【序】祝福か、挑戦か
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
創作部。のあの子です。
けれども本編で創作部は一切出ません。
創作活動を始めた切っ掛けは人によってそれぞれであろう。元々話が浮かぶタイプだったとか、素晴らしい物語に感銘を受けたとか。そうして私の場合は兄だった。
兄はよく自作の小説を書いてはネットに上げる事を趣味としていた。その影響もあって、高校では創作部に所属し、数多の物語を完結させた。
初めて読んだ時、その文章の綺麗さに感銘を受けたことを覚えている。何より作家でなくても小説を書いて良いんだと。ネットに上げれば多くの人に読んでもらえるのだと、部活に所属すれば自作の小説が載るのだと知った。
そんな兄の背中を見続けていたので、私も創作業界に足を踏み入れるのも時間の問題だった。だから兄と同様に創作部に所属し、ネットに自作の小説を上げることにした。
けれどもまぁ、いざやってみると非常に難しい。なんせプロット無しで進めていたもので、書いているうちに話の整合性はどうか、同じ話の繰り返しになっていないか、リアリティはどうか、数多の問題に直面し、遂には作品を未完のままほっぽり出す始末。
そこまで来て、私は物語を浮かべる才能はあっても、其れを閉ざす能力は欠片もないのだと知った。そしてもう、書いてはいけないのだとも思った。
其れでも時折気になるのだ。自分が投げた小説の事が。淡い期待ではあるが、まだ結末を待っている人々がいるのではないかと。
だから私は震える手を抑えながら、自分のホームページへと戻った。もしかしたら誹謗中傷の嵐かも知れない。『戻ってくるなど烏滸がましい』そんなそんな事を言われるのではないかと思っていた。
けれどもそんな事はなかった。感想も評価もあの時のまま、時が止まった様に変わらなかった。けれどもただ一つ、引っ掛かりを覚えた。それは未完のまま終わらせた小説の閲覧者数が僅かながらもあったことだった。
待っていてくれた。というのは非常に烏滸がましい。頭に乗るなと言われてもおかしくない。それでも……こんな未完の小説にも訪れてくれる人がいるのかと、ただただ胸が一杯になった。
この小説を書き上げるのには時間が経ち過ぎている。あの時の感性のまま書くのはきっと無理だ。けれども新規の小説こそは……今度こそ……今度こそ……。
そう思ってからは早かった。
「兄さん、また書こうと思うよ。また書いて上げていこうと思うよ。自作の小説」
「へぇ、それはそれは嬉しいな。オリジナリティ溢れる小説は、いくらあっても良いからね」
兄の微笑は祝福か、はたまた挑戦か。
起承転結の前段階。つまり、序の話。
全てをほっぽってしまった彼女の話。
この話は作者が元ネタです。だから非常にリアリティがあり生々しい。
完結させる事の難しさ、離れたサイトへ戻る事への憂鬱感、そして未完のまま放り出した小説への感情。
そんなのをダイジェストでお送りしています。
ダイジェストなのは『この人なんでほっぽったの?』の疑問を早めに解決するためです。
さて、今回も書いて行きますかね。