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僕と委員長と彼女と(仮) ※旧タイトル「ラブコメ的ななにかかもしれない」

作者: ダルメシアン

4月14日、ようやく憂鬱な月曜日の授業が終わった。

さて、これからどうしようか?

そう思いながら教室を見回す。

急いで帰る人や部活に行く人、机に突っ伏して寝ている人、まだ教室にはたくさんというわけではないけど人が残っている。

そうしていると楽しげに話している三人組み(女子だ)の声が聞こえてきて僕はそっちを見る。

何を話しているんだろう?

僕は興味をそそられ耳を傾ける。

その娘達はこれからどこに行くのかということを話していた。



「ねぇ、これからどっか行く?」


「そうだねぇ~、どこ行こっか~?」


「あ、じゃあさ、カラオケに行かない?」


「・・・カラオケか~。うん、それいいかも~」


「そうだね。じゃあ行こっか!」


「あ、でもさぁ、私ちょっと買いたいものがあるんだけど・・・」


「え~?じゃあカラオケはまた今度にしてみんなでショッピングに行く~?」


「ショッピングかぁ・・・そうだね。それもいいかも」


「なんか、ごめんね・・・」


「謝ることないよ。あたしもちょっと欲しいものあったし」


「私もあったから~、気にしないで~」


「うん、ありがとっ。じゃぁ行こっか」



仲の良さそうなその娘達はそんなことを喋りながら教室を出てった。


そして気が付けば教室には誰も人がいない。


僕は時計を見る。

4時32分。

手持ち草になり携帯を開く。

誰からもメールが無い。

それはいつものことなので気にしない。

ついでに時刻は4時32分。

いや、4時33分になっていた。



「遅いなぁ・・・」



思いがけず口をついて出る。

それもそのはずだ。

だって僕はここで待ってるように言われたのに一向に待ち人が来ないのだ。

やっぱりからかわれたのか?

そうだ、考えれば考える程おかしい。

この僕に用事がある人なんていない。

自慢じゃないが僕は友達が少ないんだ。

しかもここで待ってるように言ったのは僕の友達じゃあない。

友達じゃないけど同じ委員会に入ってる子だ。

特に接点は無い。

ただ同じ委員会に入ってるだけ仲。

委員会関連以外では話なんてほとんどしない。


彼女と僕は仲良しという訳では無いのだから当たり前だけど。

でも僕はそんな彼女にここで待ってるように言われた。

理由はさっぱりわからない。

こういうの皆目検討もつかない、って言うんだったっけ?

そんなどうでもいいことを考えながら時間を潰す。


今、何時だろう。

ふとそう思い立ち時計を見る。

あれから20分も経ってない。

時計は4時52分を差している。

遅い。来るのが遅すぎる。

5時過ぎたら帰ろう、そうしよう。

だからもう少し待とう。

そうだ、もう一度彼女がここで、待っているように言った理由を考えよう。



「・・・・・・・・・あっ」



一つの可能性に思い至りつい声を上げてしまう。

もしかして・・・いやそれはない。

断じてない!だって『僕は何もしていない』のだから。

そうだよ、それはありえない。

いやでもそれ以外にありえるのか?

だって彼女は図書委員会の委員長なのだから。

いやそれでもその可能性は無いと信じたい。



「あー、もうわけがわからないよ!」



頭を掻き毟りながら叫ぶ。



「ひゃぁっ!」



それに驚いたのか廊下から可愛らしい声(悲鳴?)が聞こえた。

その声に聞き覚えがあった僕は廊下を覗く。

果たしてそこにいたのは・・・紙袋を被り尻餅をついている変質者だった。

彼女(?)は僕を見てスカートの裾を押さえてあたふたしだす。



「なんでだよ!?」



思わず叫ぶ。

彼女(?)はまだあたふたしていたが僕の叫びというか突っ込みを聞いてピタッと動きを止める。


「いや、違う冷静になるんだ僕。ここは誰だよ!?って叫ぶ場面だ、そうだろうバーニィ。っていやいや違う違う!

僕は一体何を言ってるんだ・・・。バーニィって誰だよ!ってそんなことどうでもいい。

そうだ現状把握をしよう。まず廊下を見たら紙袋を被った変質者が居た。

・・・・・・うん。これはおかしすぎるでしょ!?

てか叫ばずにはいられないでしょ!?

だって聞き覚えがある声がしたと思って見てみたら紙袋を被ってる変質者がいたんだよ!?

おかしくね!?いやおかしいよね!?」


僕はわけがわからず独り言にしては大きい声で自問自答していると彼女(?)は「ふふっ」と笑い声を上げてゆっくりと立ち上がる。

その声はとても嬉しそうだった。

普通なら恐怖を覚えるものだけど僕にはそう感じなかった。

ただその声が可愛い、としか思えなかったんだ僕は。

でもそんなこと思っている場合じゃないと我に返った僕は咄嗟に身構えるが彼女(?)は華麗に身を翻して僕から逃げ出す。



「・・・は?」



僕はまるで反応できずに彼女(?)の姿が見えなくなってからもしばらくの間呆然としていた。

彼女(?)が何者で何が目的かわからなかったけどとりあえず助かった(?)みたいだ。



「やっぱりあの声聞き覚えがあるんだよなぁ・・・もしかして委員長?

