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254 製作すべき物

 俺は作るべき物について考えた。


「……イジェ、ヒバシはいくつあるんだ?」

「ニジッぽん」

「つまり十組だな」

「そう」

「作るべきは暖炉二基と、ヒバシ四本だな、いや、予備を作るためにも暖炉は三基作ろうか」

「ヨビ?」

「そう、念のために。それにヒッポリアスの家、ボアボアとヤギの家は大きいからね」

「ソカ。ダンロもオオキクスル?」

「その予定だ」


 大きい暖炉にして、赤い石を三個入れられるようにすれば、とても寒い日でも安心だ。


「アト、コドモヨウのサク!」

「そうだな。柵は六セットかな」


 製作する物が決まった。

 あとは拠点に戻って、実際に作ればいい。


「じゃあ、戻ろうか」

「ウン!」

「きゅうお!」

「イジェ。やり残したこととかないか?」

「ダイジョウブ!」

「そっか、まあいつでも来られるしな」

「ウン」


 そして、俺とピイとヒッポリアス、イジェとフィオは家の外に向かう。


「ヒッポリアス、マタオネガイネ」

『きゅおー。はやいの?』

「イジェ、ヒッポリアスが速く走って欲しいのか聞いているよ」

「ウン! アレはタノシイ」

「きゅうおきゅうお」


 嬉しそうに鳴くと、ヒッポリアスは大きくなった。


 俺たちが背に乗ると、ヒッポリアスは走り出す。

「きゅううおおおおお~~~」

 行きよりも速いぐらいの勢いで、ヒッポリアスは走ってくれた。


「キャアアアア!」

「きゅおきゅおぅ」


 イジェはとても楽しそうに絶叫し、ヒッポリアスははしゃぎながら、走ってくれた。


 ヒッポリアスが速いので、あっという間に拠点に着く。

 ヒッポリアスから降りると、イジェはぎゅっと抱きついた。

「アリガト、タノシカッタ、ヒッポリアス」

「きゅうおー」

 ヒッポリアスも嬉しそうに鼻の先でイジェのことつんつんする。


 二度目で慣れたのか、イジェのひざは笑っていなかった。


「ヒッポリアス、乗せてくれてありがとう」

『きゅおーなでて』

「おお、いいよ。ありがとうなヒッポリアス」


 俺は大きなままのヒッポリアスをしばらく撫でた。


「水を飲め、ヒッポリアス」

『のむ~』


 小さくなったヒッポリアスに水を飲ませていると、ヴィクトルがやってくる。

「テオさん。お帰りなさい」

「ただいま。暖炉も赤い石もたくさん貰ってきたよ」

「おお、イジェさんありがとうございます」

「ミンナもツカッテクレタホウがウレシイカラ。コチラこそアリガト」


 イジェはちょこんと頭を下げたあと、

「テオサン、ダンロとアカイイシとヒバシ、ヒトクミカシテ」

「もちろん。一組でいいのか?」

「ウン。セツメイヨウ」


 俺が暖炉一基と赤い石二個とヒバシ一組を渡すと、

「ヒマナヒト、ショクドウにキテー」

 イジェは大きな声で叫んだ。


 すると、食堂の窓から冒険者たちが顔を出す。

「暇な奴等は、みんな食堂にいるぞ」

「ああ、食堂にいないやつは、作業中の奴だけだな」


 冒険者たちはよほど酒が楽しみらしい。

 酒など、今日明日できるものでもないというのに。


「アリガト、ダンロのツカイカタのセツメイするね」

 そういって、イジェは食堂に走っていた。


「ヴィクトル。ところでケリーとフィオたちは?」

「ヒッポリアスの家ですよ」

「お昼寝か?」

「ご明察の通りです」


 シロはともかく子魔狼たちとボエボエとベムベムは幼いのでお昼寝が必要なのだ。


「子供たちが寝ている間に各戸に暖炉を配置しておくか」

「それがいいでしょう」

「最後にヒッポリアスの家の暖炉を作れば、みんなに見せてやることもできるし」


 冒険者の宿舎などは、イジェの村から運んできた完成済みの暖炉を設置するだけ。

 子供たちが見ても面白くなかろう。


「……この、赤い石は、明日までこのままでいいか」


 拠点中央には白く輝く赤い石が熱を発している。


「そうですね。それでいいでしょう」

「じゃあ、暖炉を各戸に設置していくぞ、まずは食堂からだ!」

「きゅお!」


 俺とピイ、ヒッポリアス、ヴィクトルは、一緒に食堂へと向かう

 ピイは俺の肩から降りて、小さいヒッポリアスの背中に乗っていた。


「きゅう~」

「ぴい~」

「きゅおー」

 ピイは、思いっきり走ったヒッポリアスにマッサージしてくれているのだ。


 今のヒッポリアスは小さいので、ピイと大差ない大きさだ。

 そんなヒッポリアスの背にピイが乗ると、

「なんか、不思議な生き物みたいだな」

「ぴい~?」「きゅぅお~」


 ピイはふるふるして、ヒッポリアスは俺を見上げて首をかしげている。


 のんびり歩いて、食堂に入ると、

「ア、テオさん」

 たくさんの冒険者の前に立っていたイジェが笑顔で駆けてくる。


「説明の邪魔したかな? すまない」

「ン、マダ、ハジマッテナイカラ」

「食堂から暖炉を設置しようと思ってな。最初はイジェに見てもらった方が良いかと思って」

「ワカッタ」


 俺とイジェが話していると、冒険者たちはヒッポリアスとピイに話しかける。


「お、ヒッポリアス、ピイにマッサージしてもらっているのか?」

「きゅうおー」

「いいなぁ」

「ぴい?」


 ピイがその冒険者の腰にぴょんと飛び移る。

 そして、マッサージを始めた。


「おお、おおおぉぉぉ……ふぇぇぇ」

「なんてだらしない顔だ」

「気持ちよさそう」


 ピイにマッサージされた冒険者は口を開けて、よだれを垂らしている。

 ピイのマッサージは気持ちがいいので、気持ちはわかる。

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