知らない家
俺の名前は荻野春斗。
俺は今32歳の会社員。良い上司や後輩に恵まれ充実した社会人生活を送っているのだが...
現在インフルエンザにかかってしまった。しかもめちゃめちゃ辛い、意識が朦朧としている。
どうしよう...やっぱ後輩に来てもらうべきだったか...?いや無理だ...
「こんなオタク部屋見せられる訳ないだろ!!!」
くそ...こんな状態のせいで正しい判断が出来なくなっている
周りには隠しているが俺は極度のオタク。アパートの狭い部屋にはびっしりと貼られたポスター。こんなの職場の人に見られたら引かれるに決まっている...
もしかしたら口を聞いてもらえなくなるかもしれない...後輩はアニメとか観るだけ時間の無駄とか言ってたからな...
だが正直一人だとこのまま死ぬんじゃないかって言うレベルでキツイ。
親に来てもらう?いや実家は遠すぎる!職場の先輩や後輩に来てもらう?いやこんな部屋見せられん!数少ない友達も仕事中だろう...彼女なんているわけがない。どうすれば...
「喉乾いた...お茶...あぁ無い...冷蔵庫まで取りに行かねば...」
部屋は狭いし冷蔵庫まで距離は遠くない。だがこの状態で行けるか...
おぼつかない足取りで歩き始めた。めまいもする。
「よしもう少しだ...」
その時だった
「ぬわぁ!!!」
俺は足を滑らせ階段から転げ落ちた。
「痛ててて...」
「キャァァァ!!!」
悲鳴が聴こえ顔をあげるとそこにはおばさんが居た。
「○△□○△□!?!?!?」
そのおばさんは何かをずっと大声で言っているが何を言っているのか全くわからない
だがおばさんは玄関の方を指していた。
「なんだなんだ...出ろってことか...?」
俺は玄関から家を出た。
「...!?!?」
俺はおかしいことに気づいた
「ここ俺んちだろ!?アパートだから部屋の中に階段なんか無いし、第一あのおばさん誰だ!?」
俺は恐る恐る家の方を振り向いた
そこにはうちではない、知らない家があった。
よろしくお願いします