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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第2章 大蜘蛛の遺跡

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2-11 復讐しちゃえ【大蜘蛛+???視点】

大蜘蛛とそこに訪れた謎の少女???のお話です。漠然と、敵サイドのお話〜と思っていただけると幸いです!

ステラたちがエルツの町に来るより少し前

遺跡の奥深くにて


...


大蜘蛛ダーマ。

かつて人間たちは自身をそう呼び、恐れ、崇めていた。

しかしそれも遠い昔の話。

次第に生贄を運ぶ者はいなくなり、自身の住処に人間たちが来る事はなかった。


大蜘蛛の脚はボロボロになっていた。

もう歩くこともできず、ただ寝転がって罠に獲物がかかるのを待つのみだった。

だがそれは時が経ち老化したからではなかった。


「その脚、今でも疼くの?」


ダーマは少し前までは、誰か来ていないだろうかと

時々洞窟の浅いところまで見に行っていた。


だがそんな時、現れた水色の人間にこの脚を切り落とされ、

さらには地底湖の中に落とされてしまった。


蹴落とされたわけではない。

やつは炎を持っていた。

それを振りかざされそうになって、ダーマがそれを避けたのだ。


「それでこんなところまで落ちちゃったんだね」


人間がダーマを撫でる。

ダーマの頭部は不思議とこそばゆく、それはもう溶けるような心地がした。


やめろ


「...」

人間は吸い込まれてしまいそうな妖しい笑顔を見せ、ダーマから離れた。


あれから毎年この時期にやってくる。

あの人間が。気配でわかる。


だがダーマの近くにはやってこない。

ダーマがあの人間を喰い殺せる場所までは。


「憎いの?」


...


「憎いんだ。その水色の人間のことが、憎くて憎くてたまらない。

だがらないはずの脚が疼くんだね。」


小娘が、このダーマに向かって無礼だ—

「ほら、こんなに震えてる」


人間の小娘が手を添えるとそこから脚が這い出てきた。

なかったはずのダーマの脚が、小刻みに震えている。


どうして?そんな困惑と、

脚がまた動かせるという高揚感で頭がいっぱいになって、頭の中がおかしくなる。


「人間なんかに負けちゃって、悔しかったんだよね?」


何を—


「憎くて憎くて、復讐したかったんだよね?」


ダーマは—


「じゃあさ、復讐しちゃえ」


その囁き声を聞いた途端、

ダーマの頭の中はぐちゃぐちゃになって、

水色の人間が憎いという気持ちでいっぱいになった。


殺す。殺す。殺す。

憎しみが、意思が、ダーマの中から湧き出てくる。

それが溢れそうになる度に、ダーマの脚も傷口から這い出て再生した。


ダーマは水色の人間を殺す。

でもすぐに殺すんじゃない。

ダーマが受けた苦痛、屈辱、全部味合わせてから殺す。


「そう、それでいいの。それがあなたの使命。

だから存分に、人間を苦しめてきてね!」


ダーマは壁を這い、洞窟の浅いところへ向かった。


...


「やっぱり復讐は世界で一番の正義です。

わたしに復讐を教えてくださってありがとうございます、ゴースト・ガバーン様。」

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