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5 総理大臣との邂逅

『!? なんだ一体……!?』


熊新造総理は、予想外の事態に困惑した様子で声を上げた。威厳のある低い声だが、動揺の色が滲み出ている。


『初めまして熊総理。小日向拓也と言います。いま貴方の頭に直接語りかけています』


緊張しながらも、冷静を装い、丁寧な言葉遣いで応対する。


『頭に直接……!? 一体どういうことかな』


熊総理は未だ、状況を飲み込めていないようだ。無理もない。常識では考えられない事態なのだから。


僕が亜翠さん達に『うーん熊総理にも通じたみたい?』と念話で伝えると、亜翠さんが『じゃあ私達が説明するから私達も熊総理との会話に参加できるようにして』と指示してきたので、言われるがままにそうすることにした。


『熊総理、いまから声優さんたちもこの会話に加わります』


『声優さんたちが……?』


熊総理は考え込むように疑問を返す。数秒の沈黙の後、亜翠さんが明るい声で話し始めた。


『初めまして熊総理。声優をやっている亜翠みずきと申します』


『あぁ……亜翠さんと言えば、TVで一度だけ見たことがあるよ。熊新造です』


熊総理の言葉に、亜翠さんは嬉しそうに言った。


『そうなんですね! あぁTVって言えばあの番組かな。恥ずかしいな……』


亜翠さんは照れているようだ。TV番組とは、おそらく、以前、バラエティ番組にゲスト出演した時のことだろう。


『それはともかく、これはドッキリかなにかかい?』


熊総理は本題に戻し、疑念を口にする。僕は苦笑いしながら、現実で「そうだったなら俺の部屋にもマイクやスピーカーが仕掛けられているはずなんですけどね……」と呟く。だがそんなことは恐らくないだろう。これはただの幻聴なのだから。


『熊総理、実は私達も最初そう思ってたんですけど、どうもドッキリではないみたいです』


亜翠さんは熊総理の質問に真剣に答える。


『そうなのかい? じゃあなにか特別なことに巻き込まれたってわけかい?』


『それが私達にもよく分かってないんですけど、革命のレヴォルディオンっていうネット小説みたいになるんじゃないかって私達は話してます』


亜翠さんは見解を述べる。え? 革命のレヴォルディオンみたいになるってどういうことだろう。


『革命のレヴォルディオン……?』


と熊総理は全く知らないようだ。当然だろう。革命のレヴォルディオンは大手ネット小説サイトで総合ポイントたった18ポイントで僅か5000pv程度の底辺小説だ。知らないのも無理はない。


『えーっと熊総理、私も声優の香月伊緒奈って言います』


『あぁ……複数人いるのか……さっきの小日向拓也くんだったかな? 彼は……?』


『彼はその革命のレヴォルディオンの著者**なんですけど……』


と亜翠さんが困った様子だ。それを見てか香月さんが助け舟を出す**。


『革命のレヴォルディオンっていうのはロボットSF小説なんですけど、2051年が舞台なんです。それでとても予言めいている作品でもあるんですね』


香月さんが説明を始める。香月さん、良くレヴォルディオン読み込んでるなぁ。さすがは声優さんだ。台本を読むのに慣れているからネット小説を読むなんて造作もないことなんだろう。


『まず第一に、2020年代に地球の気候環境が温暖化ではなく寒冷化に向かうってのが一つ。そして第二に同じく2020年代に【超震災】と呼ばれる南海トラフ相模トラフ連動巨大地震みたいなのが起きるっていうのが二つ目。この二つ以外にも細かな予言的な要素が散りばめられてるSF作品になってるんです』


香月さんが説明を終える。淀みない口調で、完璧なプレゼンテーション**だ。


『地球寒冷化だって……? そんなことが起きるわけ無いだろう。地球は温暖化しているってて良く聞くじゃないか』


熊総理は懐疑的な意見を述べる。当然の反応だろう。世間一般では地球温暖化説が常識となっているのだから。


『それはそうなんですけど、たっくんどういうことなの?』


香月さんが僕に聞く。そうか、レヴォルディオンでは説明ばかりになるとなんだからまだ深く理由を説明していなかったっけ。


『それは……みんなは東王工業大学の山丸茂樹教授って知ってるかな?』


返事がない。誰も知らないようだ。


『俺の地球寒冷化理論は、その山丸茂樹教授の理論に似ているものなんだけど……。まずよく言われるのがCO2温暖化原因説ね、これは間違っているっていうのが山丸教授の言い分**なんだ』


