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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第3章 牧場と偶像とテレポート

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3-9 早速連絡

「それじゃあ早速ポルテナさんに連絡ね」

アズカット・デレクタはそう言って、手鏡を取り出した。


「...」


「...」


しかし取り出しただけで何もせず、その場には沈黙が走った。


「アズ—」


そう言いかけた私をアズアズは「静かに」と静止する。

そして少しして「よし、今よ!」と言った。


Z

L

Z


ウェステリア魔法女学院にて。

ポルテナ・エルポーニは授業中にもかかわらず居眠りをしていた。


小型の転移装置を耳にはめて、川のせせらぎを聴きながら快適に眠っていたのだ。


「すぅ...」


鐘が鳴る。


「本日の授業はここまでです。来週は—」


「ちょっと、もう授業終わっちゃったよ」

ポルテナの隣に座っていたグルグル眼鏡の同級生・メルネが起こそうと強く揺り動かすが、

ポルテナは全く起きる気配がない。


しかし—


『『もしもしポルテナさん?』』

突如、ポルテナの耳の中に爆音が響いた。


驚いたポルテナは椅子ごと盛大にひっくり返った。


「ポルテナ、大丈夫!?」


メルネが心配して声をかけるが、ポルテナは目を回して動かなかった。


『『ポルテナさん?いないのかしら...もしもーし』』


メルネはそれに気がついて、ポルテナの耳から外れた小型転移装置を自身の耳にはめた。


「はい、もしもしメルネ・フロウデンです。」


『『ああ、メルネさん。アズカッ—


音が大きくて、メルネはすぐに耳から装置を離した。


「どうやって音量調節するんだろう...」

そんな独り言を言いながら少し装置をみたが、使い方がわからなかった。


ひっくり返ったポルテナに気がついて、先生やクラスメイトたちがそばに来ていた。

メルネは一緒に肩を担いでポルテナを起き上がらせたのち、「私が保健室に連れて行きます」と言った。


「えーと、音が大きいみたいなので小さい音で喋ってもらえますか?」


それからメルネは装置を耳につけた。


『『わかりました。アズカット・デレクタです。』』


「アズカット先輩、お久しぶりです。ポルテナに何か用事ですか?」


『『ええ、少し頼み事があって。

それよりポルテナさんは大丈夫なの?』』


「あはは、よくあることなので。

前は装置にクマだかオオカミだかが近づいてきて、ポルテナの耳が唾液塗れに」


『『ええ...?それは嫌ね...』』


「まあ、いつも私の研究室に勝手に入って、動物たち(みんな)に舐められてるんで同じですけどね...」


『『メルネさんの魔法、動物と会話できるんだったものね』』ZLZ


「ポルテナは舐めると甘くて美味しいって評判なんですよね、私は苦いらしいです。」


『『そう、なの...』』


メルネは保健室にたどり着いて、ポルテナをベッドに寝かせていた。


『『ああ、そうだった。用件は彼女から伝えてもらうわ』』ZLZ


「彼女?」


『『今、交代するわね』』


アズカット・デレクタは手鏡をステラに渡した。


『『もしもし、メルネ?』』


「ステラ先輩!?」


『『元気してた?』』


「はい!とっても元気です!」


メルネは嬉しくてつい腕をぶんぶん振ってしまった。

それがポルテナの腹に直撃した。


「ごふっ!」


「あ、ポルテナごめん!」


「よ、用件は...」


ポルテナは辛うじて声を発した。


小型の転移装置(イヤホン)の片方はポルテナの耳に付いたままで、

話は聞こえていたようだ。


『『うん、実は私ね...』』


メルネはゴクリと唾を飲んだ。


『『アイドルをプロデュースすることになったんだ』』


「「...」」


「アイドル...アイドルって...」

メルネは重々しくその言葉を噛みしめた。


「メルネ?」


「...何ですか?もしかして、最先端のスイーツの名前ですか...?」


『『惜しい!』』

メルネがあまりにも真剣なテンションで言ったので、ステラはついそう叫んだ。


『『何も惜しくないでしょ...』』

アズカットが言った。


『『いえ...惜しくありません!味わった時は最高に幸せで、

ああまたこの幸せを体験したいなって思いながら今後の人生を頑張れるところとか

終われば無くなってしまうけれどその思い出は後から何回でも心の中で再生できるところとかがスイーツもアイドルも同じで!—


「あの...どちら様でしょうか?」


『『ふふふ、私の妹だよ』』


「え、妹?ステラ先輩に妹!?...そんな...」


アズカット・デレクタはステラから転移の手鏡を奪って言った。

『『ああ、これ以上続けるとややこしくなるから切るわね。

ポルテナさんが動けないできない用事なので、彼女が元気になったらまたかけ直してくださるかしら!』』


「はい...わかりました。では」


メルネがポルテナの方を向くと、ポルテナは「オフ」と唱えた。

音が切れて、保健室は静かになった。


「保険室に他の子が寝てなくて良かったですね」

保険の先生がぬっと現れて、にっこりと言った。


「「...ごめんなさい」」

おまけ


【メルネ・フロウデン】

明るく真面目で、グルグルと渦を巻いた模様のメガネがトレードマークのウェステリア女学院生徒。

彼女の魔法は動物と会話するというもので、彼女のために作られた研究室という名の動植物園を持っている。

また「動物たちが危険に晒されたら私が守らないと」という考えのもと肉体を鍛えており、

見た目こそ小柄で可憐な少女だが、実はかなりの力持ちである。

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