いやいや、それは無いな。うん、ありえない」



でも・・・委員長の声に似てたな。

声には出さずに心の中で呟きながら教室へと戻る。



「・・・そういや今何時だろ」



時計を見てみると4時56分。

あれから5分も経ってない。

彼女(?)との遭遇の衝撃が強すぎてもっと時間が経っているかと思っていたけどそうでもなかった。



「そろそろ帰るか・・・」



誰に言うわけでも無く呟く。


これだけ待っても委員長は来ないみたいだし明日にでもまた聞けばいいかな。

荷物を纏めきちんと戸締りをして教室を出る。



「はぁ・・・」



思わずため息を吐く。

そりゃため息の一つや二つしたくなるよ。

待ちぼうけを食らったんだからさ・・・。


僕は昇降口じゃなくて職員室へと足を向ける。

そして職員室の扉をノックして一拍待ち扉を開ける。

職員室には・・・僕らの担任の先生がお茶を啜りながらお煎餅を食べていた。

先生は僕の存在に気が付くとほわほわとした笑顔で話しかけてくる。



「あら?どうしたの?」


「あ、いえ帰る前に挨拶をしておこうかと思いまして」


「あらあら、それはご苦労様ね」


「先生、さようなら」


「はい、さようなら。気をつけて帰るのよ、二人とも」


「はい。・・・え?」


「まだ何か?」


「え?・・・えっと今さっき何て言いました?僕の聞き間違いではなければ『二人とも』って言いませんでしたか?」



聞き間違いであってくれ、そう願いを込めて訊ねる。

でも僕の後ろに誰かが立っている気配がさっきからする。



「ええ、二人ともって言いましたがそれが何か?」



先生はにこやかな顔でそう答える。

ならば後ろにいるのはもしかして委員長?

それならどうして話しかけて来ない?

でも先生がいつも通りということは少なくとも変質者とかではないはずだ。



「い、いえ何でもありません。で、では失礼します。さようなら・・・」


「はい、さようなら」



先生にお辞儀をして職員室を出てドアを閉める。

嫌な予感を抱きつつ振り返る。

そこには・・・紙袋を被った変質者が居た。



「だからなんでだよ!?ってか誰!?いやほんとに誰ェ!?」



思わず叫ぶ。

こんな大声出して先生に叱られないだろうかとも思ったけどまずは目の前の脅威(?)をどうにかしなければ・・・!


僕は目の前の彼女(?)を捕まえるべく彼女(?)の一挙一動を見逃さずに注意深く観察する。

彼女(?)も僕をじっと見つめている。

僕も彼女(?)をじっと見つめる。

そうしてどれくらい経っただろうか。

体感的に一時間くらい見つめているような気がするけど実際はまだ一分も経ってないだろうなぁ。

ふいに彼女は視線を僕から逸らした。

不審に思い注意深く観察する。

そうすると彼女(?)はもじもじしだした。

まさか・・・トイレに行きたいとか?

いやいやそれはないでしょ!

自分で言って自分に突っ込む。

じゃあどういうことだろう・・・はっ!もしかして僕にじっと見られて恥ずかしいとか?」

彼女(?)は恥ずかしそうに僕を見てこくん、と首を縦に振った。

うん?なんでこの子は僕を見て首を縦に振ったんだ・・・?これが噂(?)の読心術ってやつか!?

いやいや読心術って漫画とかじゃないんだからそんなことあるわけないか。あるわけ・・・・ないよね?

ねぇ、嘘だと言ってよバーニィ!」


「あの・・・全部声に出てますよ・・・?」


「な、なんだってー!?」


僕が好きなラノベとかでよく見かける反応をしてしまう。

そんな馬鹿な・・・!?

この僕がそんなことをしてしまうなんて・・・。

落ち込むを僕を見かけたのか彼女(?)は僕に手を差し伸べる。


僕はその手をがしっと掴む。

離さないように強く、それでいて彼女(?)に痛みを感じさせないように注意して。


彼女は手を強く掴まれてびくっとして思わず手を引っ込めようとしていたが

僕の顔を見て観念したのか抵抗を止める。


当の僕はというと彼女の手を掴んでにやにやしていた。

傍から見たら変態だ。

でもようやく捕まえたんだからにやにやしちゃうのも仕方ないよね!


「やったー!やっと捕まえた!!」


「あの・・・離して・・・?」


「いやいや、だって離したら逃げるでしょ?」


「・・・・・・。そ、そんなことしないもん」


・・・なにこの可愛い生物。

もじもじしてるし拗ねてるのか口調が幼い子みたいになってる。

これで顔も可愛かったら言うことないね!

