私たちはみんな、神様に何をしたんでしょう?
映画『最高の花婿 ファイナル』の内容に触れます。
五月の連休中に『最高の花婿 ファイナル』を観に行きました。この映画の原題を直訳すると『私たちはみんな、神様に何をしたんでしょう?』となるそうです。そもそも第一作の『最高の花婿』も本当は『私たちは神様に何をしたんでしょう?』なのだそうで。
フランスはロワール地方に暮らすヴェルヌイユ夫妻のクロードとマリーは結婚四十周年を迎えようとしています。前作で夫妻の画策で四人の娘とその婿たちと子どもたちは全員地元で生活中。ところがそれぞれの年中行事や宗教が違うから何かと祭事などで誘われるし、街中でしょっちゅう顔を合わせることになるしで、存外面倒くさいのです。四女の婿の両親のアンドレとマドレーヌのコフィ夫妻はコートジボワールの雨期がリウマチに悪いととヴェルヌイユ家に長期滞在するつもりでやって来るし、クロードの著作は返品されてくるしで、神様にお祈りしたくなるのも解るというもの。
画廊で三女セゴレーヌの絵を出しますと婿で中国系のシャオから招待されていますし、マリーが受付を手伝うことになっているので、集まるのですが、セゴレーヌの画風が変わっています。なんかこう前時代的なお肉屋さん、牛や豚を自分の所でしめて解体しているような絵になっています。セゴレーヌとシャオ以外誰もどこがいいのか理解できていません。
長女イサベルとアルジェリア系のラシッドと二女オディールとユダヤ系のダヴィッドはお隣同士です。しかしダヴィッドの林檎の木の枝が境界を越えてラシッドの庭に飛び出してきて、落下した林檎の実がハーブの畑を荒らしたと抗議します。ダヴィッドが対処しようとしないので、ラシッドはホームセンターへ向かいます。ホームセンターの店員はアラブ系の男性がチェーンソーを担いでいくのに唖然。ラシッドははみ出した林檎の木の枝を切り落とし、怒ったダヴィッドはお返しに高い塀を築いてラシッドの庭に日が当たらなくしてしまいます。ラシッドは庭に地下通路を掘り始める、十代男子かよ、とツッコみたくなります。
四女のロールは何故かヴィーガンになっています。肉が食べたいと皆は不満を口に出しますが、ロールは意に介さず。夫のシャルルは今度のお芝居でイエス・キリスト役を演じることになったと伝えます。カトリック教徒の父のアンドレは感激しきりですが、周りは微妙な反応。
ヴェルヌイユ家の娘四人は両親の結婚四十周年記念のパーティをしようと計画し、婿たちの両親も招待しようと決めて、婿殿たちに半ば命令します。
婿たちの両親がフランスにやって来ますが、ヴェルヌイユ夫妻同様、長年の積み重ねの中のズレで何やら危なっかしいものを抱えています。
画廊にドイツ人の美術コレクターのヘルムート・シェイファーが訪れます。マリーとセゴレーヌはチャンスだと喜び、クロードはヘルムートが自分たちと積極的に近付こうとするのを感じて、「セゴレーヌとシャオの仲が今こじれているからいい出会いかも」と、ヨーロッパ人の婿を持てないかと勝手に想像逞しくします。
ヴェルヌイユ夫妻はお祝いしてもらう前にやってきた婿たちの両親をもてなす為に古城の観光に連れて行ったり、シャルルのお芝居に連れて行ったりと、大移動で大騒ぎ。親世代の一行は遂に帰途でシャオの母が行方不明。手分けして探すと、一人でお店でお酒を飲んでいました。見付けた女性陣は一緒に飲み始めて盛り上がります。
「バチェラーパーティよ」
と電話でマリーに言われて、男性陣は腹を立ててこちらこそ独身パーティをするとクラブハウスに向かいます。しかし若向けの店だからと断られ、男性陣は差別だと声高に暴れます。
女性陣は河岸を変えようと別の店、先程男性陣が暴れたクラブハウスに向かいます。入口でお客をチェックしている店員が、「老人ホームから脱走したのか?」と言いつつ、女性陣を入店させます。マリーたちは自分たちに馴染みのある曲を掛けろと要求しますが、古い曲は使わないとDJに拒否され、既に酔いが回っている女性陣、騒ぎ出します。
マリーたちは警察に引っ張って行かれ、留置所には先に放り込まれているクロードたちが。
「わたしたちどうしてこうなるのかしら?」
しみじみとした気分になり、また翌日のパーティ本番、娘たちの発案で二人は気球に乗って故郷の風景と自宅を見下ろします。愛し合う気持ちを再確認し、気球から降りると再びの結婚の誓いをしようとします。
そこへヘルムートがマリーを愛していると飛び込んできますが、マリーはわたしが愛しているのはクロードと宣言し、ヘルムートは婿たちに担がれて退場します。
縁あって結婚し、完璧ではないけれど親にもなって、行き違いやトラブルがあったし、これからも見舞われるだろうけど、末永く一緒に行こうじゃないか、そんな平和なお話です。




