1-23 ゴブリンの心臓を生で食べる
朝。私たちは別々に歩いて行ったものの、結局ばったり会ってしまった。
私は森を抜けることしか考えていなかったが、
彼によると森を出た先は山、それを越えたらもう北部で、町があるとのこと。
そこは何度も訪れている町で、老人から赤ん坊まで全ての人と知り合いだから
指名手配のことが伝わっていても悪いようにはならないと言っていた。
「本当かな...」
仕方なくついていくことにした。
一瞬だけ足元を見て、その後すぐに前を向いた。
「うわっ!」
彼にぶつかって尻餅をついた。
「いきなり立ち止まらないで—え?」
彼はしゃがみ、積み上げられた暗緑の塊を見ていた。
「ゴブリンだ。」
私も近くに行って確認する。
「ゴブリンだ、ね。」
「毎年この時期になると、こうやってゴブリンの死体が山積みになっていることがある。
これは狙い目だ。」
そう言って彼はゴブリンが散乱した地面を歩いていき「よし!」と言って、1体持って降りてきた。
「こいつは新鮮だ。目を見ればわかる。」
そう言って持ってきた新鮮?なゴブリンの死体を寝かす。
彼は目玉を掴んでちぎる。そして口に入れた。
「え!?」
彼はそれを口の中で転がす。
「...やっぱり...新鮮だ...おええ」
そう言って吐き出した。
「ダメだよ、食べたものを粗末にしちゃ」
私自身何を言っているのかわからなかった。
それを聞いて彼は少し黙った後、吐き出した眼球を食べた。
ゴクリと飲み込んだ音がはっきりと聞こえた。
「...もう一つの方はソースにする。炙ってからだと美味しくなる」
そう言って怪人ウサギ男は食べなかった方の眼球を小さな瓶の中にしまった。
彼はまたゴブリンを見て、今度は刃物で腹を切り出した。
「うっ」
その瞬間内臓がひり出てくる様子を見て、思わず目を手で覆った。
グチョグチョと音がする。
「あった!」
私は指の隙間から覗き見た。
な...
彼はなんと、取り出した内臓を食べていた。
「ちょっと、やめな!吐き出して!」
私は彼の背中を叩いた。
「ん゛!ん゛!」
彼はむせながら、腕がやめろとそれを制止する。
そして食べているものをゴクリと飲み込む音が聞こえた。
彼はいつになく笑顔だった。
「な!何やってるの!?」
「え、何って、心臓を食べたんだけだけど...何かまずいことでもやっちゃった?
いや、不味くない。この世で一番幸せになれる食べ物だよ、これは」
「いや、絶対その幸せやばい意味のやつだから!怪しいやつだよ!」
「そうかな...そうかも」
そう言って彼はもう一口かじる。
「ダメだよっ!そんなの食べたら病気になる!...はあっ...はあっ...!」
なぜか息切れする私は、彼の腕を掴んでいた。
「疲れも吹っ飛ぶぞ...食べる?」
そう言って私に持っている心臓を差し出してくる。
「いや!...いや...」
そんなに言われると食べたくなってくる。
「は...がぶ」
口を近づける。私は目を瞑り...思い切って生のゴブリンの心臓をかじった。
「.............な、何これ、あま—」
私は味わったことのない甘さを感じて、それはきっと脳の許容量を超えてしまった。
私の意識はここで途絶えた。




