対岸
日本列島のお隣の国といったらどこだろう。世界地図を眺めれば、いろんな国々が対岸にある。
アメリカ合衆国の大統領とウクライナの大統領の会談の様子がテレビで流れた。ひどい光景だと感じた。男性だって感情的に声を荒らげる。どちらがより礼儀に反しているのか、双方の意見があるのは知っている。ゼレンスキー大統領は通訳なしで母国語ではない英語でトランプ大統領と会話して、途中からヴァンス副大統領まで入ってきた。いくらなんでもゼレンスキー大統領は会話で不利だと思った。それぞれ言いたいことは全部言わないと、との印象で終わってしまった。ウクライナがロシア連邦に攻め込まれ、それで戦っていて、ゼレンスキー大統領は戦争が終わるまで兵士と同じ服を着ると決めたからあの恰好をしている。繰り返すがロシアが攻められたのではなく、ウクライナが侵攻された。これまでの歴史の経緯からどこの国だってロシア(旧ソ連も含めて)と国境を接するのは怖い。既に接している国は明日は我が身になったら困るとウクライナ寄りの発言や援助となる。旧ソ連時代からロシアは協定を破ってきた。(かつての日本のしてきたことの良し悪しはともあれ)日ソ不可侵条約って過去にあったし。
平和ボケの日本人の中にだってトランプ大統領と副大統領の発言で不安を感じた人たちがいるはずだ。
――対岸の国々のどこかが武力で日本に上陸してきたとしてもアメリカは動いてくれるのだろうか? むしろウクライナの大統領に言ったように占領された場所は諦めて相手の和平案に応じろ、アメリカに助けてもらいたかったら見返りを寄越せと言ってくるのではないか。
ロシアや中華人民共和国(中国を後ろ盾とする朝鮮民主義共和国)を脅威と感じる東アジア諸国で同様に考える人たちがいるだろう。
アメリカは世界の警察官ではない、とオバマ大統領が言ってから十年以上経った。今は損得勘定で物を言う人物が大統領だ。関税は輸出側ではなく輸入側が払うものだと理解しているのかいささか心許ない気がするが、やたらと自国の得にこだわる人物だ。一期目の時も日米の同盟に文句を言い、案の定また不公平だと言い出した。
アラスカ州はアメリカ最大の面積で、ベーリング海峡を隔ててロシアと接している。十九世紀にアメリカがロシア帝国から購入した。
仮定の話だ。もし、ロシアがベーリング海峡を越えてアラスカに攻めてきたらアメリカはどうするのだろう。アラスカはロマノフ朝が勝手に売却したもので、元々ロシアの領有地だったと言われたらあの大統領は言うのだろうか。
「アラスカを買い戻したいのか? こちらの言い値で買ってくれるなら応じよう」
それとも徹底抗戦で臨むのか。
草稿を書いているうちに日が改まったら、アメリカ大統領はロシアへの制裁を持ち出した。
来週あたりどうなっているか。凡愚の身でまったく解らない。




