3-4 再会
私とカイルは牧場を歩いている。
するとカイルが言った。
「何か音が聞こえる」
カイルがどこかに向かっていく。
耳をすましながらついて行くと、本当に何やら音が聞こえてきた。
「本当だ」
そこは小屋だった。
人が何かはなしている声が聞こえる。
「カイルさーん!ミルクできましたー!」
グルーさんが大声で呼んだ。
「今行きまーす!」
カイルが返事した。
「なんか結局ミルク買うことになってたな...
俺は取りに行くけど、ステラは?
小屋が気になるならそこで待っててもらってもいい」
「うん、そうさせてもらう。」
「それじゃあ」
「じゃあ、またあとで」
カイルは去っていった。
小屋からはやはり何か声が聞こえている。
よく耳をすますと、それはさっきの吟遊詩人の歌声だった。
壁越しでも、その綺麗な旋律が感じられた。
歌が終わり、音が止まった。
また何か喋り声が聞こえた
私は意を決して小屋の扉を開けた。
「「がはっ!!」」
その瞬間、何かにぶつかった。
「いてて...すみません!」
人が倒れていた。私はその人に手を伸ばした。
「ああ、どうも...」
「えっ」
「あ」
「「ああーっ!!!!」」
私も相手もお互いに指差した。
相手の正体は、私の魔法学院時代の同級生、アズカット・デレクタだった。
「アズアズ!」
「ステラ・ベイカー、もう私たち学生じゃないんだから、その呼び方をやめなさい」
「いいじゃん、そろそろ私のこともステラちゃんって呼んでいいんだよ」
「わかったわ、ステラちゃ...って、そんなの呼べるわけないでしょう!?」
「全く、頑固なんだから...」
私はアズアズを抱きしめた。
「な...そうやってすぐくっついてくるのをやめなさいって何度言ったらわかるの?
は、恥ずかしいじゃない...!!」
「はいはい。...ところで、なんでここに?」
私は抱きしめるのをやめて彼女に聞いた。
「それはあなたこそ。私は演出家として、彼女に相談を受けていたの。
ポルテナさん経由でね」
「彼女...?」
「あの〜...」
小屋の中から声がした。
その声には聞き覚えがあった。
「あなたは、ふもとの町で歌ってた—」
「はい、そうです!」
吟遊詩人はこちらに歩いてきた。
小屋の暗影から出て、柔らかい陽の光が彼女の顔を照らした。
「え...!?」
彼女を見て、私は驚いた。
「どうもはじめまして、ベル・ロスヒハトといいます」
彼女、ベル・ロスヒハトの顔は、私とそっくりだった。