てか絶対可愛いに決まってるでしょ!!

てなわけで~早速顔を見せてもらおうかな!?


僕は紙袋に手を伸ばすと彼女はもう片方の手で僕の手を掴む。

む、これじゃあ顔を見れないじゃないか。

さて、どうしよう?


僕は彼女の手を引き教室へと向かう。

彼女はというと僕に手を引かれるがままになっていた。


なんだか悪い事をしてる気になるけどそれも教室へ着くまでの辛抱かな。

彼女の手を引きながらだからか教室までの距離が長く感じるがそうでもなかった。


色々考えていたらいつの間にか教室へ着く。

僕はドアを開け中に入り鍵を閉め彼女の手を離し一気に紙袋を剥ぎ取る!

彼女は反応できずにぽかんとしていた。

紙袋の下に隠されていた顔はとても可愛らしく同時にとても見覚えがあるものだった。

思わず呟く。


「・・・委員長?」


「違う・・・」


彼女は少しむすっとした感じでそう答える。


「え、えっと・・・じゃあ君は・・・?」


「わたしは・・・」


彼女がなにかを言いかけたその時、もの凄い音が響き渡る。

擬音にすればどかん!ばたん!がしゃーん!かな。

って暢気にそんなことを考えてる場合じゃない!

音がした方、つまり僕の後ろを恐る恐る振り返る。

そこにはドアが倒れてガラスが飛び散っていた。

ドアのちょうど中央部分には思いっきり殴ったか蹴りを入れたような凹んだ痕があった。

そこに鬼が居た。

いや、鬼のような貌をした見覚えのある人が居た。

悲鳴を上げそうになるのを必死で押さえ震える声で問いかける。


「い、いいんちょう・・・?」


「え?あ、ど、どうして?」


「い、いや聞きたいのはこっちなんだけど・・・」


「・・・あとで事情を話すから今はちょっと、ね?」


委員長はそう言い、僕の後ろに居る彼女に向かって歩みを進める。


「覚悟はいいわよね?」


「・・・よくないに決まってる」


「へぇ・・・そんなこと言うのね」


殺気が膨れ上がる。

寒くもないのに寒気がする。

足も震えて今すぐここから逃げ出したいけどそういうわけにもいかない。

僕が逃げたらなにかとんでもないことになりそうだし・・・。


「お姉ちゃん・・・。抜け駆けはしないって約束したのに抜け駆けした」


「そ、それは」

「え!?お姉ちゃん!?え、てことはこの子は委員長の妹さん?ああ、どうりで声に聞き覚えがあるわけだ。

何回か会ったことあるのに委員長と間違えてごめんね?」


僕の反応にさっきまでの張り詰めたような雰囲気が無くなる。


「い、いえ・・・思い出してくれたのなら・・・。」


恥ずかしそうに嬉しそうに顔を赤らめて俯きながら呟くように小さいな声でそう言った。

この流れなら行ける・・・!


「それであの今に至る状況を説明してくれると嬉しいかなー、と思ってるんだけど・・・」


「「わたしが説明する(わ)」」


また空気が怪しくなってきた・・・。


「あ、あのじゃあ妹さんに説明をお願いしようかな?」


その言葉に委員長は僕を一瞬だが睨む。

こ、怖ぇ・・・。

逆に妹さんは僕に微笑んで委員長に勝ち誇ったような顔をする。


・・・・・・仲悪いのか、この姉妹は。

いやでも、家にお邪魔した時は仲良しに見えたけどなぁ。


「あのですね・・・?」


それから滔々と妹さんはどうしてこうなったのかをわかりやすく(超重要!)説明する。



姉が約束というより協定を破ったので僕に会わせまいと紙袋を被り姉を背後から奇襲し昏倒させ適当なロッカーに放り込み

そのまま会いに来た、ということ。


どうして僕に委員長を会わせたくなかったのか、聞くと妹さんは顔を紅くして僕に抱きついてくる。


「え、あの、どうしたの?」


「・・・好きです。あなたのことが好き・・・なんです」


「え、ええええぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇ!?」


「あ、ずるい!わたしの方が先に告白しようとしたのに!」


「は?」


「だ、だからわたしも好きなの!だから・・・ら、ラブレターを出したの!」


なにこのハーレム状態。


「ぼ、僕もす、好きだけど・・・どっちかなんて選べないよ」


「「じゃあ私達を二人とも愛して?」」


「そ、それでいいの?」


こくん、と二人同時に頷く。

可愛いなぁ、もう!


「二人とも一緒に僕が幸せにするね?」


「・・・はい、お願いしますね」


「よ、よろしくお願いするわ」


こうして三人のイチャラブ生活は始まったわけだけどそれはまた別の機会に話そうと思う。

続かない。

誰か続きを書いてくれてもいいのよ?w

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