ばら色のスープ
同居の姑が近隣の農家の休耕地を借りて畑作りをしているのは既に書いた。畑作りのお仲間と姑が収穫した作物を遣り取りすることも多い。
姑がお仲間から赤かぶをもらってきた。姑はこれで何を作ったらよいかと言った。わたしも姑もかぶの料理といえば甘酢の漬物しか思いつかなかった。しかし、話を聞いていた良人はかぶの漬物は食べたくないと言った。
そうするともうわたしと姑はかぶをどう料理したらいいか解らず、困った。姑がもらってきたのをわたしが勝手に始末するわけにもいかないので、二、三日そのままだった。姑から「惠美子さん、好きに使っていいよ」と言われていたのだが、勿体無い真似をするわけにもいかなかった。漬物が駄目だとすると、赤かぶだとボルシチみたいな煮込みだろうか、シチューが嫌いな家族もいるので、どう工夫したらよいのかと、検索しながら考えた。
かぶと大根のポタージュとやらが検索で出てきたので、こんな感じにして、肉も入れれば男性陣も食べるだろうかと、赤かぶと大根を軟らかく茹でて、潰して、スープの素やら牛乳、豚の薄切り肉など入れて、野菜スープをでっち上げた。
野菜スープは赤かぶの色素のお陰で、紫がかったピンク、まさにばら色をしていた。
このスープの色を見た上の子はかなり驚いた言葉を発し、不気味がられた。色はともかく、食べてみれば普通に肉入りのポタージュスープの味である。美味しかった。無礼にも肉だけ食べて残した奴がいて、非常に悲しかった。
ロシア料理について検索すると、レシピ本の表紙など、やはりばら色のスープの写真など写っていて、わたしはゲテモノを作ったのではないのだと信じている。