籠に詰められる
籠に入った幼児のお人形さんをご覧になったことはありますか? ゆりかごみたいに乳幼児が完全に横になれない、丸くて深めの形状の籠に子どもが座らせられています。
昔、農作業や家事で赤ん坊をつきっきりで面倒見られない時に親が籠に押し込めておいたんだよ、可愛いなあなんて言っていいもんでもないよ、と祖父母や親から教えられた覚えがあります。イズコ、イイズコという名称だったかと、記憶を頼りに検索しても出てこないので、条件を変えて検索したら、「エジコ(嬰児籠)」で出てきました。籠から勝手に出ないように、お漏らししても周囲がダラダラにならないように、布切れをぎゅうぎゅうと一緒に詰めておくから、おむつカブレになるだの、足の発育に悪い影響を与えるだの言われており、現代の日本では実行する人はおらず、お人形さんの形で残っているだけでしょう。子どもの頃に籠に入れられた経験のあると話す人は昭和の高度経済成長期あたりまでのご出生なのではと推察いたします。籠にぎゅうぎゅう詰められるほかは紐で柱につなぐ、など聞きます。どちらも危険です。三上博史主演の野口英世の伝記映画で、エジコに詰められた幼き英世が母を求めて泣いて身動きしているうちに囲炉裏端に落ちる場面がありました。(野口英世は幼い時に囲炉裏に落ちた事故で左手に火傷を負い、以後左手に障害が残った)柱につないでおくのは、紐の長さの分乳幼児が動き回れますが、万が一紐が首に絡まったら命に関わります。
親、保育を担当する者がつきっきりで見守るにも限界があります。始終だっこやおんぶをしていられませんからねえ。(子どもの後追いがひどくてトイレに行くのも大変な時期がありました)
わたしが幼児の頃だからわたしの親の世代ですね、テレビに子守りをさせちゃいけないとか言われていました。籠に詰められたり、紐でつながれたりするよりは文明化されたのでしょう。だんだん文明の利器が変化して、子どものお気に入りの番組をビデオで流すだの、動画だの、タブレットやスマートフォンを使うようになっただの出てきました。
我が子に不慮の事故に遭ってほしい親などいません。親は子育てにも家事にも外で稼ぐのにも精一杯で生きています。せめて気力を削がないよう。




