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【2024年1月 6巻発売!】変な竜と元勇者パーティー雑用係、新大陸でのんびりスローライフ  作者: えぞぎんぎつね


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28 石集めその2

 ヒッポリアスの持ち上げている岩は小さくはない。

 縦横一メトル前後ぐらい、厚みは〇・五メトルぐらいある。


「お、おい大丈夫か?」

「……あぅ」「……わ、わふ」


 驚くフィオとシロを見て、ヒッポリアスは

「きゅお!」

 どや顔で鳴く。


 頭の角を岩に突き刺して、無理やり持ち上げているのだ。


「そんなことして角は折れないのか?」


 恐らくだが、岩の重さは縦横高さ一メトルの水と同じぐらいあるだろう。

 並みの竜では持ちあげられない。首が折れかねないし、角も折れる。


『だいじょうぶ!』

「そ、そうか。絶対に無理はするなよ」

『わかった!』


 そして、ヒッポリアスは角に岩を突き刺したままドシドシ歩いていく。


 俺たちの拠点は、河原から少しだけ高くなっている。

 傾斜はきつくはないが、登り道なのだ。

 だというのに、ヒッポリアスは順調に進む。


 俺はヒッポリアスが疲れた時のために、すぐそばを並んで歩く。

 フィオもシロも同様だ。


 拠点まで岩を持っていくと、拠点にいた皆が、ぎょっとする。

 そんなことには構わず、ヒッポリアスは岩をドスンと置いた。


「きゅおおお!」

 そして、雄たけびを上げる。


 やはり、ヒッポリアスにとっても重労働だったのだろう。


「すごいぞ、ヒッポリアス」

『ひっぽりあす、えらい?』

「ああ、偉いぞ」


 俺はヒッポリアスのあごの下をガシガシ撫でる。

 あごの下にとどまらず、どんどん全身を撫でていく。

 さすがのヒッポリアスも全身が汗だくだった。


「すごい」「わふぅ」


 フィオとシロも尊敬の目でヒッポリアスをみていた。

 フィオは俺と一緒にヒッポリアスを撫でる。

 そして、シロはヒッポリアスの前足をペロペロ舐めた。


「さすが竜種だな。ヒッポリアス」


 何かの作業していたケリーも作業の手を止めて、走って来た。

 そして角を調べたり岩を調べたりする。


「角にヒビ一つ入ってないな。テオ見てくれ」

「ああ。俺が考えていたより、ヒッポリアスは強いみたいだ」

「テオ、角だけでなくこの岩を見てくれ。硬い岩だぞ。よく貫けたものだ」


 ヒッポリアスの角は尖ってはいるが、鋭利ではない。

 牛の角に近いだろうか。


「どうやったら、この角で岩を貫けるのだ?」

「そうだな。魔法を使ったんだろう」

「魔法? テオ、詳しく教えてくれ」


 ケリーが目を輝かせるので、少し詳しく説明する。


「ヒッポリアスは木を集めるときも角から魔法を出していたのを覚えているか?」

「覚えているが、あれは木の根を切断した程度の魔法。岩を貫くのと訳が違う」

「木の根を切断したときは本気でなかったんだろうさ」

「そうなのか。ヒッポリアス」

「きゅおー」


 ヒッポリアスは自慢げに本気ではなかったと伝えてきた。


「わふ~」


 ヒッポリアスは、自分を撫でてくれるフィオの顔をベロベロ舐める。

 フィオも嬉しそうで何よりだ。


「で、テオよ。早速井戸を掘るのだな?」

「いや、その前に散歩だ。フィオとシロと一緒に縄張りを確認しないといけないからな」

「「わふぅ」」


 フィオもシロもご機嫌に尻尾を振っていた。

 お昼までは、まだ時間がある。

 散歩に行って、お昼ご飯を食べてから一気に井戸と風呂を作ればいいだろう。


 そんなことをケリーに説明すると、

「ならば私も行こう」

「えぇ」

「なんだ、テオ。不満か?」

「不満というほどではないが、ケリーはついてこれないだろう?」


 ケリーは学者。どうみても体力があるようには見えない。

 魔狼の散歩についてこれるとは思えない。


「フィオも行くのだろう? 流石に子供には負けないさ」

「そうか、そういうならば、ついてこい」


 そして俺はフィオとシロに言う。


「さて、散歩に出かけようか」

「「わふぅ!」」


 フィオとシロは元気に返事をした。

 その横では黙ったまま、ヒッポリアスがお座りして、尻尾をゆっくり振っている。


「ヒッポリアスも来るか?」

『いく』

「疲れてないか? 休んでいてもいいんだよ?」

『つかれてない』

「じゃあ。一緒に行くか」

「きゅっきゅ」「「わふぅ」」


 俺は拠点に残っていた冒険者に散歩に行くことを伝えて歩き出す。

 ヒッポリアスは先頭に立って、走り出す。

 泳ぎも速かったが、走るのもヒッポリアスは速いようだ。


 そんなヒッポリアスをみて、フィオとシロはこっちをチラチラ見ている。

 群れのリーダーである俺が先頭を走らなくていいのか気にしているのだろう。


「気にしなくても大丈夫だよ。フィオたちも走っていい」

「わふ!」「わおう!」


 フィオとシロも走り出す。

 フィオはちゃんと二足歩行で走っていた。


「ヒッポリアス、フィオ、シロ。拠点からはあまり離れないようにしよう」

『どうして?』


 走っていたヒッポリアスが戻って来て尋ねてきた。


「ヴィクトルたちが調査に出ているからな。あまり拠点の戦力が少なくなるのは困る」

『わかった』


 ヒッポリアスは再び走り出す。

 たまに止まって、フィオたちがついてこれるように調節している。


 そんなヒッポリアスの後を俺はゆっくりと追ったのだった。

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