『え? そうなの?』と香月さん。


『ほう……?』と熊総理が物珍しそうにする。


『それで、じゃあ一体何が正しいんだ? って考えた時に出てくるのが雲なんだ』


『雲?』


亜翠さんが僕に聞く。


『うん。この雲の量こそが地球の気候環境を決めているってことらしい。つまり雲が増えることによって地球が白くなって、太陽光を反射しやすくなることで地球が寒冷化するってわけ』


『でもどうやって雲が増えるの?』


香月さんが僕に問う。核心を突く、良い質問だ。


『いい質問だね。山丸教授はそれをスベンスマルク効果で説明できるって言ってるね』


『すべんすまるく効果??』


『うん。スベンスマルク効果とは、宇宙空間から飛来する銀河宇宙線が地球の雲の形成を誘起しているという仮説なんだ。つまり山丸教授はこの銀河宇宙線量が多いことを指摘してるんだ』


『そうなの?』と香月さんが再び問う。


『うん。観測ではそうらしいね。それでここからは俺の持論で科学的には解明されてないことなんだけど……』


僕はそう前置きした上で説明を続ける。


『銀河宇宙線の増加は地震や火山活動を活発化させるって思ってるんだ。無論、これもよく言われていることではあるんだよ。でも科学的には解明されているわけではないことなんだ。とにかく地震や火山活動が活発化するとどうなると思う?』


『どうなるって……噴火したり地層がずれたり?』


香月さんは現象を説明する。


『うん。そうなんだ。そして大規模な噴火が起きた場合には、この火山灰が成層圏にまで到達する。火山灰は大まかに言えば白いから地球の反射率を上げて寒冷化に寄与する。でもこれだけじゃないんだ。そこまで高く舞い上がらなかった火山灰は海に降り注ぐよね?』


『うん……まぁそうじゃないかな?』


香月さんは必死に理解しようとしている。


『これは海洋にとって様々なミネラルを含むから栄養として作用するんだ。つまりどうなるか? って言うと海洋植物プランクトンが爆発的に大増殖するわけ。これは別に地表火山だけにとどまらない。海底火山が噴火した場合も、海洋には爆発的に栄養となるミネラルが供給されることになって、やはり海洋植物プランクトンが大増殖**する』


『えっと……海洋植物プランクトンは光合成するから……だからCO2である二酸化炭素を消費するってこと?』


亜翠さんが分析して僕に聞く。理解力が高い。


『はい。でもそれだけじゃないんです。光合成しているから酸素も生成しますよね。そして光合成活動の副産物として海には余った熱も捨てられる。こうすることで海洋植物プランクトンが大増殖した該当海域では、上昇気流が生じるんだ。これによって高層大気には酸素が大量に供給されることになる。同時に、海水温の上昇によって発生した大量の水蒸気がプランクトン由来の微細な有機物を含んだ状態で、酸素と共に高層大気に供給されることになります』


『へぇ……それたっくん自分で考えたの?』


亜翠さんが感心するように言う。


『まぁそれなりに、色々調べながらですけど……ともかく、これによって二酸化炭素は消費され、酸素が増えて高層大気に供給されることから放射で寒冷化に寄与することになります。それと先程一緒に高層大気に供給された微細な有機物は雲の核となることで、雲が増加してスベンスマルク効果のように地球の反射率を上昇させて寒冷化に寄与するってわけです。

こういうダブル、トリプルの寒冷化効果が地球に飛来する銀河宇宙線量の増加で起きてくるってわけ……だから地球は特に高層大気から順に寒冷化するってのが俺の寒冷化理論です』


早口で、専門用語を交えながら、一気に説明した。果たして、理解してもらえただろうか?


『へー凄い! 確かに聞いた感じ、すっごい寒冷化しそう。たっくん一人でそこまで考えたの凄いね!』


香月さんは素直に感嘆の声を上げた。理解できたのだろうか? 少し、不安が残る。


しかし、熊総理が冷静なツッコミを入れる。


『しかし、地表付近では温暖化しているのだろう? 科学的観測データはあるのかい?』


やはり、そこに疑問が集中するようだ。

あまり原作と変わってないな……。

>設定や背景の説明の充実: 地球寒冷化理論や救世主設定など、

>物語の根幹となる要素を丁寧に説明することで、

>読者の理解を助け、物語への説得力を高めることができます。


こう改善点を言ってたのに、寒冷化理論についての背景知識の説明なんて全く改稿にはないじゃんAIさん。

まぁ俺の妄想理論だから仕方ないけどさ……。

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