2-1 ネコニス空間消滅!?
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「はっ!」
俺は目を覚ました。
目を覚ました俺を強烈な違和感が襲った。
地面がない。
足が床についていない。
ずっと落下しているような感覚。
しかしそのおかげで上下左右360°見渡すことができた。
すると大きな違和感の正体をもう一つ見つけた。
この空間は、真っ白になっていた。
何もない。
死ぬたびに来ていたこの空間、転生の間とでも呼ぼう。
今までは真っ黒だった転生の間が、真っ白に変わっている。
どこにも、何もない。
それでもあたりを必死に見回すと、小さな影が見えた。
近づと、それはネコニス様だった。
ネコニス様は腕を頭の後ろに組み、仰向けになっていた。
「ネコニス様!」
ネコニス様は少しの間無反応だったが、遅れてこちらを向いた。
「ああ、おかえ—いや。」
そう言ってネコニス様は起き上がった...というのも地面がないので変だが、とにかく横向きから縦向きになった。
「ゴブリ・インパクト、かっこいい名前ですね」
「はい。...この空間は?」
するとネコニス様は真顔で言った。
「いなくなったんです。あなたに命を託したから。」
「?」
意味がわからなかった。
彼女はフードを深く被り、淡々と言った。
「失った誰かと再び会いたいのなら、勇者の剣を探しなさい。
残りのチャンスはあと2回です。」
「そのつもりです。でも、勇者の剣がどこにあるのか...」
「仕方ありませんね。ヒントをあげます。」
「ネコニス'sヒ〜ント!
私のネコニスという名前がヒントです。
ネコニスとは、
動物のキャットちゃんを意味する<ネコ>と
頂、いや...頂点を意味する<ゼニス>を掛け合わせた言葉です。
これはどちらもあなたの元いた世界の言葉ですね。
パローナツの頂点、そこに私はいて、勇者の剣もそこにあります。」
「頂点?」
「はい!ほとんど答えですね。」
ネコニス様はちょっと困った感じの笑顔で微笑んだ。
笑顔で微笑んだってのは頭痛が痛いみたいでおかしいかもだけど。
でも本当に、ネコニス様はちょっと困った感じの笑顔で微笑んだ。
「頂ってことは一番高いところ?」
「さあ。でも、頂じゃなくて頂点です。」
「頂きも頂点も同じじゃないですか!」
「同じじゃないです」
そしてネコニス様は俯いた。
「...」
そう思ったら、
彼女は俺の方に駆け寄ってきて、何も言わずに両手を握った。
「...」
「...」
沈黙が流れる。
「...戻ってきてください」
ネコニス様が小さな声でぼそりと言った。
「何で...」
俺にそこまで肩入れする理由がよくわからなかった。
ネコニス様は離れた。
「じゃあ、次の転生の準備を始めますね」
そしてまたあの笑顔をして、準備をはじめた。




