3-31 ライブ前日の就寝、ぐっすり睡眠◎
お昼休憩の後、私とベルは"疲れてぐっすり眠る"ために、牧場の仕事に取り掛かった。
いくつかの仕事は既にカイルとアズアズによって終わっていたがぐっすり眠れるように全力で取り組んだ。
作業を終えた後、陽が落ちないうちに池で水浴びして体を洗い流した。
池に向かって歩いている最中にベルは、今着ている牧場の制服がカイルが着ていたものだということで、私に「羨ましい?カイルさんが着てた服、着てみたいでしょ」とからかってきた。
なので「ううん。別にいいよ。私はアズアズと不倫するから。
私たちの関係、他人に言えない秘密がたくさんあって、もうすごいことになっちゃってるからさ」と言った。
すると案の定ベルは赤くなって、たじたじと萎縮した。
そして何やら語り始めた。
「その、カイルさんとお姉ちゃんがくっつくのはいいの。若い男女の甘酸っぱい青春って感じがして。
でもね、女の子同士だと、何ていうかその...より爛れた関係に見えちゃうっていうか、だからとにかく...不倫は...私にはまだ早いから!!」
「遅ければいいんだ」
「うん...いやちがっ、よくない!!!よくないから!!!!!!」
「そもそも不倫ではないけど」
その後ご飯を食べてから、カイルのお見舞いをした。
カイルは今もまだ安らかな表情で眠っていて、目を覚ます様子がなかった。でも、呼吸はしていたから、やっぱり死んでなかったと、少し安心した。
蜘蛛にやられたという頭の包帯はまだ外れていなくて、これも体調に響いたんだろうなと思った。
それなのに、そんなことを感じさせないくらい彼は安らかで綺麗な顔をしていて...それがなんだか女の子のようにも見えて...倒れたのが計画的だったことも含めて...私は少しだけ腹が立った。
私はカイルの頬に手を当てた。
そしてそのまま、指でぎゅっと摘んだ。
するとカイルは少し苦しそうな顔をした...気がした。
「ふふっ、今日はこの辺で許しておいてやろう...!」
私は呟いた。
「おやすみ、カイル。」
そう言ってから立ち上がって、振り返る。
「アズアズ、ベル、おやすみ。」
「おやすみなさい」
アズアズは返した。
「おやすみお姉ちゃん、アズアズさん。
明日に備えて、ゆっくり眠ってくださいね。」
「もちろん!」
私は少し小さな声で、元気に返した。
「ベルこそ、明日が楽しみだからって、いつまでも起きてちゃだめよ」
アズアズは言った。
「もちろん。アズアズさんこそ」
ベルはそう微笑んだあと、眠そうにあくびをした。
それから部屋に戻った私はまず、望遠鏡みたいな筒型の小さな硝子窓を覗いた。
ぼやけているけど、間違いなく外は真っ暗だ。
カーテンを閉め、ベッドに横たわった。
その勢いのまま私は布団を被り、目を瞑った。
次に目が覚めたら、いよいよ待ちに待ったライブ本番だ。
意識を落として、ぐっすりと眠りについた。
◎←小さな硝子窓の形です。