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ある映画から

 ネットのニュースで俳優のヘルムート・バーガーの死去を知りました。自分の小説の登場人物(かなり脇役だけど)に名前を拝借した人でした。

 どういう俳優だったかというと、イタリアの映画監督ルキーノ・ヴィスコンティの作品に何本か出演していました。ヘルムート・バーガーの代表作と呼ばれるのはほぼヴィスコンティ監督作。近年の映像を見ていませんが、若い頃の姿はゲルマン系の美男、上品さよりも男っぽさを感じさせます。

 ヘルムート・バーガーは日本でだとヴィスコンティ作品でしか知られていないようですし、わたし自身もヴィスコンティ以外の出演作品を観てみましたが、なんか、まあ、話題にならないのも解るような内容でした。

 ルキーノ・ヴィスコンティは中世このかたのミラノ公爵家の末裔で、自身も伯爵の爵位を持つお金持ち、それなのにイタリア共産党に入って「赤い貴族」と呼ばれました。そしてヴィスコンティは同性が愛情の対象でした。1976年にヴィスコンティは亡くなるのですが、それ以降活躍の場が減ったヘルムート・バーガーは自らを「ヴィスコンティ未亡人」と呼んだそうです。

 ヴィスコンティの映画は美男美女が大勢出てきます。『山猫』のアラン・ドロンやクラウディア・カルディナーレ、『地獄に堕ちた勇者ども』のヘルムート・バーガーやシャーロット・ランプリング、中でも一番有名なのは『ベニスに死す』のビョルン・アンドレセンでしょう。ビョルン・アンドレセンはほぼそれ一作のみの存在です。

 美少年とか美青年と持ち上げられると、年齢を重ねた姿を見せづらくなるのはあるでしょう。三年くらい前の映画の『ミッドサマー』でビョルン・アンドレセンがちょい役で出てきて、五十年後のタジオの姿に元気にしててくれたのかと感嘆しました。

 実のところは元気だったわけじゃなかったようです。ドキュメンタリーの『世界で一番美しい少年』は観ていませんが、話題になりました。YouTubeで予告や解説があったので観てみました。育ててくれた祖母が俳優で稼げるならと芸能界に放りこみ、立場の強い映画監督にゲイの集まりに連れ回され、映画の撮影が終わっちゃえばもう用はないとばかりに十代で酷い体験をして、精神的にその後の生活に影響があったというのです。

 名作の陰でそんな話が出てくるとは……。また、あの俳優は監督さんの愛人だったんだってと囁かれるのは俳優にとって果たして益があるのでしょうか? 遠い国から窺い知るのと、その場で目の当たりにする関係者とでは心情がまるきり違うでしょう。

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