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聖王国 国王陛下との謁見

かなり豪華な客間で待たされるとオジサンが入ってきた。

「待たせて済まないね。コレットさん。

私は、神聖国聖教会の最高意思決定機関である十二司教審議会のメンバーのジェロームと言う。枢機卿を拝命している。よろしくね。」

「よろしくお願いします。ジェローム卿。」

私は立ち上がってカーテシーをする。


「ふむ、君の礼儀作法は正式に習ったものかね。?」


「いいえ、元居た世界での見よう見まねです。」


「なかなか堂に入っているよ。礼儀作法についても修練に入れようと思うが希望するかね?」


「お願いします。」


「まず、昨日の審議会で君に対する結論が出た。君は正式に[癒しの勇者]と認められた。勇者には通常、太陽の女神の加護を得ているはずなのだが、君には太陽の女神の加護は無く、月の女神の加護を得ているという。理由を伺っても?」


「申し訳ありません。私もはっきりとは解りません。しかし、女神様は私が3人目の最後の勇者であり、前の二人が先に加護を選んだとおっしゃっていました。」

もちろん一回勇者になることを断って焼き土下座された挙句サッカーボールのように蹴られた何て言えるわけがない。

この人信心深そうだから憤死してしまうかもしれない。


「ふむ、太陽の女神様の加護は得られなかったことと関係があるのかな?」


「神々の意思は私にはわかりかねます。質問も恐れ多くてできませんでした。」

怖かったのは事実なので嘘ではない。


「さもありなん、だな。大人でも難しいかもしれん。ましてや君はまだ10才だ。無理もない」


「まず希望された修練の内容だが、神聖騎士から何人か教官につけてメイス術の教練をおこなう。そして、並行して、ヒーリングの魔術の教練を行う。強化の魔術については残念だが我々もよくわからないのだ。図書室の閲覧許可を得て調べていたようだが、成果はあったかね?」


「残念ですが・・・ありませんでした。」


「フム、そちらはおいおいと言うことになるのかな?」


「そうですね。近くに魔物が出るならば討伐してレベルを上げたいと思っています。」


「実戦か・・・よかろう。神聖騎士団からも何人か護衛を付けよう。女神様によると君はあまり自身が強くはないそうたがらね。」


「強化の魔術は自分で研究してみようと思います。力不足を補うために傭兵や冒険者から従者になってくれるものを募ろうと思っています。」

本音は「使い勝手の良い盾を何枚か揃えたい」だったがもちろんおくびにも出さない。


「待ってくれ、そちらも神聖騎士団から希望者を募ってみるよ。」


「あとは修練の成果によって変えていこうと考えています。」


「そうか、[癒しの勇者]の名前に恥じない成果を期待しているよ」


「ご配慮、ありがとうございます。」


ジェローム卿との会談は終始、にこやかに進んだ。


「今日から3日後、国王陛下が君にお会いになるそうだ。」


「どのような用件なのか伺ってもよいでしょうか?」


「新しく誕生した勇者がどの程度のものかの品定めだろう。

名目は神聖国の名誉騎士爵の叙爵となっている。」


「はあ・・・名誉・・・騎士爵ですか?」

なんだそりゃ、ウマイの?食えそうにないけど。


「名誉騎士爵は勇者になったらとりあえず叙爵される最低限度の爵位だ。

成果を上げれば昇爵もあるだろう。

勇者ミカミはずっと成果を上げ続けているが、今は子爵だ。」


「はあ・・・別に平民のままでも私は構いませんが・・・」


「回りがそうではないのだよ。

六女神さまから直接天啓を受けられる君たち勇者は特別な存在だ。

公式な行事に呼ぶにも貴族とそうでないものは扱いが違う。

六女神さまや神殿の手前、平民と言うわけにはいかないのだよ。

騎士爵と言っても普通の騎士爵と違って特に義務や責任は発生しない。

もちろん領地や俸給が与えられることもないが。

まあ、言ってみれば名誉職だな。

あまり気にすることもない。

そうそう、ついでに言っておくが神聖王国の名誉騎士爵同様、神殿からも助祭の地位を贈らせて貰おう

こちらも実態は何もない形だけのものだ。

だから遠慮なく受けてほしい。」


なるほど、神様の手前、何もしないわけにはいかないから、実績0の単なる小娘にも名前だけの名誉を上げますよと言うわけか。

何かやらなくてはならないことが増えるならゴメンだったが、名前だけなら有難く貰っておこう。


「ご配慮、感謝いたします。助祭の名に恥じぬ努力を致します。」


「フム、国王との謁見には私も後見人として随行しよう。」


「ありがとうございます。」


こうしてジェローム卿との会談は終了した。




神聖国、国王との謁見


神聖国はその名の通り、教会の勢力が非常に強い国で、王族も教会と深く結びついている。

王族からは一人は必ず神殿入りするほどだ。

もちろん次男以下の跡継ぎになれなかったものに限るが。


私はジェローム卿に連れられて国王との謁見に臨んでいた。

巨大な謁見の間に、国政の要職についている貴族たちが勢ぞろいしていた。


正面には豪華な椅子に国王と王妃が並んで座っていた。

そのわきには同い年くらいの金髪の少女が控えている。

この国のお姫様かな?


ジェローム卿が私より半歩前に位置し、二人で跪く。


形式的な挨拶が終わると私が紹介された


「これなるは、十二司教審議会にて新たな勇者に認定されたコレット殿です。」


「コレットと申します。六女神様から[癒しの勇者]として魔王と戦えと天啓を受けました。陛下、お目通りいただき光栄に存じます。

以後、変わらぬ支援のほどお願い申し上げます。」

出来るだけ優雅に見えるよう、教えられたとおりに振舞う。


「おお、本当にまだ年端も行かぬ少女なのだな。」


少女と言うより、幼女だと思う。


「コレット殿はつい先日勇者として目覚めたばかりなれば半年ほど神殿で修練を積み、勇者として旅立っていただくこととなっています。」


すると、陛下と王妃様の脇に控えていた少女がこちらに駆け寄ってきた。


「本当に私と変わらぬ年なのですね。私はグリューネと申します。

以降、お見知りおきを」


王妃様が慌てて止めようとするが間に合わなかった。


「これ、グリューネ、失礼ですよ。控えなさい。」


「ハハハ、申し訳ない。わが三女グリューネだ。甘やかして育ててしまって無作法を働いてしまったが許してほしい。ジェローム卿、コレット殿」


「いえ、お気になさらず」

ジェローム卿が私に目配せした。立って相手をしてもよいということだろう。


「お初にお目もじします。グリューネ王女殿下、先日六女神様より天啓を受け[癒しの勇者]となりました。コレットと申します。」


「まあ、コレットさん。ねえ、立って立って。」


そう請われたので立ち上がると目線が合う。

本当に背格好は同じくらいだった。しかし、金髪に碧眼の美少女であるグリューネに対してこちらは黒髪に銀眼だ。

グリューネ王女殿下のほうが明るく華がある。

私の方は月の女神の加護が影響しているのか夜にひっそりと咲いている野花と言った印象だ。


「神殿も騎士様はクマのような大男ばかりで大変でしょう?

近衛もなのよ。

ね?私たちいいお友達になれると思うの」


「殿下がそうお望みになるのであれば」

殿下、プリンセスガードはスーパーエリートの集団ですよ。

クマは無いでしょクマは。


「もう、硬いなあ。」


「ハハハ、申し訳ない。これ、グリューネ、もう席に戻りなさい。」


陛下の言葉でさすがの天真爛漫な王女さまも元の位置に戻る



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