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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第3章 牧場と偶像とテレポート

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3-18 木漏れ日レモネード②

「知っているのかルーくん!?」

さっきまで煩わしそうにしていたはずのコマチさんは、やたら高いテンションで言った。

ベルから必要なことを聞ききって、一段落ついたらしい。


「はい。幼い頃よく食べてて...料理の香りづけとか...もちろんそのままでも食べられるし、染料にもなる...!

匂いも色も間違いない、サファイアレモンだ...!故郷以外ではどこへ行ってもなかったのに...!


一体どこで!?」

食い気味にきくカイル。


「ボルカニア先輩が用意してくれたから、どこで調達したかは知らない...」


「...そうか。」

そう聞くと、カイルははっとしたように落ち着いた。


「...飲みますか?」

ポルテナが言う。


「えっ...?」

私が飲むはずだったのにぃ!!!!


そう思ったけれど、

でも、カイルも久々に故郷の味を飲みたいだろうし、いいか...


私の声に反応してポルテナが振り返る。

「あ、ステラ先輩のでしたね...」


「ああ、いいよ!飲みな飲みな」


「本当にいいのか?遠慮なく飲むけど」


「うん。いいのいいの。私はもう一杯飲んだから」


「それじゃあいただきます」


カイルはポルテナからをコップを受け取った。


「うおっ、冷たい」


カイルは自前のコップを二つ取り出して、飲み物を少しずつ注いだ。

コマチさんとニエの分だ。


「なるほど、水に溶かして飲むのはやったことなかったけど、うまいな」

カイルは微かに微笑んだ。


もっと涙をおいおい流しながら感動して飲むかと思ったのに...!


「す、すげえ、この飲み物、キンキンに冷えてやがる!」

ニエが言った。


「!犯罪的だっ...!うますぎる...!」

今まで聞いたことのない口調のコマチさん。


「何ですかそのおかしな口調、ニエの真似ですか」

カイルは笑った。


「ステラ先輩」

メルネがやってきた。


「飲み物渡しちゃって良かったんですか?」


「う、うん。当たり前じゃない!三人もあんなに喜んでるし。」


とは言いつつ、少し悔しい気持ちもあった。


「ステラ先輩、我慢して嫌な気持ちになるくらいなら、やりたくないことはしなくていいってよく言ってましたよね。

その割に自分は飲みたいものひとに軽々しくあげちゃいますよね...」


「そうだね!我慢してないからね!」


「その...ステラ先輩がよければ、

私の飲みかけですけど、ステラ先輩にあげま—」


その時、メルネの持っていたコップに蒼い液体が注がれた。


「なッ!?」


注いでいたのはポルテナだった。


彼女はそのまま私のコップにもサファイアレモンのジュースを注いだ。


「私の分ですけど、おすそわけ、です。」


「わあ!ポルテナ、ありがとう!!!!!」

私はすぐに飲んだ。


「あ、ありがとう...」

メルネはそう言って少し飲んだ。


とっくに空っぽになっていたベルのコップにも、ポルテナは飲み物を注いだ。


「ありがとうございます!

あ、さっき箱が開けっぱなしになってたので冷気が逃げちゃうと思って閉めときました!」


ベルは元気に言った。


「...ああ、ありがとう...」

何だか歯切れが悪い感じで返事するポルテナ。


「それにしてもポルテナさん、すごいです!

アズカットさんの分を置いてあるなんて、私だったらこっそり飲んじゃいます!」


「あ、うん」


「だよね〜ポルテナすごい!


はあ、回復した回復した!私も思い出の品を〜ルカの箱を見てくるね〜!

あれ隠し扉とかあって色々やばいんだよね〜!...あれ?」


私が箱を開けると、飲み物のは言ったコップがまだ一つあった。


「あ」


「まだある!!!!!

これ、誰の!!飲んでいいの!?」


数秒謎の沈黙が走った。


「ポルテナ?」


ポルテナの方を向くと、彼女はぷいっと目をそらした。


「ポルテナ?ねえねえこれ誰の!?誰のなの!」


「...アズカット先輩の、です....。」

ポルテナは渋々答えた。


「...なるほど!!さすがポルテナ!!」


「お姉ちゃん、それ私がさっき言ったよ」



牧場に戻ってアズカット・デレクタもサファイアレモネードを飲んだ。

美味しいと喜んでいたが、

賢さが急降下したような私の発言を聞き「これ本当に大丈夫なの?」と警戒してもいた。


あの飲み物を飲んだ後、なんだか気分があけっぴろになって幼稚な口調になっていたのは覚えている。

すごく恥ずかしいけど、面白いなとも思った。でもなんで私だけ...?とも思った。


その時にはアズアズの怪我はすっかり治っていたようだったが、翌日の朝また牛さんに頭突きされてしまった。

アズアズは牛さんに近付いてはいけないことになった。

準備メモ ライブまであと一ヶ月1週間

進行度:55%/100%

会場→アズカットが土地の許可取得済、設営も完了 25%/25%

歌と演出決め→歌はベルの頭の中に、演出はまだ 10%/25%

衣装→発注が完了!あとは完成を待つのみ 20%/25%

告知→0%/15%

最終通し練習→0%/10%


筋力修練、歌唱修練、本番を想定した通し練習は定期的に継続して行う。

↑しばらくは演出決めと並行してこれらをやる期間!


記入者:アズカット・デレクタ、ベル・ロスヒハト

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