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4-3 知らない秘密 / 知ってる秘密

2023/3/28 1万PV到達しました。

読んでくださっている貴重な皆様、本当にありがとうございます!今後ともパローナツをよろしくお願い致します。

ワビサビを感じさせる摩天楼がランドマークとしてそびえ立つ、ヒシカグラ三大都市の一つ<ジナパズ>。


私はその入り口に到着した。


光り輝く特殊な石材で作られた<電聖門>は、わずかに出始めた陽の光に負けじと光っていた。

辺りを見回すが、カイルの姿は見当たらなかった。


「ここに水色の帽子を被ってて、帽子の後ろの二つの穴から片方茶色片方白い髪の毛が出てる人、来ませんでしたか?」


門番に訊いた。


「...............来てない」


思い出しているのか、変に間を置いて言われた。


「そうですか、ありがとうございます」


私は門を通る手続きで、名前を書いた。


そして少し訊いてみた。


「あの、私の顔に見覚えありませんか?

ステラ・ベイカーって名前にも」


「..................自慢ですか?ベイカー家とは。ご高名な生まれでさぞ羨ましいものです。」

さらりと言われたが、しっかり嫌味だ。


「ああ、いや、違います。知らないなら気にしなくて良いですよ」


どうやら本当に、指名手配はされていないようだった。


「左様ですか」


私は門を通り過ぎたと思ったら、引き止められた。


「待って!」


「何でしょう?」


「あなた...間違っていたら良いのですが...カイル・リギモルと会ったのですか?」


「...はい、お知り合いですか?」


「はい、知り合いです。あなたは、彼のなんなんです?」


やけに鬼気迫る言い方で訊かれた。

なので私はついいたずらごころが働いて、言った。


「彼の生涯の伴侶です」

清楚な修道女の少女のように(そんな存在に会ったことはないが)私は言った。


今は嘘でも後から事実になるのだから、別に良いだろう。


すると門番は言った。

「............それはよかった。」


「...?...では。」

やたら安堵して、やたら含みのある言い方をされたので、私は困惑した。


けれどあれこれ聞くと怪しまれそうなので、私はひとまずそのまま町に入った。


町を歩く。

早朝のためか、お店の営業準備をしている人がちらほらいるくらいで思ったよりは静かだ。


そんな静寂を、悲鳴が破った。


「ひゃー、たすけてええ!」

幼い女の子のような悲鳴が、路地裏から聞こえてくる。


私はそっちに走った。


「げへへへへ、小さなお嬢ちゃん、何歳かな?

5歳かな?6歳かな?それとも...7歳かな?


そんなところに隠れてないでさあ、おじさんたちの方に出てこいよ。何もしないからさあ。」


ごろつきは棍棒を舐めながら、声のする木箱の方へ近づいていた。


「ひゃー、だれかたすけてえええ!」


「治安悪すぎない?」


「あ?なんだてめえ...」


「そんな小さい子じゃなくてさあ、ナイスバディの私と遊ばない?」

私はセクシーなポーズをとった。


「うるせえ!俺は妹かママにしか興味ねえんだよ!

貧乳ババアが!死ね!」


私はすぐさまごろつきの棍棒を燃やした。


「あちちちちちちち!!!」


ごろつきは棍棒を落とす。

その隙に私は駆けながら風魔法を足裏に纏い、跳躍する。


空中で一回転してごろつきの真上を通り、木箱の前に着地するつもりだ。


するとごろつきはナイフを抜いた。

「バカめ!腹から串刺してやる!」


走り、私の真下でナイフを立てて待ち構える。


しかしそんなごろつきの背中に大きな石が...いや、強固に固められた泥の塊がぶつかった。


ごろつきはよろめき、盛大に転んだ。


私は木箱の前にやってくる。


「ありがとう、すてらおねえちゃん!」


「...やっぱり。」


「くそお、てめえらグルだったのか!」


ごろつきはナイフをこちらに向けて突進してくる。


「かよわきむしよ、ねむれよねむれ、氷泥生繭(ヒュマルマコクーナ)

幼い少女の声のまま、彼女は言った。


私は背中を向けたままでいた。

しかしやっぱり見たくなって、後ろを見た。


こちらに近づくにつれて体を徐々に氷で覆われていき、遅くなっていくごろつきが見えた。


「こ、この氷...それにさっきの炎...ま、さか!?


路地裏のごろつき狩り...炎と氷の魔女姉妹...!!

本当に、いたのかよぉ...!!!」


そう言って、ごろつきは氷に包まれた。


「なんだそれ。」


「わたしと、私だよ〜」

1人の人物が、声を変えて2人を演じた。


「ルカ、久しぶり」


「久しぶり、ステラちゃん。」

彼女はウェステリア魔法女学院からの私の親友、ボルカニア・ベイカーだった。


くどいようだが養子である私と、魔法の名家ベイカー本家の生まれの彼女は、血は繋がっていない。

だけど学校の寮では同じ部屋で眠り、姉妹のように仲良く過ごしてきた。


「熱〜い泥と、つめたいどろで、2人だと思い込ませられてるみたいだね〜」


「相変わらず、声真似上手いね。

でも、なんでごろつきを?」


「ステラちゃんもさっき言ってた通り、治安悪いからね。

ふぉっふぉっふぉ。慈善活動ですかな。

人助け人助け...............」


ルカがごろつきを少し見てから、私の方に振り返った。

ルカが私に何か言いかけたタイミングで、衛兵らしき人がやってきた。


「あ!毎度、ご協力感謝します」


「いえいえ〜ご苦労様です」


衛兵がごろつきを連行していった。


「それで、どうしたの?」


「え?」


「さっき、何か言おうとしてたけど...」


「ああ、ステラちゃん。

その、今って、一人なのですか?」


「ああ、うん。

本当は人といたんだけど、いろいろあって別れちゃって。」


「.............そっか、そうなんだ。」


するとルカは私に言った。


「じゃあ、一緒に町を回りませんか?案内します。

ステラちゃんが良ければ、ですが...」


「あー、うん。ならぜひお願い!」


するとルカは笑顔で私の手を引き、弾むように歩いていった。

そう、ルカはいつもこんな感じだった。


私も懐かしい気持ちで、弾むように歩いていった。

お知らせ

本日投稿が難しいので、来週末に2話掲載させていただく予定です。

すみません。よろしくお願いいたします。


4/16 追記

現在1話も執筆ストックが書けていない状態です。

このまま続けるのは厳しそうなので、4月いっぱい更新をお休みさせていただきます。


スーパー★オノマトペ無双の方はストックがあり毎週更新されますので、そちらで生存確認はできる状態になっています。


スーパー★オノマトペ無双は、パローナツとは作品の毛色が少し違うので特におすすめはしないでおきますが、そちらの投稿で失踪していないことがわかるよと一応お伝えさせていただきます。

よろしくお願いいたします。


2024/06/06 追記

お久しぶりです。

全作品ストック無く長期更新停止していましたが、現在各作品更新に向けて準備しております。

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