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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第1章 冒険家たちの邂逅

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1-26 魔法使いのゴブリン

「Bブロック決勝第二試合、ゴブリ対ウィザハルト!」


「ゴブリ、期待できるな」

「ウィザハルトの試合見てなかったんだけど、あの老いぼれが勝てるのか?」


これを勝てば決勝戦でインパクトと戦うことになる。

相手のウィザハルトは他のゴブリンたちと明らかに、見た目が違う感じだった。


髭を生やしていて老人っぽいのはもちろんだが、それより目立つのは服。


何やらローブのようなものを着て、腕にはジャラジャラとした装飾品をつけていた。

さらには杖まで持っていて、明らかに魔法使いと言った感じの出で立ちだった。


「それでは、始め!」


杖をトンと叩く音がする。

試しに左に1歩避けてみると、案の定熱いものが通っていった。


多分、炎の球だ。


すると、トントントンと3連続で音がした。

リズムよく避ける。


俺もこの体に慣れてきたみたいだ。

こんなに自由に動けるなんて。


楽しい気分になった、なんだか胸がきゅっとするくらい。


そう思っていたら今度はトントントントントントンと連続で叩きつける音が鳴る。


「...な!?」


避ける避ける。


それでもずっとトントン音は鳴り続けている。

炎の球は止まらず流れてくる。


ついにはじゅっと音がして、俺は燃え移ってしまった棍棒を放り投げた。


「わ、わあ...!」


すると左上マップのゴブリンのアイコンが動いた。

魔法使いの爺さんが棍棒を避けたみたいだ。


するとガシャンガシャン音が鳴った。


「あ、ああ、大事な杖が...」


杖を落としたみたいだ。


「こ、降参だ!」


「勝者はゴブリ!」


「うおおおおおおおおおおお!!!!」


「こ、これ、最近拾ったばっかりだから、あげる。

だ、大事に使えよ」


そう言って彼から腕輪を一つもらった。

どんな腕輪かは見えないので分からないが、大事にいただいておくことにする。


実はこの大会、負けた方は勝った方にその時持っている何かをあげるという習わしがあるようで、

ここまでの4回の試合で俺は、靴と上着、そして棍棒2本を試合後の対戦相手からそれぞれもらっていた。


最初は腰巻1枚の寒い格好だったが、

こうやってもらって物が増えていくのが楽しくて、大会に参加してよかったなと思った。


次はいよいよ決勝戦だ。

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