博物館での思い出
我が息子たちがチビーズであった頃、東京の国立科学博物館でティラノザウルスのスーの骨格標本が来る恐竜博の企画展示を観に行った。
前の日から東京に行って泊まり、朝一番で博物館に入れば午前中に観覧は終わるのでは? と良人が計画を立てようとしたが、わたしは朝一で入ろうとも午前中で全部観終われるか解らないから余裕が持たせた方がいい、と言った。
良人はわたしが慎重すぎると感じたようだったが、実際に科博に行ったら二時間程度で観覧は終わらなかった。恐竜に興味津々の我が子たち、混雑、そして国立博物館は広いのである。子どもも大人も夢中になるような展示が一杯だ。家族が満足するまで見学したらば昼飯時に到達し、博物館内のレストランで恐竜ランチなどを食した。
やっぱりティラノザウルスやトリケラトプスの骨格標本は大きいし、常設展示も面白かった。
上野のミュージアム群はそれからも度々訪れて、楽しみ、学んで来た。
昨日、テレビのニュースで国立科学博物館がクラウドファウンディングを行い、即日目標額を達成したと報道された。企画展示で他所から貴重な標本を借りなければならないのに予算が足りないからお願いします、ではない。施設や標本の維持・管理の為の呼びかけだと言う。
なんで? 国立の博物館じゃないの? それくらい年度途中でも予算申請できないの?
文部科学省や財務省に電話してもきっと電話代がかかるだけで満足できる回答はないだろうし、応対する係の人も困るんじゃないかと思うからしない。
五年くらい前、ブラジルのリオデジャネイロにある国立博物館が火事で全焼し、所蔵品の九割が消失したと伝えられた。この火事の原因は設備の老朽化で、改修工事が必要と以前から言われていたのに予算を割いてもらえなかったと報じられた。
日本は大丈夫なのかなあ? 何が役に立つかとか、将来どんな価値が出るかとか、解らなくても標本は保存しなくてはならないし、保管場所はどの博物館もの抱える悩ましい問題だ。(生物や植物の標本に限らず、古文書や民具だって博物館の倉庫で保管するべき物だからね)
お役所の問題にしても、なんでもかんでも外注化すればいいってもんじゃないとか、始めからどーんと予算をくれれば思い切って動いて新しい体制に切り替えられるとか、あるのよねえ。人の善意と努力に頼ってだけいればいいなんて大人は誰も思ってないでしょ。




