表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パローナツ、冒険なんてもう遅い異世界。~冒険家を夢見る記憶喪失の魔女と獣は、冒険を諦めた現代異世界を夢と冒険で再点火する。~  作者: 紅茶ごくごく星人
第1章 冒険家たちの邂逅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/124

1-7 夕暮れの教室で思いだす

私たちは1年の教室にやってきていた。

時間は夕暮れ。オレンジ色の日の光が窓から入ってくる。

「懐かしい...。2年ぶり、でしょうか。」

「たまに用事で来たりしたかもしれないけど、ちゃんと見るのはそれくらいかも。」


空っぽの教室を見たことで、私はあることを思い出した。

「覚えてる?最初の頃、この教室で...」

「火を消しあったこと?」

「そうそう!」

「火を消し合う...?」

「私たち、最初仲悪かったんですよー。お互い負けず嫌いだったから-」


私が着火魔法で火をつけて、それをルカが氷泥魔法で消して、ルカの炎泥魔法を私が風魔法で吹き飛ばして...

そんなことをやっていた。


「ちょうどこんな夕暮れで、教室も私たち2人だけだったよね。」

「そうですねー。」


「それって...なんだかロマンチックですね!」 

メルネが眼鏡越しの目を輝かせる。


「ロマンチック...?」

「私もそう思いますー。...メルネちゃん、わかってますね!」ルカがそう言う。

「そうかな...そうかも...?」


ふと後ろを見ると、ポルテナは一言も発さず、なんともいえない「無」という感じの表情をして、ソフトクリームを舐めていた。

これはルカが、後で食べるために隠し持っていたという()()()()()()()()()()のうち一つを彼女に渡したのだった。


「あとはステラちゃんは居眠りばっかりしてて、よく私が起こしてたよねぇー」

「そうだったんですか!?」

「...そうだっけ?」

「そうですよー。」

「うーん...」


思い出してみる。

この教室で、最初の授業。


「...魔法は拡魔の箱(キューブ)を通して詠唱することで初めて使うことができます。

そして一人の人間が生涯扱うことのできるキューブは1種類だけ。


つまり、我々魔法使いは何年鍛錬を積み知識を蓄えようとも、使うことのできる魔法は1人1種類だけなのです。

ですから、これからあなた達は自身の持つ魔法を使いこなし、応用することが-


ステラさん、聞いていますか?」


水音が聞こえる。

真っ暗の中、冷たい床。

幼い私は歩いている。

焚き火の音。

焦げるような匂いがする。

そして、炎が見えた。


「シスター・ステラシュキ、何をしているのですか?」

「ああ、ステラ。お肉を焼いていたんですよ。」

「お肉...ですか?...でも、」

「内緒ですよ。たまにはこれくらいしたって、いいじゃないですか。

...ステラも食べますか?おいしいですよ?」

焚き火の周りには布切れが散らばっていた。


「...ん...テラ...ん!...ステラちゃん!!!」


「はっ!?」


「大丈夫!?」

ルカが私の肩を強く掴んで、こちらを鬼気迫るような眼差しで見ていた。


「ああ、うん...!大丈夫!」


「ステラ先輩、何回かボルカニア先輩が話しかけても上の空で...」


「いや、ちょっと思い出しすぎちゃっただけだから!大丈夫。」


後ろを見ると、今度は教室の床がソフトクリームを食べていた。


「あっ、そうだ!2人とも、何か欲しいものとかある?もう夕方だし、そんなに大きなものは用意できないかもしれないけど!...」


ちょっとその場が静かになる。


「なら...先輩のリボンが欲しいです」

「どうぞどうぞ、あげるあげる!」

私は髪を結んでいた赤いリボンを解いてメルネの髪を結ぶ。


「それじゃあポルテナは-」

「それと...」

「えっ...?」


メルネは窓際の机に近づき、ポンと手をおく。


「この席に、座ってください。」


「え...うん!」

私はその席に座る。


「ここ...私の席なんです。」


「そうなんだ...」

「メルネちゃん...来年はまた別の教室になると思うんですが、いいんですか?」

そうルカが言う。


「いいんです!私が座っていた椅子に、先輩が座ったという事実さえあれば...!」

「?」


「ポルテナちゃんは何か欲しいものとかありますか?」

「...ソフトクリーム」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