにするんだ。」
慧一「よし!力を合わせよう!」拳を鳴らす。
紗織「うん!」桜木「えぇっ!」
慧一「先生もだよ!」一二三「そうだな…。」
桜木「追鳥さんも!」追鳥「おっ!(好き…」
5人から墨のオーラが溢れ出すッ!
桜木「まずはわたくしから!木偏・38画・業楼植!」大岩に鋭い幹が突き刺さり穴が開く!
桜木「あの穴を狙いましょ!」
一二三「よし!続け!けものへん・11画・猫!」
大きな猫がより穴を広げる。
追鳥「鬼部・34画・魕魂(きこん」
追鳥の腕が異形の鬼の腕に変わり放った打撃が飛ぶ
桜木「連続の打撃!すごい!」
紗織「後ちょっと…41画・絶練線!」
大岩に大きくヒビが入るッ!
慧一「よし…決めるっ!32画・錘錬ッ!!」
[ドォォォッッンン]大きな音と共に大岩は崩壊した。
鉅子「見事だ…宝は持っていけ…」
鉅子の体は砂のように消えていった…。
桜木「さぁ!宝の中身はなんでしょ?」
[ガラガラ]木箱を開ける桜木…
桜木「なんですのこれ?硯ですわ。」
慧一「みせて!」慧一が硯に耳を当てると海の波の音が聞こえた。
慧一「なんだこれ?変なの…」
紗織「まぁ…取り敢えずお宝ゲットでいいのかな?」
一二三「そうだな、施設に戻ろう…」
箱の中身はただの硯だった…だがいつか役に立つ時が来るだろう。
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〜字操師訓練施設〜
桜木「戻りましたわ〜」
校長「おぉ…戻ったか早かったな。」
慧一「この硯、何使うの?…」
校長「いつか役に立つから持っておきなさい。」
校長「さて、今日最後の訓練といこう。字操師にとって最大の切り札とは何かわかるか?」
桜木「漢字創成でしたよね?…」
校長「そうじゃ漢字創成じゃな、慧一君以外はまだ使えんようじゃが…何かのきっかけで使えるようになる。特に自分より強い相手との戦いで目覚めることもあるのぉ…」
校長「そこでじゃ…今からワシと手合わせをしよう…本気で良いぞ!」上着を脱ぐ校長
桜木「えぇ…校長先生と?!」
紗織「いいの?一二三先生」
一二三「せっかくだから、やってみろ、いい経験になる。」
校長「ほらほら、行くぞー」準備体操をしている
。
慧一「こい!」紗織「よし!」桜木「準備よしですわ!」
校長の体全体に墨のオーラが巡るッ!
校長「石偏・28画・礌砲!」
周囲から大きな石の塊が4人めがけて飛ぶッ!
紗織「はやっ?!」
桜木「21画・木檗!!」
4人の前に木の壁ができ、石を防いだ!
慧一「うぉぉっ!13画・鉞」
慧一は回り込み鉞に墨を込めて振りかぶる!
校長「若いだけに動きが俊敏だの…じゃが…」
次の瞬間、校長はまるで瞬間移動のように消えた!
校長「場数では負けとらんのよぉ…」
[バッ!!]瞬時にして慧一含む3人に打撃を入れたッ!!!
慧一「っ!!」紗織「わっ?!」
桜木「なっ!??」
追鳥「俺も居るぞ!29画・魂魄」
追鳥の腕が鬼の腕に代わり、校長へ鬼の鉄槌が降る!!
[ドッッ]勢いよく飛ばされた!
校長「ふむ…やるのお、少し本気を出そう…」
「石偏・59画・磐磴硨碣」
大きな振動と共に、大量の大石があたり一面を覆うッ!さらに、上空から無数の石が大雨のように落下するッ!
追鳥「ちっ……」追鳥は石を砕きながら大人しく身を引いた。
慧一「すげぇ……」桜木「なんという技…」
校長「ホッホッホ…"環境を自分の有利に書き換える"これこそ字操師の本領なんじゃよ!」
追鳥「それ、俺達にもできるのか?」
校長「部首にもよるが工夫次第で、できるじゃろうな….」
校長「よし!今日はここまで、また明日も訓練じゃ…ゆっくり休むのじゃよ…解散!!」
[ドサッ]疲れから地面に倒れ込む慧一
慧一「はぁ…日輪たちは今どうしてるかなぁ?…」
紗織「元気にやってるんじゃないかな!」
慧一「会いたいなぁ…」
〜つづく〜
〜用語解説〜
"文房四宝"(ぶんぼうしほう)
弘法の筆・工匠の墨・川上の紙・魂の硯の4つの宝、強力な力を持つ。
"校長"(こうちょう)
墨客学校の校長である。年齢81歳/白髪とモサモサの髭/身長181cm/保有部首は不明/常に楽観的であり、スケベじじいでもある。
"漢字創成"(かんじそうせい)
漢字創成とは、字操師がここぞという時に出す大技である。字操師体内の墨を大量に消費するため、連発することは不可能に近い。技の概要と条件は"一時的に自分の部首を含まない漢字を使えるが、自分の部首に関係する具現化対象でなくてはならない。"