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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第1章 冒険家たちの邂逅

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1-19 思ったよりいたずら好きだって忘れてた

部屋の扉を開けると、灯りはまだついていた。


昨日まとめておいた私の荷物と、机の上に花束と筒が置かれていた。

花束には「ステラ先輩ご卒業おめでとうございます」と書かれた札が備え付けられていた。


そして筒の方は...卒業証書が入ってるあの有名な筒だ。


筒の下に何やら手紙が置かれていた。

封の部分に「親愛なる元ルームメイトへ」と書かれていた。


私は筒を開ける前に、手紙を取り出し、読んだ。



親愛なる星眼の魔女殿へ。

近頃はお日柄もよく、お元気でございありますでしょうかござるなり。


この手紙をあなたが読んでいるとき、私はもうウェステリアにはいないでしょう—


なんて。冗談はさておき、


卒業式でステラちゃんがいないこと、先生たちも含めて心配してたんだけど、

私が「ステラは今、新しく開発した"透明になる魔法"を使っていて受け取れないんです」と言って代わりに卒業証書をもらっておいたよ!


あなたは強いから、何があっても心配はいらないと思う。

きっと、多分絶対に、この部屋に戻ってきて、そしてまずこの手紙を読んでいると思います。


私は一足先にウェステリアを発ちます。

王都に行ったお姉ちゃんに会いに行きます。


最後にこの手紙を読んでくれてありがとう。


またいつかあなたに偶然会えると良いなと思います。


偶然会えたらいい。ですから、あなたが行きたいところに自由に行ってください。

くれぐれも、私に会うため王都へ来ることはないように。


良い旅を。


最後にこの手紙は10秒後に爆発します。


ボルカニア・ベイカー



冗談はさておきと言っておきながら、

それ以降も何だか支離滅裂な文章の手紙だった。


「こんな痛い文章、私にしか見せられないでしょ」

つい呟く。


でもそれは、「ステラちゃんならこれでも私の言いたいことわかるよね?」

というある種の挑戦状なんじゃないかと私は受け取った。


...


最後の方に『私に会うため王都へ来ることはないように。良い旅を。』とあるが...


文面通り受け取るか、それとも...


『あなたは強いから、何があっても心配はいらないと思う。きっと、多分絶対にこの手紙を読んでいると思います。』

『またいつかあなたに偶然会えると良いなと思います。』


これを見ると、

何度も起こしに来ても来ず、しまいには部屋から消えていた私が

何かに巻き込まれて死んだんじゃないかと不安になって書いたようにも私には見えた。


「これは、王都に会いに来いってことだよね?」


うーんと少し考えた後、私はふと、卒業証書の筒が目につき、開けてみた。

するとポンっと破裂音がなって、煙が出てきた。


「うわっ!」


同時に、紙吹雪が散っているのがわかった。


煙が止む。


「...」


筒から紙が出ていた。

『ステラちゃん、卒業おめでとう、ボルカニアより。』


白い紙に、大きな黒い文字でそう書かれていた。


私はそれを拾い上げる。

すると大きな黒い文字1つ1つの下にも、何小さな文字で何か書かれていた。


『筒を開ける前に手紙を読みましたね?

当たってたら嬉しい。

ステラ。あなた自身がずっと言ってた通り好きなように自由に旅しろ。

私たちはこれからはずっと一緒じゃない。

でも、私も王都に行った後はいろんな場所に訪れることにする。

偶然出会えたら、ロマンチックで素敵だと思う。』


私はそれを見て、少し黙っていた。


「長いよ、ルカ」


そう呟いた後、気付いたら私は目を瞑ってしまっていた。

だけど数秒して、目を開けて、思った。


「ルカ、あなたは思ったよりいたずら好きな人だって、忘れてた。」


床に散らばった紙吹雪を見て、そう言う。


「私を心配して不安になるほど、あなたは柔じゃないよね。」


「ぶっ」

思わず吹き出した。

私は笑顔になった。


それから私は晴れやかな気分で、床中に散漫した紙吹雪を片付けて、

手紙と筒についた紙を荷物に加え、そのままベッドで眠った。

この時点ではボルカニアは怪人ウサギ男のことを知りません

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