1-6 ソフトクリームは床が食べる
発表会の後、実行委員である私たちは後片付けをしていた。
「ふーっ!終わったあ!」
私は最後の備品を倉庫にしまったところだった。
「はい、これで完了ですね!」
グルグルメガネの少女は、用箋挟に挟んだ用紙にチェックを入れる。
「...さあ、行きましょう!」
私の後輩で、今この時間私とチーム的なものを組んでいる彼女、メルネが私にそう告げる。
「ええ!」
私たちは倉庫を出て、急ぎ歩きで噴水広場へ向かった。
私たちは今勝負をしている。
どちらのチームが先に片付けを終え、広場中央の噴水に来られるのか。
「あっ!先輩、来たみたいです!」
「おーい!ステラちゃーん!」
中央噴水の周りの椅子に座ったルカが、こちらに大きく手を振っていた。
「くう、負けたぁ...!」
私がそう言うと、ルカは「ふふん」とご機嫌に言った。
「やったあ!...じゃ、なくて...私達の勝ちですね、当然です。」
「なにを〜」
得意気なポニーテールの彼女は、ルカとチームを組んでいるメルネの同級生、ポルテナだ。
私たち4人は今までもことあるごとに勝負をしていた。
このところは私とメルネのチームが6連勝中。今朝私はルカに「勝ったら今日でラッキーセブンの7連勝だから」と、ソフトクリームを奢ってもらう約束を取り付けたばかりだった。
「それじゃあソフトクリームはお預けかあ...」
「ソフトクリーム...?」「ソフトクリーム...!」
「いや、今から買いに行こう!負けたし私がおご...」
「ふふふ...じゃーん!」
ボルカニアはなんとソフトクリームを取り出した。
「ええっ!」
鞄のような箱の蓋が開いていて、冷気が漂う。
その中に、ソフトクリームが。
ルカが両手に持っているのと合わせて、4つ。
「ご存知の通り、私が今まで毎日氷を提供していたお礼として、いただけました!」
ルカは手に持っている2つをメルネとポルテナに渡す。
「あっ、ありがとうございます」「ありがとうございます」
「くるしゅうないー」
「はい、ステラちゃんもどうぞー」
ルカは箱の中から残りの2つを取り出して、1つを私に渡した。
「ありがとう」
私はソフトクリームにがぶっとかぶり付く。
甘くて冷たい。
「ねえルカ」
「何ですか?」
「このソフトクリーム、お礼でもらったって言ってたけど、いつ調達したの?」
「噴水に来てからですよー。もし私の魔法が氷じゃなかったら、とっくに溶けちゃってました。」
「えっ、そんなに早く着いてたんですか!?でもどうやって...?」
メルネがつい聞く。その隙にポルテナが、メルネのソフトクリームにかぶり付く。
「ふふ、それはですね...片付けをする間、ステラちゃんが他の生徒に何度も握手とかサインとか...求められませんでした?」
「あっ...」
ポルテナが付け加える。
「それを見越して、私とボルカニア先輩は隠れて片付けの場所を移動していました...木箱で!」
「木箱!?」
私は想像した。重たい備品を木箱の上に乗せて這う2人を。
おかしくって、つい笑いがこぼれる。
いや、ある程度のサイズの備品は、ポルテナの魔法で移動したのか。
「今は小さい物しか移動できないけど、テレポートの鏡が人が通れるくらい大きくなったらもうこれからはずっと私の勝ちね」
「ず、ずるいぞ〜」
立ち上がったポルテナをメルネが追い、噴水の周りを走っていた。
「ステラちゃん」
「何?」
「この学院に最初に来たとき、二人で学校探検とかしましたよね」
「...うん。」
「今日が実質最後みたいなものですし...教室とか、見にいきませんか?」
「ああー、うん!見に行こ-
そう言いかけたとき、
「それ、私も見にいっていいですか!?」
メルネは立ち止まって、そう言った。
「私、先輩たちの思い出話とか聞きたいです!」
その直後、1周回って走ってきたポルテナが勢いよくメルネにぶつかって倒れた。
彼女が手に持っていたソフトクリームはこぼれ、床が食べることになった。
^ivi^[ネコニス'sTips]
ソフトクリーム...今はそんな食べ物もあるんですね。
ミルク草を使っているのは確定として、どうやって作っているのでしょうか...?
私、気になります!




