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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第3章 牧場と偶像とテレポート

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3-25 追放

翌週、私たちは牧場の母屋にあるポルテナの大きな鏡を通って、ウェステリア魔法女学院に向かった。

魔法女学院の先生であるイドラ先生は、聞き取った旋律を記憶・好きな音量で再生する魔法を使うことができる。


イドラ先生にライブ中ベルの歌声を、記憶と再生をリアルタイムで行ってもらうお願いをしにきた、ということだ。


まず、イドラ先生は私とそっくりなベルを本物の姉妹と思った。

確かに姉妹のようだが一ヶ月ほど前に会ったばかりだ、と話すと怪訝な顔をした。


私が騙されていると思ったらしい。

しかしライブのことを詳しく聞くと、ベルに思い切り歌うよう要求した。

それを聴くと、顔を綻ばせた。


「この声量、芯のある歌声...それでも私の力が必要、と言うことですか」


「はい。」

ベルは真剣な眼差しで言った。


「その、ライブ...で、私があなたの歌の記憶と再生をほとんど同時に...即時的に行い、会場の奥まで音を届けてほしい、と。」


「簡単じゃないことはわかっています、お願いします。報酬は弾みます。」

私とアズカットも「お願いします」と言った。


少し間が空いてから、イドラ先生は言った。


「...お安い御用です。」


「ありがとうございます!」

3人とも言った。


「どこぞの星眼の魔女さんみたいに、それくらいで鼻血を出したりしませんから」

イドラ先生は微笑んで冗談を言った。

私は苦笑いした。


「それに報酬と言うのであれば—」

ベルはごくりと唾を飲んだ。


「また今度ここで歌ってくれませんか。

ここの生徒たちは、そういうものが大好きなようなので。」


実際、さっきベルの歌を聴いて、周りに生徒たちが集まっていた。


「...はい!」

ベルは元気よく返事をした。


これで準備は万全だ。

あとは残り2週間でバッチリ修練を行い、本番を迎えるだけである。


牧場に戻ると、グルーさんがいた。


「おお、おかえり」

「ただいま〜」


「モ〜!」

牛さんがこちらに向かってくる。

「ひいぃ!」

アズアズが悲鳴をあげた。


牛さんがアズアズに衝突せんとするその瞬間、鐘の音が鳴った。

牛さんは思い出したかのように戻っていった。


「これで全員です。」


「はい、どうも」


声の方を見ると、カイルが牧場の服を着ていた。


「カイル、その格好...」


「ちょっと興味が出て。」


「そうなんだ。でも日曜日だし、あんまりやることなかったんじゃない?」

私は聞いた。

「興味がおありでしたら明日私が直接教えますよ!」

ベルが言った。


「ありがとう。でもその必要はない。仕事はグルーさんから全て教わった。」


「というわけで...ベル、ステラちゃん。明日から解雇(クビ)ね。

ライブまでの残り2週間、仕事は全部カイル君にやってもらうから。」


「「えっ...ええーッ!?」」


私とベルは、牧場を追放されてしまった。


でもそのおかげで、残りの2週間たっぷりと時間を使って練習に励むことができた。

準備メモ ライブまであと2週間

進行度:85%/100%

会場→アズカットが土地の許可取得済、設営も完了 25%/25%

歌と演出決め→通し練習はばっちり!準備は万全! 25%/25%

衣装→完成!着た状態で歌も歌った! 25%/25%

告知→ライブすることと日時を告知しました!!今週中は、当日はまず町のいつも歌ってるところに集まってほしいことを告知する! 10%/15%

最終通し練習→10%/10%


筋力修練、歌唱修練、本番を想定した通し練習は定期的に継続して行う。

↑継続中です!


記入者:アズカット・デレクタ、ベル・ロスヒハト、ステラ・ベイカー

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