表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

「これ借りる」

「え~お前またこれ借りんの?」


 俺、直江正時(なおえまさとき)は図書館に入り浸っているのが大好きだ。

 気に入った本を何度も読み返し、閉館の時間になるまではここにいる。

 今も気に入っている本を借りて帰るつもりだ。


「別にいいだろ、お前に関係ないし」

「まぁそうだけど…はい、いいよ」

「ありがとな」


 図書館の外に出て、窓からグラウンドのほうに視線が移る。

 野球部、サッカー部、テニスコートは遠くて見えないが、部活動に励んでいる同級生がやけに入ってくる。


「辞めたいとか、行きたくない、とか言ってるくらいなら、辞めればいいのにな」


 ただの独り言だ。

 早く本が読みたいから帰ろう。

 俺は足を急かして学校を出た。

 外に出ると今度は耳から嫌な音が聞こえてくる。

 ボールがバットに当たる甲高い音、パスを呼ぶ声、中途半端に息の合った掛け声、競争は嫌いだ。自分が相手より劣っていると実感してしまうからだ。だからあいつらがわからないし、嫌いだ。


「危ないでーす」

 言っても誰も反応しないし行動も起こさない。言った。それだけの事実がほしいんだよ。あいつらは。


 どこに言ってるかもわからないし、避けようがない。

 夕日に背を向けて校門へと足を進める。まだ5月なのに夏みたいに熱い視線を送られる。


「危ないでーす」


 頭に重い衝撃を受け、今まで視界の8割を覆っていたアスファルトの道が、夕日に染められた綺麗な水色へ変化した。


読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