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244 新しい小屋

「よしっ、行くぞ」


 俺は脳内で固まったイメージを元に小屋を一気に建てていく。

 製作スキルを用いた建築は下から行なう。


 まず、地中の上下水道の配管に繋げる形で、金属の管を通しておく。

 金属管が地上に出るのと同時に、土台を作り、床を作る。


 床の上にはトイレや上水道を配置しつつ、壁も同時に作っていく。

 ヤギたちとカヤネズミたちの出入り口をそれぞれ作る。

 壁の途中で窓を作り、ガラスを嵌めた。


 出入り口とは別の壁をお風呂場に繋げた。

 お風呂場に繋がる扉も、ヤギ用とカヤネズミ用、フクロウ用を用意しておく。 

 これで、ヤギたちも、冬場外を通らずにお風呂に入ることができるだろう。


 フクロウ用の止まり木も忘れてはいけない。

 もちろん、フクロウたちが出入りするための出入り口とベランダも作る。


 そして、最後に屋根を作り、金属の板で覆って完了だ。


「ぶうい~」


 ボアボアが感心して小屋を見上げていた。


「きゅお~~」

『はいる? はいる?』「ぁぅ」『なかであそぶ』

「ぶぶい」「べむう~」


 ボアボアの横には、ヒッポリアス、子魔狼たちとボエボエ、ベムベム、それにシロもいた。

 建築がはじまったことに気付いて、遊びをやめて集まってきたらしい。


「めえ!」「ちゅちゅ」「ほっほう!」


 ヤギやカヤネズミ、フクロウたち、みんながありがとうとお礼を言ってくれる。


「いえいえ、どういたしまして。それより、使いにくいところがあったら、教えてくれ」

「めえめえ!」「ちゅっちゅ」「ほう!」

「遠慮しなくていいよ。修正はすぐできるからね」


 ヤギたちが、自分で扉を開けて中へと入っていく。

 カヤネズミたちはヤギたちの背中から降りて自分たち用の扉から中へと入った。


「使いにくくないか?」

「めえ!」「ちゅっちゅ」

「それならよかった」


 どうやら、扉は問題ないらしい。


「ほっほう!」


 フクロウたちは一度上空へと飛び上がって、ベランダへと降りてくる。

 そして、フクロウ用の扉を開けて中へと入り、止まり木に止まった。



「ほほう!」

「改善点はないか?」

「ほう!」


 フクロウたちは扉も開けやすいし、止まり木にも止まりやすいと言ってくれた。


「ふぃおたちもはいる!」

「きゅお~~」

『はいる!』「ぁぅ」『なかでねる』

「ぶぶい」「べーむべむ」

「わう」


 子供たちも楽しそうに小屋の中へと入っていった。

 ルルは遊びすぎて眠いのかもしれない。

 ルルが眠いと言うことは、クロもロロもきっと眠いのだろう。

 恐らく、中に入ったら、すぐ寝るに違いない。

 子魔狼たちは、子供なので遊んでいたと思ったらいつのまにか眠っているのだ。


「おもったより……疲れた」

「ぴい~」

「ありがとうピイ」


 ピイのマッサージを受けながら、俺は小屋の中に入る。

 窓を多めにしたおかげで、小屋の中は明るかった。


「ふう~」

 小屋の床にあぐらをかいて座る。

 すると、子魔狼たちが俺の足の上によじ登ってきた。


『……あそぼ』「……ぁぅ」『ねる』


 そして、すぐに三頭とも寝はじめた。


「テオ、建築が速くなった?」


 ケリーが隣に座る。


「コツを掴んだかもしれない」

「そうなんだね」

「ああ、こっちに来て、製作スキルで建築させてもらっているからな。旧大陸の十年分は建築したよ」

「そんなにか?」

「旧大陸では、製作スキルは戦闘関連につかってばかりだったからな」


 そんなことを話していると、


「べむべむ?」「べむう~」


 雑草を食べていた大人の陸ザメたちが小屋の前に集まってきた。

 大した物だなぁと、手に持った草をむしゃむしゃしながら、感心していた。


「テオさんの製作スキルは相変わらずすごいなぁ」

 陸ザメたちと一緒に居たジゼラも来たようだ。


「めえ~」

 どうぞ入ってとメエメエに言われて、

「べむ~」「べむべむ~」

 陸ザメたちがぞろぞろと、中に入ってくる。


「おじゃまするね!」


 ジゼラも入ってくる。

 そして、陸ザメたちと一緒に、床を調べて、壁を調べて、フクロウたちの止まり木を見て、

「べむぅ~」

「すごいなー。明るいのがいいよね!」

 と感心している。


「がう」

 飛竜も小屋の周囲を回って、観察し始めた。

 そして、一周すると

「がう~」

 入り口から顔だけ突っ込んで、いいねと褒めてくれた。

 そして、静かに中に入ってくる。



「ありがと」

 飛竜のおめがねにもかなったようだ。


 それからヤギ、カヤネズミ、フクロウたちが、温泉への出入り口を試してくれた。

 そちらも問題が無いようで、一安心である。



 次に俺は折角みんなが集まっているので、改めて暖炉について説明することにした。


「みんな、少し聞いてくれ」

「めえ?」「ちゅちゅ?」「ほほっう?」

「ボアボアと陸ザメたちと飛竜もな」

「ぶい?」「べむべ~む?」「がう?」


 みんなの視線が俺に集まる。

 ジゼラとケリー、フィオは、俺の隣に座ると、子魔狼たちを一頭ずつ抱っこした。

 それをみて、うらやましいと思ったのか、シロ、ボエボエ、ベムベムが近づいてくる。

 そして、ジゼラたちのひざのうえに乗った。


「よーしよしよし。シロは可愛いねー」

「わふう」

「お、ボエボエ、甘えてくれるのか? どろどろだな、ぬた打ったのかい?」

「ぶぶい」

「べむべむ~、ておさんのすこぷすきだねー」

「べむ~」


 ジゼラたちは、上機嫌で子供達を撫でまくっていた。


 それを見て、少しうらやましいと思う。

 俺も子供たちをなで回したいが、大事な説明があるので後にしよう。


「きゅお」

「ヒッポリアス、ありがとう」


 ヒッポリアスが寂しくないように、俺のひざに顎を乗せてくれた。

 ヒッポリアスのことを撫でながら、俺は大人たちに向けて、暖炉について説明することにした。

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