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パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第1章 冒険家たちの邂逅

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1-12 粘液猫の召喚

「お断りします」—そう言おうとして私は踏みとどまった。


私はまだ処刑台にかけられて不自由な姿なわけだし、ここで断ったら危険なのではないか?


「俺の誘いを断るなんて!許さねええええええ!!刃物ぐさあああああああああああ!!!」

となる可能性も...


「ねえ、その上の斜めの刃が落ちてこないように持っててくれない?この状態じゃろくに話もできないから。」


「...ああ!お安い御用だ」


私は当初の予定通り木の板の真ん中を直線を描くように燃やして切り離した。


「この板の下半分を蹴り飛ばしてもらえる?」


「了解!」と言って、怪人ウサギ男は木の板を外した。


私は無事処刑台から脱出した。


「目、大丈夫か?」

怪人ウサギ男は私にハンカチを渡した。


「ああ、ありがとう」


血を拭いながら、改めて処刑台を見る。

氷を作りきれなかった部分を食い止めてくれていた刃物はよく見ると、真ん中で屈折した奇怪な形をしている。


「これを投げたの、あなた...だよね?」


「ああ」


「ふーん、すごいね...」

私はまじまじと見る。今の時代にこんな武器を投げてる野蛮な奴がいるのかという驚きと、その武器の刃の不思議と屈折した形の美しさに感動して夢中になっていた。


「すごいだろうすごいだろう、俺もこれすごいと思う」


「私のステラに近づくなあアああああアあああ!!!!!!!!!」

突如叫び声がした。


「えっ...」

振り向く前に私は怪人ウサギ男に抱えられ、空中を飛んでいた。


そのまま私たちは空中で一回転し、ムリダナだった粘液の塊の、後ろに着地した。


「...はっ!」

私は少し唖然としていたが、すぐに彼の腕から降りた。


ムリダナは粘液を飛ばしていて、私たちがさっきいた場所はシューっと音を立てて溶け落ちていた。


「ありがとう...一回転する意味あった?」


「...ある。」


「どんな意味?」


「一回転した方が...ほら、空気が!空気が感じられて気分がいいだろ?」


「ふっ、そうだね」


格好つけたかっただけだよね、と思った。


「ふぅン゛!!!!!!」

ムリダナがこちらを向いた。


ムリダナは辛うじて首だったとわかる部分に、キューブを下げていた。彼女はそれを手のような部分で掴み、詠唱を始めた。

「我が糧とナりし猫たちよ、今ゴそ我の前にあラワ゛れよ!ギャットキャストヲォオ゛!!!!!!」


雑音が入ったような、辛うじて言葉として認識できる...

そんな詠唱が響き、

床から赤黒い粘液が這い出てきた。


さっきのと似ているが、こちらの方が少し赤みが強い。

頭には丸い2つの触覚、下の方には尻尾のような1本の長い触手が生えている。


「エテ...」


粘液生物の一つが、私の足に触れていた。


「わっ!」

驚いた私はすぐさま燃やしてしまった。


するとその粘液は黒い炭のように固まった。


「イアウォ...アア...」


他の粘液生物たちも奇妙な音を発していた。


「エテ...エテクサ...」


「ケ...アケラ...エテ...クサ...」

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