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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第3章 牧場と偶像とテレポート

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3-21 素敵な格好

そこには、アイドルの衣装を着たベルがいた。

素敵な装いのベルは一回転してみせた。


「ふふ、どうですか?」


凄まじく、かわいい。それだけじゃない、かっこいいとも思った。

そんなとてつもない印象を受けた。


だが目の前にいるのは別人ではなく、確かにベルである。

印象が強化されているけれど、衣装に食われて別のものにすり替えられているわけではない。


むしろベルが衣装を美味しく食べているのではないか、そんな情景が私の脳裏に浮かび上がる。


髪は左で束ねている。綺麗なほうきみたいに。

私は今生まれて初めてアイドルを見ているはずなのに、それがなぜか、アイドルの髪型だ!と思った。


よく見ると吟遊詩人の時に着ていた服の意匠も含まれている。

が、パッとみただけではアイドルとしての側面が強く、よくみて初めて気づくようになっている。


吟遊詩人の時にかぶっていた帽子をイメージした頭巾(フード)。歌っている最中は被らないのだろうが、

ベルは今かぶって見せてくれた。被ったり、脱いだり。


「か、かわいいっ!で、綺麗!それで、かっこいい!!!」


「ふふ、ありがと〜!!」


ベルは輝く笑顔をみせた。


「カイルさんは何かありますか〜」


「...かっこいい!で、綺麗!かわいい!」


「ふふ、ありがとうございます〜

でもお姉ちゃんの逆さまにしただけじゃん!だめだよ〜そういうのは」


「俺もそう思ったんだからよ〜だから別にいいじゃんよ〜」


「むっ!その言い方やめて!本気で泣きますよ!」


「ごめんなさい」


「よろしいっ、許しましょう!」


それからベルの歌を聴いた。

踊りも完璧にこなし、もう本番できるんじゃないかってくらい流石だった。


でも、そういう上手さとかを超越した良さが、ベルにはあった。

歌い終わった後、私だけじゃなくカイルもアズアズでさえも、ベルの褒め大会になってしまった。


ベルは「そんなに褒めると、次町行ったとき吟遊詩人モードなのに調子乗ってアイドル曲歌っちゃうかもだからやめて!」と言った。


「褒めてばっかりじゃなくて、改善点はありませんかっ?」


「うーん、ない」

「ないわね」

「ない」


「ふむ...」


「ごめんなさい、改善点が出せなくて...私たちみたいな怪人全肯定集団じゃなくて、

もっとベルのことが嫌いな人とか、呼んできましょうか?」

アズアズは言った。


なんだか悪意あるように聞こえる言い方だけど、アズアズは完全に善意で言っている。


「いえ、大丈夫です!私も完璧にやったつもりでしたから!

でも...」


「でも?」


「会場に行ってやってみないとわからないことがあるかもって思って」


それからすぐに私たちはライブ会場に向かった。

が、今が牧場の仕事の休憩中だったことに気がついて引き返した。

準備メモ ライブまであと3週間

進行度:75%/100%

会場→アズカットが土地の許可取得済、設営も完了 25%/25%

歌と演出決め→会場での最終通し練習を見て、この案のままで行くか最終確認 20%/25%

衣装→完成!着た状態で歌も歌った! 25%/25%

告知→何をするのかはさておき、日時だけ書いて告知しました!場所を告知すると見に来ちゃう人がいるかもなので! 5%/15%

最終通し練習→0%/10%


筋力修練、歌唱修練、本番を想定した通し練習は定期的に継続して行う。

↑継続中です!


記入者:アズカット・デレクタ、ベル・ロスヒハト

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