『インディアナ・ジョーンズ』シリーズ、第三作目の題名に”Last Crusade”って入っているのに五作目まであるんだわ
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のネタバレ感想です。
未見の方はご覧にならないでください。
『インディアナ・ジョーンズ』シリーズの五作品のうち、一作目、三作目、五作目をリアルタイムに映画館で観た。一作目の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』は父親に連れられての鑑賞で、『スター・ウォーズ』初見の際には幼くて解らなかったアメリカ映画のスゴさを味わった。(二作目と四作目はかなり後にテレビ放映時に鑑賞した)
もしかしたらアメリカ映画に対して間違った認識を植え付けられたのかも知れない。父が買った『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のパンフレットに『スター・ウォーズ』と『未知との遭遇』が合体した面白さとか書いてあったような気がする。ここら辺は記憶が曖昧だけど、とにかく『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスが製作、『未知との遭遇』のスティーヴン・スピルバーグが監督で完成された映画で、五分に一回は見せ場となるように作られたと宣伝されていた。そう言われてみればテンポよく展開し、アクション満載で、超自然のワケワカラナイ力で話を終わらせた。
学生時代に三作目を観て、当時マメにつけていたノートには、ショーン・コネリーとハリソン・フォードは聖杯が象徴するように映画史に不滅の存在になったとか、インディに相応しいヒロインは一作目に出ていたマリオンだよ、と生意気に書きつけられている。四作目の公開時は、私生活が忙しいこともあったし、三作目で題名に「最後の聖戦” Last Crusade”」ってあるじゃんと映画館に行かなかった。テレビで観て、おお、マリオンが再登場した、終盤に結婚までした、良かった良かったと思った。
で、五作目、今度こそ最後の作品だろうと観に行った。今回はスピルバーグが監督していないと噂には聞いていた。観て思った。
どうしてスピルバーグが監督してくれなかったんだ!
いや、今回監督をしたジェームズ・マンゴールドが悪いんじゃないと思う。マンゴールド監督の『フォードVSフェーラリ』は面白かった。きっと作風の違いで比較してしまうだけなんだと思う。
ここら辺はもっと映画に詳しい方々のご意見・ご感想がおありかと思う。わたし個人の感想として、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は入場料以上の面白さはあるし、シリーズ最後を飾るに相応しい作品だったと思う。思うけど、シリーズ映画の宿命としての不満がある。
現代の映像技術は凄くて、二次大戦中の中年くらいのインディの姿が出てきてアクションしているのに純粋に感心した。たださあ、アクションシーンそこまで撮る必要ある? 列車の場面、カーアクションの場面、もっと短くまとめられるんじゃないの? と冗長に感じた。スピルバーグだったらもっと違ったまとめ方してたんじゃないかしら?
巻き込まれて犠牲になった人の描写で後味の悪さが残る。アントニオ・バンデラスの使い方が勿体ない。スピルバーグだったら残酷シーンもカラリとした印象で描けたのに。コミックシーンも合間合間に入れられただろう。
四作目でインディの息子役となったシャイア・ラブーフ、色々とお騒がせを起こして映画に出られなくなっちゃったらしいのも惜しかった。『魔宮の伝説』に出ていたキー・ホイ・クァンが再注目されるタイミングがもっと早ければ出演の打診があったかなあ? 今回の映画に出てきた悪ガキがホント悪い子で活躍に感心できないのがまた難である。
運命のダイヤルに導かれて時空の裂け目を通ったら、予想に反して古代ローマ軍のシラクサ包囲戦の真っ最中に飛び込んで、アルキメデスに遭遇する。アルキメデスはとりあえず「エウレーカ」と言わなければならないらしい。古代ローマがインディアナ・ジョーンズ博士の生涯の研究課題であったかどうだかは不明だが、大学の講義シーンでシラクサ包囲戦の話はしていたし、遺跡探検中に「アルキメデスの原理」の実践はしていたし、運命のダイヤルことアンティキティラにアルキメデスが関わっていたと考察されていたしで、一応唐突ではない。
傷付き倒れたインディが現代に戻らない、この時代に残ると主張するのも歴史を学ぶ者として解らないではないし、アルキメデスの墓に腕時計があったから、もしかしたらと感じた観客はわたし一人ではないはずだ。
う~ん。でも現代に戻って離婚協議中のマリオンとも再会し、マリオンと第一作目でのラブシーンを辿る動作をし、抱き合う姿を観ると、人間、やっぱり生まれてきた時代で生きて死ぬのが正しいんだろうとしんみりした。
第一作の公開から四十年経っちゃったんだなあ。インディアナ・ジョーンズ博士、もう頑張らなくていいよ。
インディアナ・ジョーンズシリーズ恒例、気持ち悪い生き物、今回は節足動物が出てきて、海中では蛇の代わりにウナギだかウツボが出てきた。




