表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
序章 転生者の回生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/124

0-3 オオカミたちの集落

それから俺は、オオカミの仲間たちがいるという場所に連れて行かれることになった。


「つーかお前、よく生きてたな!身体ボロボロなのに。」

どうやら俺...もといフォレストオオカミは、池にはまって何日も溺れていたらしい。

ところどころ肉が腐り溶け落ちていて、骨が見えているところもある。

それゆえ、ゾンビの名を連ねるようになったということだろう。


そこをたまたま通りかかった彼に助けられたということだ。

フォレストオオカミは世界各地の森を放浪する魔物の種族らしいが、俺の身体の元の持ち主と彼は所属する群れが違い、面識はなかったようだ。


...こういういかにも肉食な動物で『別の群れ』というと、縄張り争いとかをバチバチするものなんじゃないかと思っていたが、今のところ彼は友好的に見える。

いいね、助け合い。

でもこれがゲームのシナリオなんじゃないかと思うと、感動が薄れる。


「よし、ついたぞ!」


そこには入り口があった。

少し太い木の枝を草糸で縛った、それこそ人間の原始的な部族が作るような簡易的な門が。


さらにその両横には無数の石がずらっと並べられており...これは憶測だが、全体的に見ると円を描くような形をしている気がする。

この石が住処の境目を表している...ということだろうか。


動物にしてはやけに文明的なそれらが、俺の中の「これゲーム説」をひそかに補強した。


「パーパおかえりー!」

門をくぐるとすぐさま、小さなオオカミの子供が3匹寄ってきた。


「おおぉ、いい子にしてたか?」

パーパが子供たちにきく。


「うん!」


「タウロがまたサブロをいじめてたよ」

気の強そうな子オオカミが告げ口する。


「本当なのか?」


「チッ...」

一匹の子オオカミが去っていった。


それから一匹の子オオカミがこちらに近づいてきた。


「どうもはじめまして、ジージョといいます。パーパがいつもお世話になっております。」

子オオカミが俺に挨拶をしてきた。


いえいえこちらこそ...

俺は口をパクパクさせた。子オオカミは不審な顔をした。


「ぱーぱこのおじさんだれえ?」


オオカミ(以降は俺もパーパと呼ぶことにする)は俺に「見苦しいところを見せてすまない」と一言謝ってから、俺が池に溺れていたということ、そして現在はなぜだか喋れない状況なのだということを子供たちに説明した。

俺にも「私の家族だ」と親切に説明してくれた。見ればわかる。


「へえー!おじさんおよげないんだ!ぼくとおなじだ!よろしくね!」


「ふん、突然喋れなくなるなんてありえるわけないじゃない!(そうだったんですね、よろしくお願いします)」


「おいジージョ!...はあ。まあ、ゆっくりしていってく...」


「おい!!!人間がいるぞ!!捕えろ!!!!!!」


今いる入り口付近よりもずっと奥の方から、怒号とも言えるような大きな咆哮が飛んだ。


「お前たちは家に隠れていろ」

パーパは子供たちにそう告げ、声の方向へ向かっていった。


俺もつられて声の方向へ走っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