孤独の始まり
滅茶苦茶遅れてすみません。理由は後書きで話すのでひとまずは読んでいてください。
……なんで、俺は魔族に魔王なんで呼ばれたんだ?そもそも、魔王ってなんだ?魔王の基準って?どこを見て俺を魔王って呼んだんだ?……勇者って呼ばれたときは確か、魔力で判断されたんだっけ?ということはこいつらも同じように俺が魔王って思ったのか?俺は本当に魔王なのか?じゃあ、勇者って呼ばれたのは?
「……王様……魔王様」
「んっ……」
「お目覚めになられましたか?もうすぐ着くので、起こしてしまいましたがよろしかったでしょうか?」
「ああ……」
「……魔王様、あれが我が国、デーモル国でございます。特色も何もない国ですが人間どもの国よりは間違いなく、いい国ですのでご安心ください。」
「……」
……喋る気力が起きない。……それにしても遠目から見た感じだと人の国と大差がないように感じるな。けど、門番とかは角が生えてたり、耳が長かったりしている。羽が生えているものなんかは宙に浮いている。
「おいっ!お前ら、魔王様のために門を開いて道をつくれ。」
「ハッ!」
ガラガラ
……ッ!?これは!
……魔王様~。……顔がよく見えないけどきっと凛々しい顔をしているに決まってるわっ!……馬車の中にいるにも関わらず魔力がよく分かるぞ。
初めて俺が勇者って呼ばれた日と同じだ……。あの日もこんな風に言われた……。なんだこれ?ルート国の人たちはみんな魔族は悪い奴らとかゴミだとか、この世界の膿言っていた……けど、みんな普通に笑って、普通に生きてる……ルート国の人達と何が違うんだ?たかだか見た目の差異でここまで関係が拗れるのか?
「どうですか魔王様、いい国でしょ。」
「ああ。そうだな」
「魔王様?」
「本当に……本当にいい国だな……。」
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あれからどうなったのかと言えば、俺を連れてきたあの魔族と城門のところで別れてから、城の中に入ったら今日はもう疲れただろうと自分の部屋をもらって、風呂に入ってから寝た。城の中での出来事はまるで鏡写しのようだった。ただ、違いがあるとすれば城の中で最初に出会ったのが魔王の補佐官であるリリス・デモール・アストという女性だったことぐらいだ。……そして、この人はアーネと同じことをしてきた。もしかしてだが風呂の中に入ってくるのは伝統的なものなのだろうか?
「はあ~、やっと落ち着いた。」
あの人アーネみたいにグイグイきて別れるのに苦労した。
「一旦、アーネのところに戻るか。魔法《ディスタンス・ブレイク》」
この魔法を使ったあと目を開けてみるとしっかりとルート国にある俺の部屋になっていた。俺がいま使った魔法は爺さんの手記に書いていた書きかけのものを完成させたものだ。この魔法は手記の真ん中あたりに書いてあったので多分消すのを忘れていたんだと思う。
「……勇者様?」
「うん?なんだアーネか。まあ当然かと言えば当然だけど。」
「勇者様ったら、帰ってくるのであればそうおっしゃってくだされば良かったのに……」
「うん?」
「どうかしましたか?」
「いや……驚かないんだな、と。」
「?例え、勇者様が急に現れたとしても、まあ勇者様ですし、としか。」
「……」
「?」
「……まあ、今はとにかくエルザさんを呼んできてくれないか?こんな夜遅くに悪いんだけど話したいことがあるんだ。」
「勇者様、こんな夜遅くに一体どうしましたか?」
「……あんたも驚かないんだな。」
「?」
「いや、なんでもない。」
「はあ、それで話となんでしょうか。」
「ああ……実は魔族人達が住んでる国に行って来た。」
「ッ!?それは、本当ですか?ではもう魔族どもは……」
「とうとう終わったのですね。」
「いや、まだ魔族の国はご健在だよ。」
「えっ!?なぜですか?折角の魔族を滅ぼすチャンスだったんですよ。」
「落ち着きなさい、アーネ。勇者様には勇者様の考えがあったのよ。」
「ハッ!すみません、勇者様。」
「娘が申し訳ありません。それで勇者様、なぜその国を攻撃しなかったのでしょうか?もしやですが、魔王がいたのですか?」
「魔王……か、確かにいたよ。けど、理由はそれじゃない。俺がなにもしなかったのは、魔族の人たちが俺らとなにも違わないように感じたからだ。」
「違わない?」
「そう、違わないんだよ。あの人達も俺らとなにも変わらない。ただちょっと、見た目が違うっていうだけじゃないか。そうなのに、なんでそこまでして魔族の人たちに対して否定的なんだ?そもそもどうして戦争なんかしてるんだ?」
「?なにを言ってるんですか?相手は魔族ですよ?」
「……は?え?魔族……だから?」
「……どうしたのですか?勇者様?魔族はいわばこの世に蔓延る害虫のようなもの……当然、1っ匹残らず滅ぼさなければならないもの……だと、思うのですが……勇者様はどう考えているのですか?」
は?……何言ってんだこの人?魔族が害虫?なんでこんなに魔族への悪意が高いんだ?
