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【2024年1月 6巻発売!】変な竜と元勇者パーティー雑用係、新大陸でのんびりスローライフ  作者: えぞぎんぎつね


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53 子魔狼の食事

 毒赤苺(ポイズンレッドベリー)の解毒薬を病人に飲ませたあとも俺は病舎に残っていた。

 解毒薬がちゃんと効いているか確かめるためだ。


 しばらく経って、治療の指揮を執っていた司祭兼治癒術師が言う。


「だいぶ症状も治まりましたね。特に発熱はかなりましになっています」


 解毒薬を飲んだ病人、つまりヴィクトルたち七名の熱は無事下がったのだ。

 だが、まだ嘔吐と下痢は続いている。

 食中毒の場合、嘔吐と下痢は無理に止めない方がいいのだ。


「解毒はきちんとできたと判断していいかもな」


 俺がそういうと、司祭兼治癒術師がうなずいた。


「解毒さえ済めば、後は水分補給をしっかりすれば大丈夫でしょう」


 ヴィクトルや冒険者、地質学者も安らかな顔になっている。

 地質学者が言う。


「トイレが近い以外はだいぶ楽になったよ。テオさん、ありがとう」

「楽になったのなら良かった」


 他の冒険者からもお礼を言われる。

 しばらくして、病人たちはウトウトし始めた。

 昨日の真夜中から、発熱、嘔吐、下痢などで眠れなかったのだろう。


 一連の毒赤苺事件は、峠は越えたようだ。


 俺は安心して司祭兼治癒術師に任せて、病舎を出る。

 病舎の外ではヒッポリアスが待っていてくれた。

 ヒッポリアスの身体は少し濡れている。ダニを落とすため水浴びしてきたのだろう。

 俺はヒッポリアスの身体を布で拭く。


『ありがと。みんな、だいじょうぶ?』

「ああ、薬はきちんと効いたみたいだよ」

「きゅる~」


 安心したのか、ヒッポリアスは身体を俺に押し付けてきた。尻尾もゆっくりと揺れている。

 だから俺は布で拭き終わった後、ヒッポリアスを手で優しく撫でた。


「ヒッポリアス、子魔狼たちはどこにいるかな?」

『けりーとおふろにはいって、いまはごはん!』

「フィオとシロも?」

『そう!』


 恐らくノミとダニ落としのためにケリーが風呂に入れることに決めたのだろう。

 それが終われば、当然ご飯である。

 俺は太陽の位置を確認する。時刻は昼前と言ったところだ。

 そういえば、俺もお腹が空いている。


「ヒッポリアスはご飯食べに行かなかったのか?」

『ておどーるまってた』

「それは……ありがとう。お腹すいただろう?」

『すいた!』


 そして俺はかまどのある所へ向かう。

 冒険者たちによって、食事が準備されていた。


 だが、フィオたちはいない。

 どうやら、子魔狼を落ち着かせて食べさせるためにヒッポリアスの家に行ったようだ。

 俺も自分とヒッポリアスの分の食事をもらって、ヒッポリアスの家へと向かう。


 ヒッポリアスの家に入ると、フィオ、シロ、子魔狼たちにケリーがいた。

 なにか作業をしていたフィオが手を止めてパタパタと駆けて来る。


「わふ! びくとぅどうだた?」

「ヴィクトルたちは大丈夫そうだよ。」

「よかた」

「子魔狼たちは?」

「げんき!」


 子魔狼たちはまだ食事を始めていなかった。

 ケリーとフィオが食事の準備中だったのだ。

 ゆでた肉を細かく切ったあと、すり鉢ですりつぶしているようだ。


「手伝おう」

「わふ!」

「テオ助かる。まだ幼いゆえな。食べやすくした方がいいだろう」

「そうだな」

「それに、これまでの食生活も良くなかっただろうからな」


 なるべく消化に良いものをと考えて、すりつぶしているとのことだった。

 作業に戻ったフィオと、ケリーと一緒に、俺は餌づくりを手伝う。

 すり鉢を扱えないシロは子魔狼たちをなめまくっている。


「きゅーんきゅーん」


 子魔狼たちは甘えるような声を出している。

 それを見て、ヒッポリアスも子魔狼に近寄る。少し子魔狼たちは身構えた。

 子魔狼たちは、フィオに抱かれてヒッポリアスの背に乗ったりはしている。

 だが今はフィオに抱かれていない。だから不安になるのも当然だ。

 それにヒッポリアスは大きいので警戒するのも仕方がない。


 すると、シロが「わふぅわふ」と軽く鳴いた。

 シロは「大丈夫だよ」と教えているのだ。

 すぐに子魔狼たちは大人しくなった。


「きゅおー」


 ヒッポリアスはそんな子魔狼たちの匂いを嗅いで、優しくなめまくる。

 すると、子魔狼たちもヒッポリアスのことを舐めたりしていた。


 子魔狼たちは随分と人懐こい。

 子魔狼たちは魔熊モドキにいじめられていたというのに、あまり臆病になっていなさそうだ。


 子魔狼たちとヒッポリアス、シロの様子を観察しながら作業を進めていると、

「よし、このぐらいでいいだろう」

 ケリーがそう判断したので、すりつぶした餌を平皿にまとめて入れる。


「わふぅ! ごはん!」「わふ」


 フィオとシロに呼びかけられて、子魔狼たちは一生懸命トテトテ歩いて来た。

 そして、がふがふと食べ始める。


「ゆっくり食べなさい」

「くーお」「くーん」「くーう」


 子魔狼たちは、鳴きながら食べている。

 テイムスキルを発動させて鳴き声の意味を読み取ると「おいしいおいしい」と言っていた。


「お腹空いていたんだな……。いっぱい食べるといい」


 子魔狼たちは痩せていた。

 魔熊モドキは満足な食事を与えていなかったのだろう。


 俺は食事中の子魔狼たちの背中を撫でた。

 風呂に入った子魔狼たちはシロと同じく美しい銀色の毛並みをしている。

 手触りもいい。


「子魔狼たち、きれいになったな」

「きれい!」


 フィオは自慢げに尻尾を振っている。弟妹が褒められて、嬉しいのだろう。

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