「……なんでそんなに魔族を憎んでるんだ?昔に何かあったのか?」
「いえ?別に何かされたわけではありませんよ?それに、私は別に魔族を憎んでるわけではありませんよ。」
「なら、なんで。」
「ただ……魔族だから、としか。」
この感じ……あのときと同じだ、初めて会ったときと。この薄気味悪さ……悪意に意思が乗ってないような感じ……。
「お母様、きっと勇者様は疲れているんです。だから……」
「アーネッ!!」
「いや、そうだな。今は一人にさせてもらえると助かるよ。ありがとう。アーネ。」
「ムッ!……そうですか。勇者様はお一人が好きなんですね。では、お好きに……私は自分の部屋に戻ってますので!」
「ああ、怒らせちゃっか。エルザさんには悪いけど、アーネに"済まなかった"と伝えておいてくれないか?」
「いえ!今回はこちら側に非があります。アーネが申し訳ございません。私からアーネによく言って聞かせておきます。私もアーネも罰を受ける覚悟はあります。償いはいかようにも受けます。」
「え?どうしたんですか?エルザさん。いや罰とかそんなもの受けなくてもいいですし、そもそも怒ってないですよ。」
「そうだとしても、アーネが勇者様に非礼を働いたことには変わりありません。しかし、勇者様がそういうのであれば、そういうことにさせていただきます。……では、私もこの辺りで帰らさせていただきます。おやすみなさいませ。」
「あ、ああ。」
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勇者様ってば折角私が「二人きりで休みませんか」と言おうとしたのに、一人で休みたいだなんて……。ひどい、ひどすぎます。
「アーネ!」
「?あっ!お母様……何かようですか?」
「アーネ、先程の態度はいくら勇者様の世話係としてだとしても、目に余るものでしたよ。罰として勇者様の世話係からしばらく外します。他の者が世話をしている間にあなたはなんでこうなった考えて、反省してなさい。」
「えっ!?なぜですか!私がなにか失礼なことをしましたか?」
「失礼も何も……勇者様が疲れているからあのような発言をしたなどと……あなたは勇者様を侮辱したいのですか!!」
「侮辱?私はただ、勇者様を心配して……」
「勇者様が心配?それが侮辱なんですよ、アーネ。勇者様は私達ごときが推し量れるような存在ではないのですよ。それを……まるで勇者様が私たちと同じようにみるなど……」
「同じようなって、確かに勇者様は私たちよりも上のお方と言えなくもないですけど、それでも同じ人間であることには変わりないじゃないですか。」
「……あ、アーネ、あなた自分でなにを言ってるのかわかってるの?あなた、死にたいの?……そんなこと、人前で言えば殺されてしまいますよ。ハァー、もういいです。あなたに勇者様への接近を禁じます。」
「は?意味が分からないのですが?なんで私がそんなことに?おかしいです!」
「この程度の罰で済んでることに感謝してください。じゃあ、また今度ね、アーネ。」
「母上!……なんで私がこんな目に?」
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やっぱりおかしいよな。魔族だから?そんな理由でそこまで相手を憎めるのか?何か他に理由があるような気がしてならない。その理由を知るためにも一度しっかり調べてみよう。そんな決意を胸に今日は眠りについた。
改めて投稿が遅れてすみません。最近は学校が忙しかったり、体調がよろしくなかったりと色々な理由があり投稿が遅れてしまいました。これからも、投稿は続けていくのでご贔屓してくださる方はこれからもご贔屓におねがいします。